仏器（ぶっき）磨きをしています

そうなると、やはりちょっと煮詰まってしまうもので、最近は、仏器（ぶっき）と呼ばれる真鍮製の仏具を磨く時間をとるようにしています。

　
手前の仏器は、どかしてしまった後ですが、真ん中の仏塔【以外】の、壇に載っているものは、すべて仏器です。こんな風に、お寺にはたくさんの磨かれるべき仏器があります。そして、真言宗は他宗さんよりも仏器の数が多い印象です。
　
なかなか手が回らないので、年1回、年に数回など、決まったタイミングで、檀家さん方をお呼びして、お手伝いをしてもらっているお寺も多いかと思います。
　

　
高野山での修行中もよく仏器を磨きました。「仏器を磨くことは、心を磨くことなんですよ」とか、「磨いた仏器がすぐ曇るように、私達の心もあっという間に曇ってしまう。だから、こまめに磨かないといけないんですよ」とか、先生方に言われながら。
　
今でも本当にそうだなぁ…とも思いますし、磨きたての仏器を見ると「いや、私の心、さすがにここまでは光ってないのでは…うふふ」とも思うこともあります。
　
いやぁ、さすがに「心を磨く修行」となると、受け止め方が難しいですね。笑
　
　
檀家さんたちに、本堂を新しくしてもらった時に、多分大半の仏器も奉納いただいたはずですので、これらの仏器は、30年ほど前から、どなたともわからない檀家さんの奥さん方が定期的に磨いてきてくださったことになります。
　
その当時、本堂ではどんな会話がなされたのだろう？本尊様はそれをどんなお気持ちで見守っていたのかしら？
　
…なんて、時間の流れや見えない誰かに思いを馳せてみたり、仏さまの目線を意識してみたりするのも、お寺ならではなのかもしれません。
　
　
本当は仏器じゃなくても、家や職場がお寺じゃなくても、私たちの身の回りにあるものはみんな、誰かが思いを込めて、育てたり作ったり届けてくれたりしたものなんですよね。
　
ただ私達の心は、刻一刻と移り変わりますし、とても曇りやすいものですから…身の回りの物を大切にしたり、お掃除をしたりすることで、自分の心を整えたり、自分以外の見えない誰かに感謝したりする…それが、とても大切なことなのだろうなぁと、改めて思います。
　
　
先月末の緊急事態宣言（※北海道）から数えて、5度め週末、私はこんな感じです。
皆さまそれぞれの場所で、お元気でいらっしゃいますように。