耕田院の日常(371回目)|山形県羽前大山駅
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投稿日:2024年02月05日(月)
輪橋山徒然話 2024-2-4 現代の幽霊話
◆「しししのはなし」-宗教学者がこたえる死にまつわる44+1の質問-を読んだ。宗教学者である正木晃さんが「死」について、いろいろな疑問を設定し、丁寧に答えていく。
◆「死んだ人の魂が見守っているって、本当?」という質問があった。つまり、「幽霊はいるのか」がテーマだ。その質問に対して、正木晃さんは、東日本大震災後、被災地での幽霊を例に挙げ考えている。
◆結論は従来からある死んだ人の魂が「呪う」怖い幽霊ではなく、会えて嬉しい、存在が優しい幽霊像に変わって、令和のこの世にも、時々姿をみせているという。
◆さて、こわくない幽霊とはどのようなものだろう。
◆東日本大震災、被災地での幽霊話は次のような話である。
「東日本大震災で変わる幽霊観」
◆仙台市若林区の佐竹安勝さんは、毎日朝早くから海に出てアサリを捕ることを仕事にしていた。震災の前夜、食卓で安勝さんは出し抜けに妻のかほるさんに「たまには夫婦で旅行でもすっぺ」と語った。かほるさんは何気なしに「そうだね」とうなずいたという。
◆震災で死者となった安勝さんは、しばしば家族の元に現れた。
◆通夜の晩、娘の弓子さんが車の中から外を眺めていると、寺の門の横に、ジャージー姿で帽子をかぶり、ポケットに両手を突っ込んだ安勝さんが、いつもの猫背姿で立っていた。驚いてよく見ると、姿は消えていた。妻のかほるさんも「よく声が聞こえるんです」と言う。
◆この話をかほるさんと弓子さんは涙をこぼしたり、笑みを浮かべたりしながら話した。「まだその辺にいるような気がする」。かほるさんは繰り返した。「きっと見守ってくれているんだよ」。「ほら、また声がする」
※2011年7月29日の朝日新聞「鎮魂を歩く[20]ほら、聞こえるお父さんの声」より
◆正木晃さんは、この事例はあくまで例外であって、今回の震災以降、被災地で頻繁に現れている幽霊の多くは、かなり怖いと補足した上で次のように解釈を加えている。
◆鎮魂され安定した佐竹安勝さんの霊は家族の守護を担っているのだと。これは、日本人の古来の死生観だ。人は死ぬと、ある一定の期間ののち、安定した先祖霊となり、さらには神となると信じられていた。佐竹安勝さんの霊はそれだと。
◆霊は、やがて平安時代以降の怨霊に取って代わられ、忌み嫌われたが、近代化の末路がはっきり見えてきた今、また、我々の前にあらわれた。それは、日本人の心に、なにか「新しい感性」が生まれつつあることを示唆しているのだと正木晃さん。
◆さて、「新しい感性」とはなんだろう。それは、見えないものを見る力であろうか。先日の「母の死を普遍化する(是枝監督)」という話にも繋がりそうだ。母の死を普遍化するとは、この世の中の様々なものに母を感じ、母を見つけることだった。そのたびに、遺されたものは、亡き人に見守られている感覚の中で癒される。それは、「一切衆生悉有仏性」の境地でもある。
#輪橋山徒然話
#心は大山
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#こわくない幽霊
#一切衆生悉有仏性
#新しい感性
◆「しししのはなし」-宗教学者がこたえる死にまつわる44+1の質問-を読んだ。宗教学者である正木晃さんが「死」について、いろいろな疑問を設定し、丁寧に答えていく。
◆「死んだ人の魂が見守っているって、本当?」という質問があった。つまり、「幽霊はいるのか」がテーマだ。その質問に対して、正木晃さんは、東日本大震災後、被災地での幽霊を例に挙げ考えている。
◆結論は従来からある死んだ人の魂が「呪う」怖い幽霊ではなく、会えて嬉しい、存在が優しい幽霊像に変わって、令和のこの世にも、時々姿をみせているという。
◆さて、こわくない幽霊とはどのようなものだろう。
◆東日本大震災、被災地での幽霊話は次のような話である。
「東日本大震災で変わる幽霊観」
◆仙台市若林区の佐竹安勝さんは、毎日朝早くから海に出てアサリを捕ることを仕事にしていた。震災の前夜、食卓で安勝さんは出し抜けに妻のかほるさんに「たまには夫婦で旅行でもすっぺ」と語った。かほるさんは何気なしに「そうだね」とうなずいたという。
◆震災で死者となった安勝さんは、しばしば家族の元に現れた。
◆通夜の晩、娘の弓子さんが車の中から外を眺めていると、寺の門の横に、ジャージー姿で帽子をかぶり、ポケットに両手を突っ込んだ安勝さんが、いつもの猫背姿で立っていた。驚いてよく見ると、姿は消えていた。妻のかほるさんも「よく声が聞こえるんです」と言う。
◆この話をかほるさんと弓子さんは涙をこぼしたり、笑みを浮かべたりしながら話した。「まだその辺にいるような気がする」。かほるさんは繰り返した。「きっと見守ってくれているんだよ」。「ほら、また声がする」
※2011年7月29日の朝日新聞「鎮魂を歩く[20]ほら、聞こえるお父さんの声」より
◆正木晃さんは、この事例はあくまで例外であって、今回の震災以降、被災地で頻繁に現れている幽霊の多くは、かなり怖いと補足した上で次のように解釈を加えている。
◆鎮魂され安定した佐竹安勝さんの霊は家族の守護を担っているのだと。これは、日本人の古来の死生観だ。人は死ぬと、ある一定の期間ののち、安定した先祖霊となり、さらには神となると信じられていた。佐竹安勝さんの霊はそれだと。
◆霊は、やがて平安時代以降の怨霊に取って代わられ、忌み嫌われたが、近代化の末路がはっきり見えてきた今、また、我々の前にあらわれた。それは、日本人の心に、なにか「新しい感性」が生まれつつあることを示唆しているのだと正木晃さん。
◆さて、「新しい感性」とはなんだろう。それは、見えないものを見る力であろうか。先日の「母の死を普遍化する(是枝監督)」という話にも繋がりそうだ。母の死を普遍化するとは、この世の中の様々なものに母を感じ、母を見つけることだった。そのたびに、遺されたものは、亡き人に見守られている感覚の中で癒される。それは、「一切衆生悉有仏性」の境地でもある。
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