護摩のご利益とは?仏さまの厄除けパワーをいただこう!
「護摩(ごま)や護摩祈祷(ごまきとう)って聞いたことある!でも、一体何なの?」
という方も多いのではないでしょうか?
広島カープの新井選手など、スポーツ選手が精神修行のために護摩に参加する様子がテレビで紹介されていますね。
護摩とは、お坊さんが護摩壇(ごまだん/火をつけることのできる台)で仏さまを拝み、ご利益をいただく修行のことです。
今回は、護摩について詳しく紹介します!
横井 郷
愛知県出身の仏教系大学生。一般家庭出身だがさまざまなご縁により仏教に興味を持ち、
あらゆる視点から仏教の可能性を追求している。
好きな仏さまは蔵王権現(ざおうごんげん)。
- 護摩とは、火を焚いて仏さまを拝む修行のこと
- 護摩で拝む仏さま ~不動明王~
- 密教とは「秘密の教え」のこと
- 護摩のご利益
- 関東の護摩祈祷をしていただける主なお寺
- 関西の護摩祈祷をしていただける主なお寺
- おわりに
目次
護摩とは、火を焚いて仏さまを拝む修行のこと
護摩とは、インドを起源とする修行で、
火を焚いて、その火の中で様々なお供え物を燃やすことにより、仏さまに祈りを捧げる修行のことです。
日本では真言宗や天台宗の僧侶が行うため、
真言宗や天台宗などのお寺では、護摩による祈祷をするところが多いです。
護摩で拝む仏さま ~不動明王~
お寺で護摩をするとき、もっとも多いご本尊は不動明王(ふどうみょうおう)という仏さまです。
不動明王は、密教でもっとも重要な仏さまである大日如来(だいにちにょらい)が姿を変えて現れた仏さまです。
この不動明王は鬼のようなこわい姿で、
はじめて見る方は本当に仏さま?とも思ってしまうほどです。
この表情は煩悩を決して許さないという意味を持ちます。
剣をもっているのは、修行の妨げになる煩悩やまよいを断ち切るためで、
縄をもっているのは、まだ煩悩から抜け出せない人々を縛ってでも救い出すためです。
このように、厳しくも優しい、仏さまの心で人々を救ってくださる存在が不動明王です。
密教とは「秘密の教え」のこと
護摩祈祷を行う真言宗や天台宗は密教とよばれます。では、密教とはいったい何なのでしょうか?
密教とは秘密の教えという意味です。
密教の教えは、長い間師匠から弟子へと受け継がれてきました。
今でも密教のお坊さんが一人前になる儀式、灌頂(かんじょう)を終えると、
血脈(けちみゃく)というものをもらいます。
血脈には自分の師匠のそのまた師匠・・・と過去のお坊さんの名前がずらっと書かれており、
何代もの師匠を経由して教えが続いてきたことがわかります。
では、密教ではどのような祈りを捧げているのでしょうか?
密教においてお坊さんが仏さまの前で拝むことを修法(しゅほう)といいます。
そこで、お坊さんは身体と言葉と意識を仏さまと一体にする修行を行います。
それにより、この世にありながら生きて悟りを開くこと、
即身成仏(そくしんじょうぶつ)を目指します。
お坊さんは生きながら、仏さまと変わらない状態となって拝むのです。
お坊さんでない一般の方が、護摩のご利益をいただくときはお寺に参拝し、
お坊さんに代わりに拝んでいただき、そのご利益を受けるという形になります。
もしあなたが護摩の修行をしたい場合、お坊さんの師匠のもとに弟子入りをして密教の修行をする必要があります。
護摩のご利益
護摩では煩悩(ぼんのう/修行の邪魔になるような悪い心)を焼き払ったり、災害を鎮めることを祈ります。
そのほかにも縁結びや運を倍増させたり、敵に打ち勝つことを祈るなど、さまざまな願いに対して行われるご祈祷です。
仏さまの前で炎をあげながら拝む護摩祈祷は、願いを込めた人々の煩悩を焼き尽くし、願いを仏さまに届けるという意味があります。
仏さまにお供え物を捧げることにより、そのご利益をいただくことができます。
仏さまが願いを聞いてくださるかどうかのポイントは、
