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楽しみ方千手観音とは?1000本の手が表す意味や人々を救う方法を徹底解説
※記事中に使用したイラストの無断転載を禁止します。
「千手観音ってどんな仏様?」
「本当に1000本の手があるの?」
「千手観音の有名なお寺を知りたい」
全国8万ヶ寺以上のお寺を紹介する日本最大の神社お寺・御朱印の検索サイト「ホトカミ」編集部の高原です。
こんな仏像を見たことありませんか?
この仏像は「千手観音(せんじゅかんのん)」という仏様です。
特に京都にある三十三間堂には、なんと1000体もの千手観音が祀られていることで有名です。
たくさんの手を持つ姿が印象的ですが、どうしてこんなに多くの手があるのか、不思議に思いませんか?
そこで、この記事では千手観音がたくさんの手を持っている理由や、どんな仏様なのかを紹介します。
千手観音を知ることで、お寺への参拝がより楽しく深い体験になるはず。
ぜひ最後までお読みください。
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千手観音菩薩:たくさんの手+頭に11の顔
千手観音菩薩は、1000本の手とそれぞれの手のひらに眼がついているため、「千手千眼観音菩薩(せんじゅせんげんかんのんぼさつ)」とも呼ばれます。
しかし、実際には42本の手で表されることが多いです。
・たくさんの手
・頭上に11の顔
といった特徴があれば千手観音です。
【手は1000本じゃない!?】千手観音の手の数とその意味
千手観音はその名の通り「千本の手がある観音菩薩」という意味ですが、基本的には実際に1000本の腕があるのではなく、
合掌する2本の腕とそれ以外の40本の腕の合計42本の腕を持った姿で表現されます。
千手観音の腕は1本でで25の世界を救うとされ、
40(腕の数)×25(各腕が救う世界の数)=1000
になることから、計1000の世界を救うと考えられています。
数は少ないですが、実際に1000本の腕を持つ千手観音も存在します。
また、それぞれの手のひらには目がついています。
手のひらの目は苦しんでいる人を見つけるためについています。
さらに、頭上には十一面観音と同じ11の顔を持っています。
この11の顔には、全方位を見渡し、人々の悩みや苦悩をチェックするという意味が込められています。
「千」は無限を表すため、全方位を見渡し、人々の苦悩や悩みを汲み取り、たくさんの手や眼により、人々を救う術を無限に持っている存在として信仰されています。
つまり、人々のニーズに合わせて、どんな問題も解決してくれる、万能な仏様ということです。
ここからは万能な仏様である千手観音がどのようにして誕生したのかを紹介していきます。
インドで生まれて日本に伝わるまで
千手観音の起源は7世紀ごろにインドで成立した「千手経」というお経です。
ヒンドゥー教の複数の顔や手を持つ神々の特徴や、仏像の中でも初期に登場した十一面観音や不空羂索観音の特徴に影響を受けて、たくさんの腕や頭がある姿をしています。
インドでは千手観音の仏像はほとんど作成されず、中国に千手経が伝わり、発展したことで実際に仏像が作られるようになりました。
そして、中国で漢訳された千手経を日本に持ち帰った玄昉(げんぼう)などにより、8世紀前半に日本でも信仰され、千手観音像の作成が始まりました。
【如来からの命令がきっかけ】1000本の腕がある理由
先ほど少し触れたように、千手観音は千手千眼観音菩薩とも呼ばれ、その名の通り千の手と眼によって全ての人々を救う仏様とされています。
あるとき、千光王静住如来という如来が現れ、観音菩薩に対して
「全ての人々のために大きな利益と安楽をもたらしなさい」
という内容の呪文を説きました。
この呪文に対して、観音菩薩は
「全ての人々に利益と安楽をもたらすために、体に千の手と眼を備えさせてください」
と願いました。
するとすぐに千の手と眼が備わり、現在見られるような千手観音の姿になったとされています。
こうして、千手観音は千の手と眼を使って人々を救済する仏様として信仰されるようになりました。
ここまで、千手観音のことについて詳しく解説してきました。
見分け方や、1000本の手を持つ姿になった背景がわかりましたね。
千手観音は、大きく分けて「如来、菩薩、明王、天部」の4つに分類される仏様の中で、上から2番目の菩薩と呼ばれるカテゴリーに属しています。
ここからは「菩薩とは何なのか?」また、「観音菩薩とは何なのか?」について簡単に解説していきます。
菩薩は悟りを開く前の存在
菩薩(ぼさつ)は、悟りを求めつつ人々を救済する、出家前のお釈迦様の姿をしている仏像です。
「菩薩=悟りを開く前」と覚えましょう。
出家前のお釈迦様はインド釈迦族の王子であったため、
如来と比べて綺麗な服装やアクセサリーを付けていて、千手観音も煌びやかな姿をしています。
菩薩にもたくさんの種類がありますが、中でも有名なのが観音菩薩です。
では、観音菩薩はどんな存在なのでしょうか?
