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大日如来とは?宇宙の根源とされる密教の仏様を徹底解説

最終更新:2025年02月27日(木) 12時28分04秒
公開:2024年12月19日(木)

※記事中に使用したイラストの無断転載を禁止します。

「大日如来ってどんな仏様?」
「宇宙の根源と言われる理由は?」
「大日如来の有名なお寺を知りたい」


全国8万ヶ寺以上のお寺を紹介する日本最大の神社お寺・御朱印の検索サイト「ホトカミ」編集部の高原です。

こんな仏像を見たことありませんか?

この仏像は「大日如来(だいにちにょらい)」という仏像です。

特に、東寺の大日如来は、仏様の世界を表した図である曼荼羅(まんだら)を、仏像で表現したことで知られています。

上の図にもあるように、大日如来は仏像によって2種類の印を結んでいます。

「なぜ、同じ如来なのに2つ種類があるの?」

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、大日如来に2つの種類がある理由や、どんな仏様なのかを紹介します。

大日如来を知ることで、お寺への参拝がより楽しくなるはず。
ぜひ最後までお読みください。

    目次

  1. 大日如来:忍者か坐禅の手
  2. 【太陽を上回る光で全てを照らし出す】大日如来の起源
  3. 【宇宙に存在する全てのものの根源】大日如来の信仰
  4. 大日如来が有名なお寺
  5. 終わりに

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大日如来:忍者か坐禅の手

大日如来は秘密の教えをもとに修行を行う「密教(みっきょう)」の中心となる仏様です。


見分け方ポイント

大日如来は、如来なのに
【アクセサリー付き】です。

通常の如来は質素な姿をしていますが、大日如来に限り、頭には宝冠、さらに首飾りなどをつけています。


坐禅のような手の法界定印(ほっかいじょういん)=胎蔵界(たいぞうかい):
大日如来の理性の面を表す世界

忍者のような手の智拳印(ちけんいん)=金剛界(こんごうかい):
大日如来の知恵の強固さを表す世界

と覚えましょう。

「大日」という言葉は元々「偉大なる輝くもの」という意味を持っていました。
この言葉から「すべてを照らす絶対的な仏様」として信仰されるようになりました。

【太陽を上回る光で全てを照らし出す】大日如来の起源

大日如来は密教の最高仏で、宇宙の根源を表す仏様です。
サンスクリット語ではマハーヴァイローチャナ(Mahāvairocana)と呼ばれ、

・マハー(Mahā)=偉大な
・ヴァイローチャナ(vairocana)=まばゆく輝く

という2つの言葉を合わせて「偉大なる光明をもたらす仏」とされています。

中国ではこれを「摩訶毘盧遮那(まかびるしゃな)」と音写しました。

摩訶毘盧遮那は、東大寺の奈良大仏でも知られる毘盧遮那如来の名前に、「偉大な、大きい」という意味の「摩訶」を加えたものです。
このことから、大日如来は毘盧遮那如来をさらに発展させた存在と考えられています。

また、大日如来は、太陽を超える智慧の光で全てを照らし出し、尽きることのない慈悲の力を体現することから、「大日」 と呼ばれるようになりました。

毘盧遮那如来は「太陽のように全てを照らす存在」として、西暦400年ごろから経典で説かれるようになりました。

その後、7世紀半ばごとから8世紀にかけて成立した「大日経(だいにちきょう)」「金剛頂経(こんごうちょうぎょう)」のなかで、大日如来は宇宙に存在する全てのものの根源であると説かれるようになりました。

真言宗のお寺に参拝すると目にする曼荼羅(まんだら)は、大日経で説かれる胎蔵界を図解した胎蔵界曼荼羅、金剛頂経で説かれる金剛界を図解した金剛界曼荼羅の2種類があり、大日如来は両曼荼羅の中心に配されています。

    大日経と金剛頂経の違い

    大日経

  • 胎蔵界曼荼羅の元となる経典
  • 大日如来の「理」の部分を表現
  • 大日如来の慈悲の広がりや宇宙観について説明されている
  • 金剛頂経

  • 金剛界曼荼羅の元となる経典
  • 大日如来の「知」の部分を表現
  • 悟りを開くための修行などについて説明されている。

ここまで、大日如来がどのようにして誕生したのかを説明してきました。
ここからは、そんな大日如来がどのようにして信仰されてきたのか、説明していきます。

【宇宙に存在する全てのものの根源】大日如来の信仰

さきほど、「大日如来は密教における最高仏であり宇宙の根源」と説明しましたが、

「密教って何?」
「宇宙の根源のイメージがつかない」
と思う方も多いはず。

ここからは密教の説明から、大日如来がどのように信仰されていたのかまでを解説します。

【秘密の仏教】密教とは

密教は、すべての物事の根源を大日如来とし、秘密の教えや修行を通じて仏になることを目指す仏教の一派です。

ヒンドゥー教の教えに影響を受けて、7世紀ごろにインドで成立しました。
日本では空海が真言宗を開き、8世紀前半ごろから広がり始めました。

密教の中では、密教以外の一般的な仏教は顕教(けんきょう)と呼ばれます。

    顕教と密教の違い

    顕教

  • 私たちの善行や願いによって現れた仏様が、迷いを取り除き悟りを開くための教えや修行を説く
  • 教えが言葉や文字でわかりやすく示されているため、民衆に広く浸透した
  • 悟りがどのようなものかは説明されない
  • 悟りを開くために無限の歳月を要する
  • 密教

