稲荷大明神

神奈川県 京急長沢駅

稲荷大明神は、神奈川県横須賀市長沢に鎮座しています。
最寄りは京急線の京急長沢駅で、そこから徒歩約10分ほど。

稲荷神社らしく、連なった朱色の鳥居と数多くの幟が参拝者を出迎えてくれます。幟には地元の商工業者と思しき寄進者名が連なっていました。

鳥居と祠という極小規模な配置をしていています。境内を正面に見してふと左手に目をやると熊野神社の鳥居が見えます。その位置関係のせいか、まるで熊野神社の参道を通って稲荷神社へと向かっているかのような錯覚を覚えます。

私が参拝したのは夜遅い時間帯で、祠の前まで進み、柏手を打って手を合わせただけの簡素な参拝となりました。祠まで足を進めると足音がして、時間も時間だけにスマホの灯りを頼りにしてだったので。

航空写真を見ると、かつて稲荷神社の周囲には広大な田んぼや畑が広がっていたことがわかります。稲荷神社の目の前に聳え立つマンション、かつては見渡す限りの田んぼだと記憶しています。今では住宅地が周囲を覆い尽くしていますが、かつては海沿いに点在する集落（今の国道134号線から一本内陸に入った道路（通称「旧道」)から、人々が折に触れてこの神社を訪れていたのでしょう。

京急線の開通とともに駅前には団地群が建ち並び、一気に人口が増加した地域でもあります。
そんな急激な変化の遥か以前から、この地に鎮座し、地域を静かに見守り続けてきたのが稲荷大明神です。

現在、この地域──以前から「北下浦」と呼ばれていた場所──や横須賀市全体では、人口が減少傾向にあります。
それでも稲荷大明神は、変わりゆくまちの姿を、今も変わらず静かに見守っていることでしょう。