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本昌寺の日常(17回目)大阪府岸和田駅

春季彼岸施餓鬼法要終了後 住職のお話

投稿日:2024年03月23日(土)
3月19日に奉行致しました春季彼岸施餓鬼法要終了後、住職がお話しした内容です。

口語調になっていますことをご了承下さいませ。

(以下、法要後のお話)

ご参列、誠にご苦労様でございました。
春季彼岸施餓鬼法要にて、皆様の志すところのご霊位に、法華経・お題目の回向供養を手向けさせて頂きました。
昨年11月の法燈継承式から早4ヶ月。
このお彼岸のご案内の書面にも書かせていただいたんですが、現在お寺は、先代住職と私の所帯が入れ替わるため、引越しの準備でてんやわんやしております。
もちろん引越しだけでなく、築20年を超えておりますので、修繕すべきところ修繕したりなどをしながら、進めているんですが、まぁ結構大変ですね。
みなさん、引越しの経験はおありでしょうか?
引越しって、住んでた時期が長ければ長いほど大変ですよね。
長ければ長いほどモノがたまりますし・・・

特にお寺というのは、過去がわかる資料を大切に保管していることが多く、それゆえにどうしても捨てられないものが増えていきます。
そこらへんの整理整頓も含めて事を進めてるので、まあ時間がかかります。
捨てちゃいけないものを捨ててしまってはいけないですからね。

そんなこんなで、お寺内のことにせっせと取り組んでいるんですが、色んな過去の資料に目を通しながら作業をしていると、いろいろと気になる資料などが出てきたりして、お寺の歴史を振り返るきっかけになっています。

今日はそんなお話をさせて頂こうかと思います。

昨年11月26日に法燈継承式を勤め、晴れて本昌寺の住職に就任させていただいたのでわけですが、その継承式で読み上げた奉告文に、
『本昌寺が法華の道場として、歩みを進めていけるように』
と、ご宝前にて誓願を立てました。

『法華の道場として歩みを進めていく』

これでは具体性に欠けます。
実際にはどういうことなのか?

私は、この点において先人たちの智慧をお借りしました。

住職交代式以前より、お寺のモノを整理していたのですが、改めて気づいたことは、本昌寺は、多くの縁ある方々に支えられ、とりわけ法華信仰者の方々に支えられて今日があるということでした。

有名な方で申しますと、徳川家康公の側室で、法華経・お題目を篤く信仰していらっしゃったお万の方様です。
ついこの間まで、NHKの大河ドラマ『どうする家康』が報道されていましたが、その中で、女優の松井玲奈さんが演じていた方が、お万様ことお万の方様です。

徳川家康公が51歳の時に、17歳で側室としてお迎えされます。

器量よしで、非常に聡明な方であり、法華信仰にも熱心であったお万の方様は、家康公からの寵愛も非常に熱かったと言われております。

本昌寺がなぜ、家康公の側室であるこのお万の方にご縁があるかとお申しますと、お万の方様は、当山の第2祖である日遠上人という方を篤く信頼し、折に触れてお説法をお聞きし、自身の宗教的指導者とされていたからであります。

この日遠聖人と言う方は、晩年、身延山久遠寺の法主猊下となられた方で、実質、日蓮宗のトップの座に着くことになります。

日蓮宗門としては、この日遠聖人とお万の方様がいらっしゃらなければ、今の日蓮宗はないと言えるほどの功労者として位置付けており、もちろん、このお二方がいらっしゃらなければ、今の本昌寺もなかったであろうと、私は考えています。

そんなお二方の法華信仰は、いかがなものであったのか?
ここにきっと大事なことがあるだろうと言うことで、関連書籍を読み漁って気づいたことは、両人の・・・とりわけお万様の懐の深さでありました。

そもそも、法華経というお経は、誰もが仏になれると説かれたお経であり、平等であることの重要性を徹底的に訴えたお経なので、そこに老若男女の垣根もなければ、差別もありません。
ですので、非常に懐が深いお経と言えるのですが、お万様の懐の深さも、法華信仰によって培われたものだろうと、感じずにはいられなくなりした。

お万様のお人柄がわかるエピソードを、1つご紹介させて頂きます。

身延には七面山というお山があります。
江戸初期の時代、七面山は修験道のお山であり、現在も修験道のお山として有名な大嶺山同様、女人禁制のお山でした。
結論から申し上げると、この女人禁制の制約をとっぱらったお人こそ、お万の方様であり、現代において老若男女の差別なく、この七面山に登ることができるのも、お万の方様のお陰なわけです。