自分のためだけではなく、ほかの人の幸せも祈っているか?という点です。
関東の護摩祈祷をしていただける主なお寺
川崎大師 平間寺
初詣でも人気!川崎のお大師さま
川崎大師は、真言宗智山派(ちさんは)の寺であり、
関東で非常に多くの参拝者を誇るお寺です。
川崎大師は愛称で、平間寺(へいけんじ)というのが正式名称です。
平間兼乗(ひらまかねのり)という寺を開くときにかかわった人物にちなんで、平間寺と名づけられました。
川崎大師は初詣の参詣者ランキングでも上位になるなど、非常に多くの参拝客をあつめるお寺です。
住所
神奈川県川崎市川崎区大師町4-48
アクセス
京急大師線 川崎大師駅下車、徒歩8分
成田山新勝寺
歌舞伎役者もお参りする成田のお不動様
新勝寺のご本尊の不動明王像は、空海が一刀三礼(いっとうさんらい / 一彫りごとに三回礼拝する)で作成したとされ、
ありがたいお寺として昔から信仰をあつめていました。
成田山新勝寺は江戸時代に歌舞伎役者の市川團十郎がお参りしていた伝統から、
今でも市川家は成田山新勝寺にお参りすることでも有名です。
前述の川崎大師と新勝寺に加え、
高尾山薬王院の三ヶ寺は真言宗智山派の格の高いお寺であることを表す「大本山」であり、特に規模の大きいお寺です。
住所
千葉県成田市成田1
アクセス
京成電鉄 京成成田駅またはJR線 成田駅より徒歩10分
西新井大師 總持寺
空海伝説が残るお寺
西新井大師は真言宗豊山派(ぶざんは)の寺です。
空海が、病気に苦しむ人々を救うために仏像を彫り、21日間護摩祈祷を行った結果、水がわき人々の病気が癒えたという伝説があるお寺です。
西新井の地名は、そのときにわいた井戸がお堂の西側にあったからという言い伝えもあります。
住所
東京都足立区西新井1-15-1
アクセス
東武大師線 大師前駅下車、徒歩5分
日暮里舎人ライナー 西新井大師西駅下車、徒歩20分
川越大師 喜多院(かわごえだいし きたいん)
小江戸川越の五百羅漢が有名なお寺
川越大師喜多院は天台宗で、天台宗中興の祖(天台宗を盛り上げたお坊さん)慈恵大師(じえだいし)をおまつりしているお寺です。
徳川家康が絶大な信頼を寄せていたお坊さん、天海(てんかい)が喜多院の27代目の住職だったことから、徳川家ともかかわりの深いお寺として今も多くの人の信仰を集めています。
境内の中にある、日本三大羅漢の一つに数えられる538体もある五百羅漢像(ごひゃくらかんぞう)が有名です。
深夜にこっそり羅漢さまの頭をなでると一つだけ温かいものがあり、それがなくなった親の顔だという言い伝えも残っています。
住所
埼玉県川越市小仙波町1-20-1
アクセス
西武新宿線 本川越駅より徒歩15分
東武東上線 JR 川越駅より徒歩20分
目黒不動 瀧泉寺(めぐろふどう りゅうせんじ)
江戸五色不動の一つのお寺
瀧泉寺は天台宗のお寺で、一般的には目黒不動と親しまれてきたお寺です。
東京(江戸)には白、黒、赤、青、黄の五色の不動明王があり、その中の黒がこの目黒不動です。
一説では、目黒の地名はこの目黒不動からきているともいわれています。
境内には独鈷の滝(とっこのたき)という泉があります。
円仁(えんにん)というお坊さんが独鈷という、煩悩を打ち砕く仏具を投げるとそこから水がわいたと伝えられています。
この泉は現在まで枯れることなくわき続けており、瀧泉寺の名前の由来にもなっています。
住所
東京都目黒区下目黒3-20-26
アクセス
JR 目黒駅より徒歩20分
東急目黒線 不動前駅より徒歩15分
普賢寺(ふげんじ)
500年の歴史を誇るお不動さんのお寺
普賢寺は500年以上の歴史がある、天台宗の寺院です。
元々は江戸にあったお寺でしたが、大正時代の関東大震災の時に府中に引っ越しをした歴史があります。
ご本尊、不動明王の縁日である毎月28日の15時〜16時に護摩供を行っており、前日までに申し込みをすれば護摩札の授与を受けることができます!
