【戦争のこと】

（長文です）
こんばんナム（^人^）

先日の春の彼岸中、77回忌の法事を行った方がいました。

私の坊さん人生で、77回忌を行ったのは初めて。

檀家さんに伺ったところ

「何気なくふと、お位牌を見たら、今年77回忌だと思って...」

亡くなったのは昭和20年。戒名を拝見する限り、戦争で命を落とした方でした。

法事の後、お寺に問い合わせの電話がありました。

「蓮久寺さんの境内に、アメリカ兵が一時、埋葬されていたということを聞きまして...」

不思議にも、また、戦争についてのこと。

だいぶ前に同じ内容の電話があったのですが、どうやらアメリカの方でそういった記録が残っているのです。

戦時中、木更津市烏田の山中に、B29が墜落しました。私の父は、当時小学生で、八重原小学校付近にあった、交番の駐在さんと一緒に、竹やりを持って、墜落した場所に見にいった、バラバラになった機体と一緒に、アメリカ兵の遺体もあった、と話をしています。

ただ、そのアメリカ兵を、お寺に埋葬した、ということは父の記憶にはないのです。

当時、祖父が住職をしていました。私が生まれる前に、祖父は亡くなっていたので、直接会ってはいませんが、父が「とても優しい人だった」とよく話しています。

これは、私の想像ですが、アメリカ兵は日本にとっては敵、とはいえ、その亡骸を山野に晒すことは忍びなく、お寺まで移動して、埋葬したのではないかと。

そんなことをしては「非国民め！」と周囲の人に言われかねないので、数人で事をひっそりと行った。記録に関しては、誰の目に入るか分からないので、あえて文書として残さなかった。

アメリカの方の記録では、戦後、遺体を掘り起こして、自国に持ち帰った、となっているそうです。

アメリカ兵が、境内に埋葬された事を通して、当時の日本人の優しさ、敵味方を越えた「慈悲」の心を感じました。

昭和20年の戦争で亡くなった方は、皆さん77回忌を迎えます。それはアメリカの方にとっても同じ。

年忌法要で供養をすることは、故人を偲び、故人の生き様から子孫が生き方を学ぶ大切な時。

「故（ふる）きを温（たず）ねて　新しきを知れば　以って師となるべし」
『論語』

アメリカ兵が蓮久寺に埋葬されていた事を通じて、戦争のことを地域の方々に知っていただけたらと思っています。

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