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普元寺の日常(26回目)愛知県西尾駅

忘れられないお葬式

投稿日:2020年02月17日(月)
皆さま、こんにちは。普元寺の住職です。一雨ごとに春の香りが広がってきました。

毎年この季節になると思い出すお葬式があります。そのお葬式は、喪主が30代の男性で、お亡くなりになったのはお父さんです。よくお寺参りをされるご家族でした。お葬式の最後に喪主の息子さんが、以下のような深く心に残るご挨拶をされました。

「本日はご多用の中、父の葬儀にお参りくださいまして誠にありがとうございました。働き者で元気だった父が突然仕事をやめ今日に至ったことをいぶかしく思っておられるかたもいらっしゃるでしょう。父は昨年6月、全身の筋肉が縮んでいく難病だと診断されました。医師はそのことを本人にも告げると同時に私に向かっては、"お父さんにいい思い出をつくってあげてください"と言われました。仕事一筋で働いてばかりの父でしたから、私は父の身体が動くうちにと思って休暇を取っては父を旅行に連れて行きました。しかし、思いのほか病気の進行がはやく、秋には車椅子なしでは動けなくなりました。年末には寝たきりになり入院を余儀なくされました。父を一人ぼっちにさせまいと、私はできる限り病院へ通いました。その頃まだ父は意識はしっかりとしており、右手の人差し指が動きましたので、その指を使って会話をすることができました。今年に入って外泊を許された日、久しぶりに家に帰って来た父と家族そろって父が好きなお寿司を食べました。その日が最後の外泊となりました。病院に戻った父が亡くなる前に最後に指を使って書いた言葉は、

「し・あ・わ・せ・だ」

という五文字でした。それまで父と過ごした36年よりも重みのある1年だったような気がします。本当の親子になれたような気がします。残された私たち・・・いや、私はどうしても残されたという気がしません。父は今も私のすぐそばにいて、私を励ましていてくれるような気がします。見ていてくれるような気がします。これからは仏さまになった父に導かれて、家族で力を合わせて生きてゆきたいと思います。若輩者です。どうぞ皆さま、ご指導をよろしくお願い致します」(大要)

こんなご挨拶でした。
仏さまの み教えを聞き開いたものにとっては、
死は虚しく滅びることではなくて、お浄土に生まれて仏さまに成らせていただく「ご縁」です。「親は死してなお子を育ててゆく。また、亡き子に親が導かれてゆく」そんな豊かな世界を仏さまの教えは開いてくださいます。

そんなことを改めて教えられたお葬式でした。
普元寺の自然

すてき

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