ご朱印 令和5年4月「共に咲ふ」
今月は「共に咲(わら)ふ」と題し、桜の絵を描いております。
和銅五年(七一二)成立の現存最古の書物『古事記』に「八百万神(やおよろずのかみ)共に咲(わら)ひき」と出てくる所から採りました。
「咲」は「笑」の古字で、かつては「笑ふ」を「咲ふ」と書いたのです。後にその「咲」を「花が開く」意味で使うようになったのは日本独自の用法です。私達の先祖は「笑う」ことと「開花」を重ねて考える感性を持っていたのです。今回の元になった『古事記』の文は天岩戸神話の箇所に出てきます。天照大御神が岩戸に籠られたことで天上も地上も暗黒に覆われてしまいました。その大御神が外に出てこられる直接のきっかけが神々の「大笑い」でした。これにより世界に光が戻ったのでした。「笑う門には福来る」とも申します。花々が咲き開くように皆で笑って明るい世にいたしましょう。