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聖徳太子一刀三礼の霊像。
祖原薬師如来 由来
大永元年1521、筑前の早良郡麁原村中尾字上ノ畑(現在地)に瑞雲山 龍善寺という寺があった。 開山の僧を玄宝禅師といわれる。 この寺は世の移るにしたがい次第に頽廢して、 寺跡に一禅院だけが残った。 此処には弥陀、薬師のニ尊像の佛像があったという。
慶長18年、浄徳という僧が、二尊のうち、本尊阿弥陀尊像(古伝に行基菩薩作という)を福岡、東唐人町に還し、 更めて一寺を開山、瑞雲山龍善寺を再興したという。
二尊のうち、薬師如来木像は、現在の地に鎮座される薬師堂の御本尊である。
その後200有余年。一時期、同村の松林山 顕乗寺の守るところであったが、 次第に退廃し、長年の風雨のため廃絶しようとした。
そんな折柄、文久2年、黄檗宗千眼寺第8世桂山師が、 町民と協力して佛像を修復し、堂宇を建てて再興した。
その後、明治末年まで50余星霜の間に、風雨の被害を受け、 破損も甚だしくなった。 そこでお堂再建のため、町民、信者等が相謀り、頼母子講を設けて、 明治45年、堂宇の建設に着手し、大正元年10月に竣工した。 更に同13年、境内、囲壁を改修して整備をおわった。
この堂宇建設から今日まで80年の歳月を経た。 その間、町民と信者は、 建物の老朽化と度重なる風雨その他の被害の都度、 境内の復旧を併せて修復を重ね、堂宇並びに境内の護持、保存に努めて今日に至った。
古来、住民はこのお堂を「お薬師様」と呼び、 この地域の守護神、信仰の中心としてあがめて来た。 周辺の住民は無病息災を希って遠く早良、糸島、筑紫、粕屋地方からも参拝者が多い。
毎年、7月8日の大祭は盛大な行事が行われ、 数多くの夜店が出る程の賑わいであった。 また7月15日の夏越し祭りでは、 悪疫退散を願って昭和33年夏迄、 町中の壮年、青少年が、揃いのハッピを着て、赤青一対のお獅子を舁いて、 赤い「そ」の字の入った弓張り提灯を先頭に、勢い水をかぶりながら各家庭を軒並み廻る、 全町あげての勇壮なお祭りであった。
○薬師様祭日 毎月 8日 21日
○大祭 毎年 7月8日
○夏越祭り 7月15日
一、この薬師如来木像、聖徳太子一刀三礼の霊像と伝えられる。(「早良志」)
ニ、浄徳法師とは、藤原の子にして、熊本菊池八代能隆の第4子城越前守隆経の15代の孫、 城久基の後身である。久基は戦乱の世の無情を感じ、18才にして武士を捨て熊本西光寺の佛門に入り、 浄徳と号した。
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