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不動明王とは?仏の教えに背く者を怒ってでも正す仏様の信仰や真言を徹底解説

最終更新:2025年02月27日(木) 12時27分01秒
公開:2025年01月30日(木)

※記事中に使用したイラストの無断転載を禁止します。

「不動明王ってどんな仏様?」
「なぜ怒った顔をしているの?」
「不動明王が有名なお寺を知りたい!」


全国8万ヶ寺以上のお寺を紹介する日本最大の神社お寺・御朱印の検索サイト「ホトカミ」編集部の高原です。

こんな仏像を見たことありませんか。

これは不動明王という仏像です。

特に、東寺の不動明王は国宝に指定されており有名です。

剣を持ち怒った顔が特徴的な仏像ですが、なぜ、そのような姿をしているのか不思議に思いませんか?

そこでこの記事では、不動明王が怒った顔をしている理由や、どんな仏様なのかを紹介します。

不動明王を知ることで、お寺への参拝がより楽しく深い体験になるはず。

ぜひ最後までお読みください。

    目次

  1. 不動明王は、怒った顔で剣などの武器を持った仏様
  2. 【インドで生まれ密教と共に広がった】不動明王の起源
  3. 【怒った顔は優しさの裏返し?】不動明王の信仰

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不動明王は、怒った顔で剣などの武器を持った仏様

不動明王は、煩悩を退治する仏様です。

見分け方ポイント

不動明王は燃え上がる光背と武器を持ち怒り顔をしています。

・ポニーテールを左に垂らす(弁髪:べんぱつ)
・燃え上がる光背(火焔光背:かえんこうはい)
・右手に剣
・左手に縄(羂索:けんさく)

この4つのポイントを覚えましょう。

炎の光背(火焔光背)と右手に持つ剣は悩みや欲望といった煩悩や災難を断ち切り、左手の羂索(縄)で全ての生き物を救うとされています。

不動明王の真言は、

・小咒(しょうじゅ)
「のうまく さまんだ ばざらだん かん」

・「慈救咒(じくじゅ)」
「のうまく さまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん」

火界咒(かかいじゅ)
「のうまく さらば たたぎゃてい びゃく さらば ぼっけい びゃく さらば たたらた せんだん まかろしゃだ けん ぎゃき ぎゃき さらば びきなん うんたらた かんまん」

の3つで、特に慈救咒が有名です。

【インドで生まれ密教と共に広がった】不動明王の起源

不動明王は、人々から煩悩を断ち切り、仏の教えに反する者をも正す仏様です。
サンスクリット語ではアチャラナータ(Acalanāta)と呼ばれ

・アチャラ=動かない(不動)
・ナータ=守護神

の2つを合わせて「不動の守護者」という意味があります。

誕生した時期は定かではありませんが、インドでヒンドゥー教のシヴァ神を仏教に取り込んだことが起源だとされています。

その後、8世紀前半ごろに中国で経典が漢訳されて、日本においては8世紀後半の平安時代初期に伝来し、密教の伝来と拡大に伴って各地で不動明王像が作られるようになりました。

ここまで不動明王の起源を簡単に説明してきました。
不動明王の信仰には密教と呼ばれる仏教の考え方の一つが深く関わっています。
ここからは不動明王と密教の関係を含め、不動明王がどのように信仰されてきたのかを解説していきます。

【怒った顔は優しさの裏返し?】不動明王の信仰

不動明王は煩悩を断ち切り人々を救う仏様

前述の通り、不動明王は仏の教えに反する者をも救う仏様です。
仏の教えに背く者は煩悩が多く残っており、人々から煩悩を断ち切るため羂索と呼ばれる縄を持っています。

・利剣(りけん)=人々の煩悩を断ち切る剣
・羂索(けんさく)=人々の煩悩を縛り取り、仏の道から外れる者を正す縄
・忿怒相(ふんぬそう)=仏の道から外れる者を怒ってでも正すための怒り顔
・火焔光背(かえんこうはい)=あらゆる障壁を焼き尽くす炎

