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法話と天井絵の寺 観音寺の日常(110回目)徳島県立道駅

祈願のこころを絶やさない

投稿日:2021年05月11日(火)
日本における瓦の三大産地をご存じですか。



そもそも一般家庭で屋根瓦を葺くことが少なくなりました。

ですが、寺院や神社など屋根瓦がないと建物としての風格を保てない場合があり、屋根瓦は根強い需要があります。



現在の瓦の三大産地は、三州瓦(愛知)、石州瓦(島根)、淡路瓦(兵庫)となっていて、全国の90%以上の生産量となっています。

特に、三州瓦は住宅の洋風仕様にも対応していて、全国の65%以上を生産しています。

今から40年ぐらい前までは徳島県の鳴門市でも屋根瓦が生産されていました。

徳島県の北部(鳴門市)では良質な粘土質の土が取れたからです。

今では良質な粘土質の土はレンコン栽培の土壌として役立っています。



鳴門市で作られた屋根瓦はとても重かったので陸路運ぶのは困難を極めました。

年配の方に話を聞くと50年ぐらい前までは水路が整備され、瓦を運搬する船が行き来していたそうです。

そのまま撫養港へ出て京阪神へ出ていきました。

途中で潮の流れが速い難所である鳴門海峡を通るため、海難事故も多かったようです。



觀音寺では古くから祈願をしていたようで、御札の見本が残っています。

正月に配付している御札を作るセットの中で発見したのが「船中安全」の小さな御札です。




筆跡からする私の祖父である先々代の住職が作成したものではないでしょうか。

海難事故の多かった鳴門海峡を越えて京阪神へ瓦を出荷するとき、船中安全の祈願のため頼まれて作成した祈願札ではないでしょうか。
今ほど船の技術が進んでいたわけでないので、航海も危険を伴ったのでしょう。
祈願札を懐に入れて出港した男たちの姿が思い浮かびます。

観音さまの功徳を書いた「観音経」の中に、海難にあっても観音さまの名を呼べば救われると書かれています。

御札には「観音経を唱え奉って船中安全を祈る」と書かれています。

おそらく、先々代の住職は観音経を唱えて御札の祈願をしたのでしょう。


船中祈願の依頼はありませんが、往時を偲ぶ觀音寺の宝です。

祈願のこころを絶やさないよう、護摩の火を絶やさないよう毎月のように祈願をしています。



5月16日(日)には初めての五穀豊穣祈願祭を行います。

風雨が荒れることなく平穏であり、檀家さんの生業である農業(梨農家、鳴門金時の農家、大根農家がおられます)が豊作であるよう祈願したいと思います。



合掌



仏教の知恵で心豊かに過ごせますように祈念しております。
法話と天井絵の寺 観音寺の授与品その他
先々代が作っていたとみられる「船中祈願」の御札

すてき

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