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みぞのくちじんじゃ

溝口神社のお参りの記録一覧
神奈川県 溝の口駅

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平野慎一
平野慎一
2025年05月06日(火)450投稿

緑の葉が日に透けて、空に揺れている。初夏の昼下がり、世田谷の住宅街を抜けて、私はふと足を止めた。そこに佇んでいたのは、静かに時を重ねてきた溝口神社。鳥居の向こうに漂う空気は、街のざわめきから切り離された、どこか懐かしい匂いがした。

木立の間を抜ける風が、肌を優しく撫でていく。手水舎に落ちる水音は涼やかで、その響きに誘われるように心がほどけてゆく。社殿までの参道には、季節の光が斑(まだら)に落ち、木漏れ日の絨毯が敷かれていた。

境内には誰の声もない。ただ、風と葉のささやき、時折響く鳥のさえずり。それだけで、十分すぎるほど豊かな音に満ちていた。蝉の声にはまだ早く、空はどこまでも青く、雲はのびやかに漂う。そんな空の下、拝殿の屋根が柔らかな日差しを受けて静かに輝いていた。

願い事をするというよりは、ただ立ち止まって、深く息を吸い込む。それだけで、心の奥に染み込むような清らかさがある。忙しない日々に、こうして何も求めず、ただ風の中に立ち尽くす時間のなんと贅沢なことだろう。

帰り道、緑に縁取られた参道を振り返ると、陽の光が葉の隙間から降り注ぎ、まるで見えない祝福のヴェールのように私の背中を押してくれた。

初夏の溝口神社──それは、季節と対話するような、ささやかで美しい時間だった。

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