江戸初期の時代、女人禁制などの制約は、至極当然のものとしてありました。
そういった決まりを反故にすることは、神仏からお咎めを受ける。
当たり前のように、そう信じられてきました。

身延山の僧侶たちも、そう信じられていた当時、
そんな僧たちに、お万の方様はこのように訴えられました。

「法華経の行者である日蓮聖人様が眠る身延山。
そんな身延にある七面山のお山が、女人禁制でいいのでしょうか?
法華経は、皆が仏になれる教え。そこに男も女も、老いも若きもないでしょう。」

このようにおっしゃられて、身延山の僧たちは戸惑います。
ですが、この訴えを真摯に受け止められたのが、当時の法主猊下である日遠聖人です。

お万の方様の訴えを聞き、身延山の僧をまとめあげ、以後、女人禁制の制約なく誰もが登れる信仰のお山として、七面山は生まれ変わりました。

このエピソードから、法華経という経典がどういうものなのかを窺い知ることができます。

今まで当たり前のように信じられてきたことを180度転換する。
非常に大変なことだろうということが想像できます。
ここに、日遠聖人の懐の深さ、法華経の懐の深さを感じるのです。

本日の施餓鬼法要にて、皆様と共に法華経・お題目の功徳を捧げ、皆様が志すところ亡き親先祖様に回向を手向けさせて頂きました。

正直、僧侶としての私の力なんてのは、てんで大したものではありません。
ですが、私が安心して回向供養を手向けることができるのは、この懐の深い法華経には力があると信じることができているからです。
法華経で供養させて頂ければ、たとえ生前に法華経の信仰がなくとも、イスラム教やキリスト教を信仰していようとも、無宗教を主張する神仏を信仰することのない方であったとしても、きっと大丈夫である、成仏できると私が思えるのは、紛れもなく法華経であるからだと言えます。

ちなみに家康公の菩提寺は増上寺というお寺です。
家康公が関東の地を治めるようになってまもなく、徳川家の菩提寺として増上寺が選ばれました。
増上寺は浄土宗のお寺、安倍元総理の葬儀が行なわれたお寺ですね。

家康公は晩年、天下泰平の世を造るという大義のためとはいえ、自身の手を血に染めてきたことに対する罪悪感に悩まされることになるんですが、その際にお万の方は、家康公ご自身の信仰を大切にされることを伝え、お写経などをお薦めになり、お万様ご自身は法華経で、お題目で家康公が救われることを一心に願ったと言われています。

家康公が最期の時を迎えた後も、お墓のある増上寺で法要を勤めるだけでなく、ご自身の菩提寺である大野山 本遠寺でも法要を営み、ご自身の信仰、法華経・お題目で、家康公の成仏を一心に願われております。

また、家康公から受け継がれた莫大な財産は、その多くを身延山に御寄進されたと伝えられております。

とまぁ、お万様についてお話をしてきましたが、
こういった歴史を知ることで、まず自分がこのお寺でさせて頂かないといけないと思ったことは、お万様や日遠聖人だけでなく、歴代の住職さん、その住職さんを支えてきた方々、現代で言えば歴代の総代さん、世話人さん、婦人会の皆様、そして檀信徒の皆様の祖先の方々、とりわけ、法華信仰を大切にされてきた方に対して法華経を奉読し、回向供養を手向けることです。

法華経というと、方便品と寿量品をよくご拝読しますが、実際には28章で構成されている非常に長いお経です。
令和6年になってから、そんな法華経の一部経(全て)を月に2回読み上げる奉読行を始めました。
法華経一部経 1回の奉読行にかかる時間はおよそ7時間〜9時間です。
2回ですので、その倍の14時間〜18時間の読経になります。

それに加えて、やはり法華経の懐の深さ、お万様、日遠聖人の懐の深さを、自分自身も身につけ、本昌寺そのものが懐の深いお寺となっていくこと。
それが、法華の道場として歩みを進めていくことになるだろうと考えるに至りました。

この奉読行は、私1人でも続けていきますが、今後、お寺の朝のお勤めの時間を解放するなどして、志のある方が現れれば、共に法華経の奉読行をして参りたいと思います。

これから、色々な取り組みをしていきたいと考えていますが、その根幹に法華の精神、お万様や日遠聖人のような方々の精神を忘れずに、取り組んでまいりたいと思います。

どうか、ご参列の皆様方も、お万様のご信仰から、何か感じ取って頂ければ幸いでございます。

すてき

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