今月のことば　2021年3月

高山は仰ぎ景行は行く
『詩経』


【意味】
　高い山があればその山を見上げたくなる。広い道があればその道を行きたくなる。


【解説】
　この言葉では高山は立派な人物、景行は正しい方法を意味する。つまり、立派な人物は自然と皆から慕われ、正しい方法があれば自然と誰もがそれを実践するということである。

　何故私達は仏様をお祀りするのか。仏様を祀るといいことがあるとか、祀らないと悪いことがあるということではない。仏様は私達がより良く生きられるように教えを説いてくれる師匠である。仏様の教えが素晴らしいからそれを実践し、素晴らしい師匠であるから敬う。それが仏教を信じることであり、仏様を祀ることである。

　浄土宗において師匠となる仏様は阿弥陀様である。阿弥陀様は全ての人を浄土に導く。だから私達は安心して生きて死んでいける。その喜びを感じ、阿弥陀様に全てを任せたいという気持ちが心の底から芽生えた時、南無阿弥陀仏という言葉が溢れ出る。それこそが最も尊い念仏である。

　とは言え、それを目指してもかえって余計な考えに囚われるだけだろう。だからとりあえず手を合わせて唱えてみよう。念仏はそれぐらい軽い気持ちで取り組むことができる。そして日々続けていけば、それがどれだけありがたいか感じる時が来る。その時に阿弥陀様や念仏への思いが自然と変わるはずだ。