さまざまな姿に変化する観音菩薩
観音菩薩は、「音を観る」という名の通り、世の人々の声を聞き、その悩みや苦しみから救う仏様です。
一般的な菩薩との違いは、人々の声に対応するために様々な姿に変化することです。
例えば、頭上に馬の頭をつけた馬頭観音は、雑草を食い尽くすように一切の煩悩をなくすために姿を変えています。
そのなかで千手観音は、十一の顔で全方位を見渡し、人々のどんな悩みもキャッチし、全てを解決するために千本の手が生えた姿をしています。
六観音:6つの世界を救う観音菩薩のチーム
仏教では、私たちは6つの世界を生まれ変わりながら徳を積んでいき、最終的には全てから解放された世界を目指します。
六観音は、その六つの世界それぞれに対応した観音菩薩のことです。
その中でも千手観音は常に渇きと飢えに苦しむ世界である餓鬼道を救う仏様でもあります。
詳しくはこちらの菩薩の特徴や見分け方の記事で解説しています!
>>【初心者必見】菩薩の見分け方ガイド!観音や弥勒など菩薩の種類と役割を徹底解説
ここまで、観音菩薩がどういった存在なのかを簡単に解説してきました。
ここからは、そんな千手観音が祀られている有名なお寺を紹介していきます。
千手観音が有名なお寺
三十三間堂(京都府)千体千手観音立像・千手観音坐像
三十三間堂には千手観音が1000体が祀られています。
お堂の中に整然と並ぶ姿は圧巻です。
お堂中央には、千手観音坐像が配されています。
1000体の千手観音立像とお堂中央の千手観音坐像はすべて国宝に指定されています。
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葛井寺(大阪府)十一面千手千眼観音菩薩
葛井寺の千手観音は日本で最古の千手観音菩薩像です。
実際に1000本の手が備わっており、国宝にも指定される大変貴重な仏像です。
普段は一般公開されていませんが、毎月18日にご開帳され、姿を見ることができます。
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唐招提寺(奈良県)千手観音菩薩立像
唐招提寺の千手観音は計953本の手を持っており、こちらも千本近く手を持つ千手観音として大変貴重な作例です。
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興福寺(奈良県)木造千手観音菩薩立像
興福寺の千手観音は鎌倉時代初期に完成したものです。
もともとは食堂の本尊として祀られていましたが、現在は国宝館でその他の仏像とともに祀られています。
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終わりに
ここまで千手観音の見分け方や起源について解説してきました。
十一の顔で全方位を見渡し、1000本の手と眼によって、全ての人々を救うとされる千手観音。
たくさんの手が備わったインパクトのある姿には、多くの意味が込められています。
仏像に込められた教えや物語を知ることで何気なく手を合わせていた仏像から、新たな学びや感動を得られるはずです。
ぜひ、この機会に仏像を見にお寺に参拝してみてはいかがでしょうか。
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神社お寺の検索サイト「ホトカミ」運営代表
吉田 亮
月間120万人の神社お寺ファンが使う神社お寺の検索サイト「ホトカミ」を運営する株式会社DO THE SAMURAI代表取締役。
東京大学理科II類入学後、文学部言語文化学科日本語日本文学(国語学)専修課程卒業。
2013年より日本文化や歴史を後世に繋ぐ事業を開始、2016年法人化。
これまで2000人以上の参拝者との対話や、累計1000万アクセスを超えるお参りに関する記事の執筆編集、100年後に神社を残すために社会と神社の接点を創出する。
ホトカミ編集部 御朱印記事ライター
高原 健太郎
日本文化や神社お寺が好きです。
独特の雰囲気に魅了されてから、寺社めぐりが趣味になりました。
イラストレーター
田中ひろみ
絵文人・仏像研究家(株)TERABIT代表、奈良市観光大使女子の仏教サークル「丸の内はんにゃ会」代表。
カルチャー センター講師。元ナース。テレビ出演、講演も多数。ART ・俳句・盆踊らー
著書 『イラストレーターが作った仏像ハンドブック』(ウェッジ) など約70冊
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