「無人島に何を持っていく?」

輪橋山徒然話　2024-3-26. 「無人島に何を持っていく?」

◆「無人島に何を持っていく?」という問いに、ラジオ、ナイフ、聖書、中にはコンビニと答えた猛者もいた。この問いは、どんな状況下でも、自分にとって本当に重要なものは何かを見極める問いでもあるそうだ。

◆現代版のロビンソンクルーソーともいえる「キャスト・アウェイ」という映画が2000年に公開されている。主役は「フォレスト・ガンプ／一期一会」のトム・ハンクス。監督も同じくロバート・ゼメキス監督だ。テーマの一つは「永遠の孤独」だ。

◆話の概要は次のとおりだ。

システム・エンジニアのチャック(トム・ハンクス)は、飛行機が太平洋上で墜落し遭難。奇跡的に一命は取り留めたが、無人島に取り残された。

※ 撮影の中でトム・ハンクスは25㎏も減量したそうだ。

◆ものがない不自由さは、知恵と工夫で乗り越えていけそうだ。しかし、無人島には音楽や会話はない。聞こえるのは風や波、雨、自然の音だけだ。果たしてその孤独に耐えられるだろうかと思う。そこにあるのは沈黙だけ。それは永遠に続く圧倒的な孤独だ。

◆その状況の中で、友だちを見つけたのだ。彼の名前は「ウィルソン」という。

◆実は、彼は「ウィルソン」というメーカーのつくるバレーボールなのだ。

◆チャック(トム・ハンクス)は孤独を紛らわせるために、バレーボールに顔の絵を描く。そして話しかけるようになる。バレーボールの「ウィルソン」にだ。もちろん会話は独り言だ。

◆それから4年間チャック(トム・ハンクス)は、「ウィルソン」と名付けたその球に話しかけ、笑い、時には怒りをぶつける。この映画は人間とは社会的な存在であり、他者との繋がりをこんなにも渇望しているかを教えている。孤独は人を削り、時には狂わせ、絶望に陥れるのだ。

◆さて、この友との別れも印象的だ。チャックが一大決心をし、いかだで島を脱出したとき、強い風と波によって「ウィルソン」が海に落ちてしまう。チャックは「ウィルソン」を必死に救おうとするが、最終的には「友」を見送るだけだった。この絶望的なシーンは、チャックが過去を手放し、生きて帰るために必要な新たな決断を迫られる瞬間だった。

これからどうするか？
息をし続ける。
明日も太陽が昇るだろう。
潮が何を運んでくるかなんて、
誰にもわからない。
チャック・ノーランド（トム・ハンクス）

◆無人島に何を持っていこうか。

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