  • 大日如来を全ての根源とする
  • 顕教で言葉で説明することができない、悟りそのものを真言などの呪文や絵、仏像などを通して表現する
  • 秘密の教えや修行によって、生きたまま仏になること(即身成仏)を可能にする
  • 民衆には広く開かれていなかった

密教では全ての仏様は大日如来の化身

先ほども触れたように、大日如来は宇宙に存在するすべてのものの根源とされる仏様です。

そのため、密教では他の仏様を信仰することも、最終的には大日如来を信仰することにつながる、つまり全ての仏は大日如来の化身と考えることができるのです。

特に、不動明王とは深い関係があり、大日如来の化身として人々を悪魔から守り、修行を成就させる役割を担っています。

密教独自の修行:三密加持

大日如来の信仰は三密加持(さんみつかじ) という修行が中心となっています。

三密加持とは端的に言うと
「修行者と大日如来が一体化することで、生きたまま仏様(即身成仏:そくしんじょうぶつ)になること、または、その修法」

という意味です。

と言っても少し難しいので、まずは、即身成仏から説明します。

即身成仏とは

即身成仏とは、現世においてこの身のまま成仏し、仏になることを意味します。

通常の仏教では、何度も生まれ変わりながら修行を重ねて成仏に至るとされていますが、密教では独自の修行によって大日如来と一体化し、現世で成仏することが可能であると説かれています。

この密教独自の修行が次に説明する三密加持なのです。

三密加持とは

大日如来の教えの形は

・身密(しんみつ):身体、行動
・口密(くみつ):言葉、発言
・意密(いみつ):こころ、考え


以上の3種類で表され、合わせて三密と呼びます。

さらに、密教では、大日如来は宇宙に存在する全てのものの根源と考えられているため、

私たち自身=大日如来

であると説明できます。

ところが私たちは、「自分自身が大日如来・仏様である」 と気付くのは難しいですよね。

では、「自分自身が仏様である」と気付くためには、どうしたらよいでしょうか?

「自分自身が仏様である」と気付くための修行こそが、三密加持なのです。

・身密:手に印を結ぶ
・口密:口に真言を唱える
・意密:心に大日如来を思い浮かべる


以上、3つの修行により「身・口・意」を整えることで大日如来と一体化し、即身成仏ができるとされています。

    まとめると
  • 大日如来は宇宙に存在する一切のものの根源である
  • 「身・口・意」を整える修行(三密加持)を行うことにより、全ての根源である大日如来と一体化し即身成仏できるとされている

このように大日如来は密教において非常に重要な存在として信仰されています。

ここからはそんな大日如来が祀られているお寺を紹介します。

大日如来が有名なお寺

円成寺(奈良県):大日如来坐像

平安時代末期に作られた、歴史的な仏師 運慶が20代に手がけた最初期の作品です。
国宝に指定されています。
ホトカミページを見る≫

金剛峯寺(和歌山県):大日如来像

高野山真言宗総本山の金剛峯寺の大塔には胎蔵界、西塔には金剛界の大日如来が安置されています。
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東寺(京都府)大日如来坐像

東寺には、大日如来を中心に曼荼羅の世界を仏像で表した立体曼荼羅を見ることができます。
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終わりに

ここまで大日如来の見分け方や起源について解説してきました。

宇宙に存在する全ての根源とされ密教における最高仏である大日如来。

2種類の印を結んだ姿には、多くの意味が込められています。

仏像に込められた教えや物語を知ることで何気なく手を合わせていた仏像から、新たな学びや感動を得られるはずです。

ぜひ、この機会に仏像を見にお寺に参拝してみてはいかがでしょうか。

お寺に参拝した際には、ホトカミにも投稿してくださいね!

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この記事の監修

神社お寺の検索サイト「ホトカミ」運営代表

吉田 亮


月間120万人の神社お寺ファンが使う神社お寺の検索サイト「ホトカミ」を運営する株式会社DO THE SAMURAI代表取締役。
東京大学理科II類入学後、文学部言語文化学科日本語日本文学(国語学)専修課程卒業。
2013年より日本文化や歴史を後世に繋ぐ事業を開始、2016年法人化。
これまで2000人以上の参拝者との対話や、累計1000万アクセスを超えるお参りに関する記事の執筆編集、100年後に神社を残すために社会と神社の接点を創出する。
この記事の書き手

ホトカミ編集部 御朱印記事ライター

高原 健太郎


日本文化や神社お寺が好きです。
独特の雰囲気に魅了されてから、寺社めぐりが趣味になりました。
この記事のイラスト提供

イラストレーター

田中ひろみ


絵文人・仏像研究家(株)TERABIT代表、奈良市観光大使女子の仏教サークル「丸の内はんにゃ会」代表。
カルチャー センター講師。元ナース。テレビ出演、講演も多数。ART ・俳句・盆踊らー
著書 『イラストレーターが作った仏像ハンドブック』(ウェッジ) など約70冊

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