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如来とは?悟りを開いた釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来など有名な5つの如来を徹底解説

最終更新:2025年03月17日(月) 11時48分50秒
公開:2024年10月29日(火)

※記事中に使用したイラストの無断転載を禁止します。

「如来ってどんな仏様?」
「如来と菩薩は何が違うの?」
「それぞれの違いを知って、お寺めぐりをもっと楽しみたい」


全国8万ヶ寺以上のお寺を紹介する日本最大の神社お寺・御朱印の検索サイト「ホトカミ」編集部の高原です。

お寺に参拝すると、パンチパーマのような髪型をした仏像を目にすることがありますよね。
それらの仏像は「如来」と呼ばれる仏様です。

如来はどの仏像も姿形が似ていますが、『薬壺を持っているのは、薬師如来で、人々の病を癒す』というように、ポイントをおさえれば見分けられるようになります。
如来にもいくつかの種類があり、異なる意味を持っているのです。

仏像ごとの違いやその背景も知ることで、お寺への参拝がより楽しく、深い体験になるはず。
ぜひ最後までお読みいただき、実際にお寺を訪れてみたてださい!

    目次

  1. 悟りを開いた完璧な存在「如来」の基本を解説
  2. 【違いがわかる!】代表的な5つの如来を紹介
  3. 【それぞれに異なった役割がある】如来と菩薩の違い
  4. 【すべての人々を悟りに導く】如来の由来
  5. 終わりに

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悟りを開いた完璧な存在「如来」の基本を解説

仏像は上から「如来」「菩薩」「明王」「天部」の4つの階層に分かれています。

今回の記事で紹介する如来たちは、仏像の中で最も位が高い仏像です。
如来は、お釈迦様が悟りを得た後の姿をしています。
悟りを得るための修行をしていたため、質素な姿をしています。

如来は悟りを開いた後

如来は悟りを開いた完璧な存在です。
全ての人々を悟りへと導きます。

サンスクリット語では「タターガタ:tathāgata」と言われ

・tathā=如(真理、ありのまま)
・gata=来る


の2つの言葉を合わせて「真理から来る人」の意で如来と呼ばれるようになりました。

如来は【パンチパーマのような髪型・質素な服装】

如来は悟りを開いた状態の仏様です。
真理から来て人々を悟りへと導くとされています。

「如来=悟りを開いた状態」と覚えましょう。

如来を見分ける4つのポイント

如来には、仏教を開いたお釈迦様の32種類の特徴が反映されています。
これらの特徴を三十二相と呼びます。

しかし、「32個も覚えられない…」という方がほとんどだと思います。

そこで、初心者にも分かる4つの見分け方ポイントを紹介します。


    如来を見分ける4つのポイント
    ①盛り上がった頭頂部:肉髻(にくけい)
    ②パンチパーマのような髪型:螺髪(らほつ)
    ③おでこの白い毛:白毫(びゃくごう)
    ④修行僧が着る質素な衣:衲衣(のうえ)

ほとんどの場合は、
【パンチパーマのような髪型・質素な服装】であれば如来です!

悟りを開いた状態である如来は、多くの苦行を乗り越えた姿であるため、
基本的には質素な衣を身にまとっています。

ここからは、如来ごとの見分け方や特徴について解説していきます。

【違いがわかる!】5つの如来の見分け方を紹介

如来には、数多くの種類の仏像がありますが、お寺でよく見る代表的な如来は5つほどです。
ここからは、お寺でよく見る代表的な5つの如来を紹介していきます。

代表的な5つの如来

代表的な如来には、
・釈迦如来(しゃかにょらい)
・薬師如来(やくしにょらい)
・大日如来(だいにちにょらい)
・毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)
・阿弥陀如来(あみだにょらい)
があります。

ここからはそれぞれの見分け方を紹介していきます。

釈迦如来(しゃかにょらい):両手を開く

釈迦如来は、その名の通り、仏教の開祖であるお釈迦様が悟りを開いた姿です。

見分け方ポイント

釈迦如来の見分け方は
【両手が広がっている】こと。

それぞれの手の形は、
・右手のひらを前に向けた「施無畏印」
・左手のひらを上に向けた「与願印」

と呼ばれています。

漢字の通り、施無畏印には
「人々から恐れを取り除く(おそれを施すことなかれ)」
与願印には
「人々の願い事を聞き入れ、その願いを実現させる(願いを与える)」
という意味があります。
お釈迦様らしいですね。

お釈迦様は、現代のインドとネパールの国境近くに住んでいたシャカ族の王族出身です。
人生の苦しみについて考え、厳しい修行を行い、最終的に悟りを開きました。

釈迦如来が有名なお寺

・清凉寺(京都府)木造釈迦如来立像
体の中には内蔵の模型や、仏への願いを記した「願文」など国宝に指定されるものが多く納められていました。
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・深大寺(東京都)釈迦如来像
飛鳥時代後期に作られた仏像です。東日本最古で東京では唯一の国宝です。
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阿弥陀如来(あみだにょらい):両手とも輪