また、不動明王が人々を救うという確固たる意志を表す「磐石(ばんじゃく)」と呼ばれる岩座に座っていることもあります。

姿や持ち物から、私たちを叱りつける迫力のある姿の中にも、仏の道へと正そうとしてくださる優しさが垣間見えますね。

不動明王は大日如来の化身

さらに、不動明王は密教の最高仏である大日如来の化身とされています。

大日如来が、如来や菩薩のように穏やかな顔では教化しがたい者をも教化するために、怒った姿で現れたのが不動明王です。

このように、教化し難い人々を導くために、如来が怒りの表情をした姿に変化した化身のことを教令輪身(きょうりょうりんじん)といいます。

密教と不動明王の関係

【秘密の仏教】密教とは

明王は、密教と呼ばれる独自の教えから生まれた仏様です。

密教は、すべての物事の根源を大日如来とし、秘密の教えや修行を通じて仏になることを目指す仏教の一派です。

ヒンドゥー教の教えに影響を受けて、7世紀ごろにインドで成立しました。
日本では空海が真言宗を開き、8世紀前半ごろから広がり始めました。

密教の中では、密教以外の一般的な仏教は顕教と呼ばれます。

    顕教と密教の違い

    顕教

  • 私たちの善行や願いによって現れた仏様が、迷いを取り除き悟りを開くための教えや修行を説く
  • 教えが言葉や文字でわかりやすく示されているため、民衆に広く浸透した
  • 悟りがどのようなものかは説明されない
  • 悟りを開くために無限の歳月を要する
  • 密教

  • 大日如来を全ての根源とする
  • 顕教で言葉で説明することができない、悟りそのものを真言などの呪文や絵、仏像などを通して表現する
  • 秘密の教えや修行によって、生きたまま仏になること(即身成仏)を可能にする
  • 民衆には広く開かれていなかった

明王の呪文の力を表現した仏像

不動明王は、「如来、菩薩、明王、天部」の4つのカテゴリがある仏様の中で、明王というカテゴリに属しています。

明王は「真言(呪文)の王」という意味です。

密教では、真言などの呪文のことを「明呪(みょうじゅ)」と呼び、これには煩悩を打ち砕く力があるとされています。
真言は仏になるための修行や儀礼において重要な役割を果たしており、この力を象徴した存在が明王です。

如来や菩薩が穏やかな顔で仏の慈悲を表現しているのに対し、明王は怒りの表情や力強い姿で、煩悩を打ち破る「明呪」の力を示しています。

真言宗のお寺にはこうした明王の仏像が多く祀られ、護摩行の際には真言が唱えられます。

五大明王と五智如来

不動明王はそのほかの明王とチームで祀られることもあります。
このチームのことを五大明王(ごだいみょうおう)と呼びます。

この五大明王は密教における大日如来を中心とした五智如来(ごちにょらい)という5体の如来チームの教令輪身です。

不動明王が有名なお寺

成田山新勝寺(千葉県)不動明王像

成田山新勝寺の不動明王は弘法大師が自ら開眼したとされています。
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東寺(京都府)不動明王坐像

国宝にも指定される東寺の不動明王像は、日本最古の作例として知られています。
立体曼荼羅の向かって左側に位置しており、不動明王を中心に五大明王が祀られています。
さらに、立体曼荼羅の正面には大日如来を中心とした五智如来も祀られています。
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瀧谷不動明王寺(大阪府)不動明王像

瀬谷不動明王寺の不動明王は弘法大師が彫ったとされています。
秘仏であるため通常は公開されていませんが、毎月第4日曜日と8日、18日、28日にご開帳されます。
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醍醐寺(京都府)五大明王像

醍醐寺の霊宝館には、不動明王を含む五大明王像が3種類展示されています。
それぞれの表現の違いなどが楽しめます。
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終わりに

ここまで、不動明王の見分け方や役割について解説してきました。

仏の道から背いたものでさえも救う「不動明王」

その怖い怒り顔の裏には、仏の道へと人々を導こうとする優しさを感じますね。

仏像に込められた教えや物語を知ることで何気なく手を合わせていた仏像から、新たな学びや感動を得られるはずです。

ぜひ、この機会に仏像を見にお寺を参拝してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

神社お寺の検索サイト「ホトカミ」運営代表

吉田 亮


月間120万人の神社お寺ファンが使う神社お寺の検索サイト「ホトカミ」を運営する株式会社DO THE SAMURAI代表取締役。
東京大学理科II類入学後、文学部言語文化学科日本語日本文学(国語学)専修課程卒業。
2013年より日本文化や歴史を後世に繋ぐ事業を開始、2016年法人化。
これまで2000人以上の参拝者との対話や、累計1000万アクセスを超えるお参りに関する記事の執筆編集、100年後に神社を残すために社会と神社の接点を創出する。
この記事の書き手

ホトカミ編集部 御朱印記事ライター

高原 健太郎


日本文化や神社お寺が好きです。
独特の雰囲気に魅了されてから、寺社めぐりが趣味になりました。
この記事のイラスト提供

イラストレーター

田中ひろみ


絵文人・仏像研究家(株)TERABIT代表、奈良市観光大使女子の仏教サークル「丸の内はんにゃ会」代表。
カルチャー センター講師。元ナース。テレビ出演、講演も多数。ART ・俳句・盆踊らー
著書 『イラストレーターが作った仏像ハンドブック』(ウェッジ) など約70冊

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