また、縁日以外でも事前に申し込みをすれば各種御祈願も受けることができます。
住所
東京都府中市紅葉丘2-26-4
アクセス
西武多摩川線 多磨駅より徒歩7分
多磨霊園駅より武蔵小金井行京王バス 多磨霊園正門前より徒歩5分
関西の護摩祈祷をしていただける主なお寺
高野山 金剛峯寺(こうやさん こんごうぶじ)
いまも空海が見守る霊山
高野山はいまも空海が瞑想(めいそう)しているとされる地であり、高野山真言宗の総本山です。
高野山は山全体が聖地とされ、標高800メートルの山の上に台地がひろがるめずらしい土地です。
周りを高い山々に囲まれているため、山全体を蓮の花に見立てて、仏さまが座っている蓮の上にある聖地とよばれることもあります。
壇上伽藍(だんじょうがらん)にある愛染堂(あいぜんどう)で護摩が焚かれているほか、高野山内の多くのお寺が護摩祈祷を行っています。
なかでも清浄心院(しょうじょうしんいん)は新井選手が護摩をしたお寺でもあります。
住所
和歌山県伊都郡高野町高野山132
アクセス
南海電鉄高野線 極楽橋駅よりケーブルカーで高野山駅、バス乗り換え千手院橋または金剛峯寺前下車
※2018年2月6日現在、土砂流出による線路故障のため高野線橋本駅より高野山まで代行バス運行中
信貴山 朝護孫子寺(しぎさん ちょうごそんしじ)
境内には寅がたくさん!
信貴山は聖徳太子が、仏教を排除しようとした物部守屋(もののべのもりや)を討伐するときに戦いに勝てるよう仏さまに祈願をしたお寺です。
四天王の一尊でもある毘沙門天(びしゃもんてん)を本尊とするお寺です。
寅の年(12年に一度、干支)、寅の日(12日に一度)、寅の刻(午前4時ごろ)に毘沙門天が現れたとの伝説から境内には寅の像が数多くあります。
寅にちなんで、阪神タイガースの戦勝祈願をしているお寺でもあります。
信貴山には広い境内の中に様々なお堂があり、宿泊することもできる千手院では千年にわたって毎朝護摩を焚いています。
住所
奈良県生駒郡平群町信貴山2280-1
アクセス
近鉄、JR王寺駅または信貴山下駅より信貴山門行バス、信貴大橋にて下車
近鉄 信貴山口駅よりケーブルカーにて高安山駅、バス乗り換え、終点信貴山門にて下車
比叡山 延暦寺
日本の歴史とともにあり続けるお寺
比叡山は日本における仏教の中心のお寺で、天台宗の総本山です。
日本の各宗派の開祖となるお坊さんの多くは比叡山で修行しました。
日本史で習う、織田信長の比叡山焼き討ちで知っている人もいるのではないでしょうか?
天台宗の密教は、台密(たいみつ)とよばれ、
真言宗の密教である東密(とうみつ)とともに、日本における密教の大きな流れとして今に至るまで伝統を保ち続けた宗派です。
比叡山は、滋賀県で唯一の世界遺産に登録されています。
住所
滋賀県大津市坂本本町4220
アクセス
坂本ケーブル 延暦寺駅より徒歩8分
八瀬ケーブルロープウェイ比叡山頂よりバス、延暦寺バスセンター下車
金峯山寺(きんぷせんじ)
蔵王権現のエネルギーあふれる山のお寺
金峯山寺は金峯山修験本宗(しゅげんほんしゅう)の総本山です。
役行者(えんのぎょうじゃ)という霊力をもった修行者が開山したお寺であり、
蔵王権現(ざおうごんげん)を本尊としています。
蔵王権現とは、釈迦如来(しゃかにょらい)、千手観音(せんじゅかんのん)、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の三尊が合体した仏さまとされ、
金峯山寺にはその3つの仏さまを表すために三体の蔵王権現がまつられています。
金峯山寺は日本古来の山岳信仰と仏教などが混ざりあった日本独特の宗教である修験道のお寺で、
修験道独特の屋外でおこなう大がかりな護摩、採燈護摩(さいとうごま)を行うことも特徴です。
住所
奈良県吉野郡吉野町吉野山2498
アクセス
近鉄吉野線 吉野駅よりロープウェイ、吉野山駅より徒歩10分
護摩祈祷を行っているお寺の一部を紹介しましたが、ほかにも多くのお寺が護摩祈祷を受け付けています。
真言宗、天台宗のお寺を中心に護摩は行われてるので、
護摩による祈祷をお願いしたい方はこれらの宗派のお寺を探してみると良いでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
護摩祈祷をしていただける寺院は日本各地に多くあります。
実際に護摩祈祷に参加して、護摩の雰囲気がどのようなものか感じていただけるのではないでしょうか。
護摩による祈祷を受け付けているお寺では、護摩の時間が決められているところが多いので、
お寺に行かれる際は時間を確認してからお参りされることをオススメします!
ぜひ一度護摩を体験して、そのときの感想をホトカミに投稿してみてはいかがでしょうか?
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