阿弥陀如来は(古代インドの世界観における)西方の極楽浄土に住んでいる仏様です。

見分け方ポイント

阿弥陀如来は主に2パターンの印を結んでいますが、
見分けるポイントはどちらも 【両手とも輪】
になっていることです。

人差し指と親指で輪を作り...
・右手は前、左手は上を向ける「来迎印(らいごういん)」
・右手を上に両手を重ねる「阿弥陀定印(あみだじょういん)」
を結んでいます。

阿弥陀如来は、かつて法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)という名で、
生きとし生けるものを救う48個の願いを立て、長い修行の末、悟りを開き如来となりました。
このことから、全ての生き物を救い極楽浄土へ導いてくれる存在として信仰されています。

阿弥陀如来が有名なお寺

・高徳院(神奈川県)阿弥陀如来坐像
高徳院の大仏は国宝に指定されています。
1252年から作られ始めましたが、完成した年や作者などが不明の仏像です。
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・平等院鳳凰堂(京都府)阿弥陀如来坐像
平安時代後期に作られた仏像です。
日本を代表する仏師である定朝の現存する唯一の作品です。
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薬師如来(やくしにょらい):左手に薬壺(やっこ)

薬師如来は、古代インドの世界観で東側にある浄土「浄瑠璃世界(じょうるりせかい)」に住んでいる仏様です。

見分け方ポイント

薬師如来の見分け方は、立っていても座っていても
【左手に薬壺(やっこ)】を持っていること。

とてもわかりやすいですね。

薬師如来は悟りを開く前、
・病気で苦しむものを救う
・飢えやに苦しむ人々に食べ物を与える

など12の願いを立て修行を行い、悟りを開きました。

このことから、生きとし生けるものの病と苦しみを癒し、救うことで幸せをもたらす仏様として信仰されています。

薬師如来が有名なお寺

・薬師寺(奈良県)薬師如来像
飛鳥時代に制作され、国宝にも指定される仏像です。
現在も薬師寺の創建当初の姿を残しています。
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・神護寺(京都府)薬師如来立像
平安時代初期に作られた国宝に指定されている仏像です。
威厳のある表情をしているのが特徴です。
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大日如来(だいにちにょらい):忍者か坐禅の手

大日如来は秘密の教えをもとに修行を行う「密教」の中心となる仏様です。

見分け方ポイント

大日如来は、如来なのに
【アクセサリー付き】です。

頭には宝冠、さらに首飾りなどをつけています。


坐禅のような手の法界定印(ほっかいじょういん)=胎蔵界(たいぞうかい):
大日如来の理性の面を表す世界

忍者のような手の智拳印(ちけんいん)=金剛界(こんごうかい):
大日如来の知恵の強固さを表す世界

と覚えましょう。

「大日」という言葉は元々「偉大なる輝くもの」という意味を持っていました。
この言葉から「すべてを照らす絶対的な仏様」として信仰されるようになりました。

大日如来が有名なお寺

・円成寺(奈良県)大日如来坐像
平安時代末期に作られた、歴史的な仏師 運慶が20代に手がけた最初期の作品です。
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・金剛峯寺(和歌山県)大日如来像
高野山真言宗総本山の金剛峯寺の大塔には胎蔵界、西塔には金剛界の大日如来が安置されています。
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毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい):東大寺と唐招提寺が超有名

毘盧遮那如来は盧舎那仏(るしゃなぶつ)とも呼ばれ、仏教の教えそのものを形にした仏様です。

見分け方ポイント

見た目は釈迦如来とほとんど一緒です。

しかし、毘盧遮那如来が見られるお寺は、
東大寺(奈良県)、唐招提寺(奈良県)、戒壇院(福岡県)
などあまり多くありません。
まずは、この3つのお寺を覚えておきましょう。

太陽のように全てのものを照らす光を放つ、宇宙の中心的な存在として信仰されています。
密教の教えでは、大日如来と同一の仏様とされています。

毘盧遮那如来が有名なお寺

・東大寺(奈良県)盧舎那仏坐像
東大寺の大仏は、高さ約15mと世界最大の金銅仏です。
世界遺産にも登録されるなど、日本を代表する仏像の一つです。
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・唐招提寺(奈良県)盧舎那仏坐像
奈良時代に作られた、国宝に指定されている仏像です。
本体の後ろには化仏と呼ばれる小さな仏像が862体置かれています。
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【それぞれに異なった枠割がある】如来と菩薩の違い

