今月は「長久」と謹書し、「リンドウとウサギ」を描いております。
「長久」という言葉は中国の古典『老子』にある「天長地久」すなわち天地が永遠であるように物事がいつまでも続くことを意味する語より採っております。かつて天皇陛下の誕辰(たんしん=誕生日のこと)を「天長節」(てんちょうせつ)、皇后陛下のそれを「地久説」(ちきゅうせつ)と称したのもここからきています。
また今回の絵柄は次のような言い伝えに基づいています。昔々修験道の租と仰がれる役小角(えんのおづぬ)またの名を役行者(えんのぎょうじゃ)が日光の山奥で修行中にウサギが一所懸命に草の根を掘り出しているのを見かけました。「何をしているのか?」と行者がウサギに尋ねたところ、「病気の主人のために持ち帰るのだ」と答えました。それを聞いた行者も病人に試してみたところ大いに効き目がありました。この薬効ある根がリンドウという花のものだったという訳です。
実際、リンドウという名は漢方薬の「竜胆」(りゅうたん)からきているといいます。そうした病を癒す力を持つことから「敬老の日」(毎年九月第三月曜、本年は九月十八日)に際し、おじいちゃん・おばあちゃんの長寿を願い贈り物としてリンドウが選ばれることも広く行われています。
この度は老若男女問わず皆様が「長く久しく」お健やかでありますよう祈念しつつ奉製いたします。
※九月十八日(月)は諸事情により書置きでの対応とさせていただきます。
9月の月替特別御朱印「長久」