仏教を考える　2021年8月号

精進料理について　


精進とはひたすら修行に励むという意味であり、精進料理とは修行者としての決まりに基づいて作られる料理である。

精進料理を作る際には、大きな決まりごとが二つある。一つは動物性の食材を使わないことである。これは殺生を避けるためである。動物の肉を使わないだけではなく、出汁や調味料にも動物由来のものを使ってはならない。ただし、乳製品や卵など、使っていいか解釈が分かれる物もある。

もう一つは「五葷(くん)」と呼ばれる辛味や臭気の強い野菜を使わないである。ねぎ・らっきょう・にんにく・たまねぎ・にらが五葷とされるが、これも諸説ある。これらの味や臭いが人間の煩悩を刺激する為、避けるべきだとされている。

元々仏教では、肉や五葷は食べない方がいいものであり、食べてはいけないものではなかった。古代インドの修行者は家庭を回って余った食べ物を分けてもらっていた。従って出された食べ物を選り好みする方が修行者にふさわしくない行いだった。肉や五葷が食べてはいけないとされるのは、仏教が中国に伝わってからのことだと考えられている。

何を食べるにせよ、それは命をいただくということ、殺生をするということだ。だから日々の食事を大切にすることが、私達がなすべき精進である。