如来と菩薩の違いはつまり

・如来=悟りの理想系
・菩薩=修行者としての理想系


ということです。

如来は私たちが悟りを開くためにどうすればいいかという方向性を示してくれます。
対して、菩薩は悟りを開くための道のりでの困難や願いを叶えてくれます。

このような両者の役割を活かし、如来と菩薩をセットで祀ることもあります。

【如来のサポート役】如来と菩薩の関係性

如来と菩薩をセットで祀る場合、それぞれを

・如来=中尊(ちゅうそん):中央に配される仏像
・菩薩=脇侍(わきじ・きょうじ):中尊の両脇に配される仏像

と呼びます。

中尊と脇侍をセットにして「三尊(さんぞん)」と呼びます。

ここからは中尊に配される如来と、両脇を固める脇侍の解説をしていきます。

薬師如来の脇侍は日光菩薩と月光菩薩


薬師如来の脇侍は向かって左側に月光菩薩、右側に日光菩薩が配されています。
月光菩薩は知恵の光で、日光菩薩は慈悲の光でこの世を照らし、常に薬師如来をサポートしています。

阿弥陀如来の脇侍は観音菩薩と勢至菩薩


阿弥陀如来の脇侍には向かって左側に勢至菩薩(せいしぼさつ)、右側に観音菩薩が配されています。 勢至菩薩は阿弥陀如来の知恵を、観音菩薩は慈悲を表すとされています。

釈迦如来の脇侍は文殊菩薩と普賢菩薩


釈迦如来の脇侍は向かって左側に文殊菩薩、右側に普賢菩薩が配されます。 文殊菩薩は釈迦如来の知恵を、普賢菩薩は実践する力を表しています。

【すべての人々を悟りに導く】如来の由来

【真如から来るもの?】如来の名前

「真理から来る」仏様である如来は、
サンスクリット語では「タターガタ:tathāgata」と言われ

・tathā=如(真理、ありのまま)
・gata=来る


の2つの言葉を合わせて「真理から来る人」と呼ばれるようになりました。

「真理」という言葉にはさまざまな意味が込められており、完全な説明は難しいのですが、「真理から来た者」を簡単に言い換えると、
「悟りを開き、この世の全てを知った完璧な存在」 となります。

如来という言葉は元々、インドにあったいくつかの宗教の中で「優れた宗教者」という意味で使用されていました。
その言葉が、初期の仏教の中では、悟りを開いた後のお釈迦様を示す言葉になりました。

【たくさんの如来がいるのはなぜ?】如来の起源

先ほど少し触れたように、初期の仏教では悟りを開いたお釈迦様のことを如来 と呼んでいました。
悟りを開いた如来は、完璧な存在とされ、その力は非常に強力だと考えられていたのです。
このため、一つの世界に如来が一人いれば十分だとされ、結果として「一仏一世界論」という、一つの世界には一人の如来しか存在しないという考え方が生まれました。

しかし、この考え方に則ると、お釈迦様が亡くなってからは、私たちが住むこの世界に如来が1人も存在しないことになります。
このことを恐れた当時の仏教徒たちは、仏教の世界を発展 させていきました。
例えば、
・西方極楽浄土の世界にいるのは阿弥陀如来
・東方浄瑠璃世界にいるのは薬師如来


というように、複数の世界にはそれぞれ一体の如来が存在できるとすることで「一仏一世界論」に反することなく複数の如来を存在させる ことができるようになりました。

こうして発展していった仏教の世界観は「三千大千世界(三千世界)」と呼ばれ、様々な如来が存在する広大な宇宙を表しています。

上記のような世界観の発展が、現在の仏教における多仏思想に繋がり、様々な種類の如来の仏像が作られるようになったのです。

終わりに

ここまで如来の見分け方や役割について解説してきました。

人々を悟りに導く「如来」。
手の形や持ち物に多くの教えが込められています。

仏像に込められた教えや物語を知ることで何気なく手を合わせていた仏像から、新たな学びや感動を得られるはずです。

ぜひ、この機会に仏像を見にお寺に参拝してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

神社お寺の検索サイト「ホトカミ」運営代表

吉田 亮


月間120万人の神社お寺ファンが使う神社お寺の検索サイト「ホトカミ」を運営する株式会社DO THE SAMURAI代表取締役。
東京大学理科II類入学後、文学部言語文化学科日本語日本文学(国語学)専修課程卒業。
2013年より日本文化や歴史を後世に繋ぐ事業を開始、2016年法人化。
これまで2000人以上の参拝者との対話や、累計1000万アクセスを超えるお参りに関する記事の執筆編集、100年後に神社を残すために社会と神社の接点を創出する。
この記事の書き手

ホトカミ編集部 御朱印記事ライター

高原 健太郎


日本文化や神社お寺が好きです。
独特の雰囲気に魅了されてから、寺社めぐりが趣味になりました。
この記事のイラスト提供

イラストレーター

田中ひろみ


絵文人・仏像研究家(株)TERABIT代表、奈良市観光大使女子の仏教サークル「丸の内はんにゃ会」代表。
カルチャー センター講師。元ナース。テレビ出演、講演も多数。ART ・俳句・盆踊らー
著書 『イラストレーターが作った仏像ハンドブック』(ウェッジ) など約70冊

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