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耕田院の日常(291回目)山形県羽前大山駅

「群れない」「慣れない」「頼らない」100歳に至るまで現役の人

投稿日:2023年06月13日(火)
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「人生百歳の生き方」自分を空っぽにしておかないと新しい水は入ってこない     輪橋山徒然話2023/5/29

◆今朝は「群れない」「慣れない」「頼らない」が信条の堀文子さん。100歳に至るまで現役、かつ、その作風は一処に留まることを嫌い、姿を何度も変えながら進化した。描きたいものがあれば80を超えてからもヒマラヤに登った。

◆堀 文子さんは1918年(大正7年)7月2日生まれだ。

◆大正12年、5歳だったときに、関東大震災を経験した。周りが一瞬にして焼け野原になる光景を目の当たりにした。府立第五高等女学校時代には、自宅近くで二・二六事件にも遭遇したという。いざとなったら人間は一人だという思いを強く持った。

◆そして、「自立して、自分の生涯を自分で設計する」「美には女性としてのハンディはない」「絵なら、自分の思い通りの色を塗ることができるから」と日本画家を志した。

◆誰でも知っている「おおきなかぶ」の絵本も堀 文子さん。エキゾチックな絵であり人気がある。しかし、あるときにスパッとやめた。こんな言葉を残している。

安全な道はなるべく通らない。不安な道や未知の道を通っていくとか、 -略- 画家としては食べることができませんので、絵本を描いたりして生業を繋いできた。ただ、それもやってるうちにちやほやされて -略- 「これはいけない」と思って絵本の仕事はやめました。

※おおきなかぶと言われて皆同じ本を思い浮かべると思う。ロシア人のおじいさんをおばあさんが引っ張るあの絵本だ。(佐藤忠良 文 堀文子絵)

◆ご主人を亡くされた40代でエジプトにヨーロッパ、アメリカ、メキシコへ放浪の旅に出かけたり、70歳でたった一人トスカーナ暮らしを始めたりした。理由の一つには「自分をからっぽ」にすることだ。

もしかしたら私の中に、まだ芽を吹かないものがあるかもしれない、ひょっとしたら、まだ思いがけないものが潜んでやしないかと、いまだにそんなことを考えています。そのためにはいつも自分を空っぽにしておかないと新しい水は入ってこないんです。

◆実績も画風さえも、服を着替えるようになんども捨てているのだ。

◆81歳でブルーポピーを一目見るために、ヒマラヤに登った。ブルーポピーは、標高4000mから5000mのヒマラヤ山脈の岩場に、ひっそりと咲く幻の花だ。

ヒマラヤの中腹まではヘリコプターで入り、そのあとは自分の足で探した。そして、もうこれ以上登れないと観念したそのとき、ブルーポピーが突如現れ、初めてその可憐な花をみることができたそうだ。

◆できあがったこの絵のブルーポピーは、「群れない、慣れない、頼らない」という花に見えた。孤高という言葉がぴったりだ。まるで84歳の堀文子さんをヒマラヤが呼び寄せたような気高い花である。

◆「ブルーポピー(青い芥子)」の「芥子の実」が登場する仏教説話がある。この話は明日。

◆さて瀬戸内寂聴さんは「信は任すなり」という言葉を残している。

人間以上の存在があって、我々は生かされているんだ、まかされているんだ、作らされているんだと思って、「おまかせ」した方がずっと楽ですね。

◆寂聴さんは新聞小説の連載をしていても、明後日の分を今日このあと書かなければ間に合わないと思っても何の心配もしないという。「おまかせ」して、「何かが憑いたら」サーと書けるというのだ。

◆きっと堀文子さんの「捨てる」とは「おまかせ」の心なのだ。彼女のアトリエには、寂庵と同じ風が吹いていたのだろうと思った。

いつもニコニコ 一筆啓上付箋写経

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耕田院(山形県)

すてき

みんなのコメント1件)

堀文子さん、寂聴さん、おふたりのスケールの大きい潔い生き方、すばらしいです。残された言葉にも勇気づけられます。
スケールは違っても、命をいただいてる限り、好奇心を持って何かを探していきたいと思いました😌

※「おおきなかぶ」はトルストイ再話、内田莉莎子さん訳、絵を佐藤忠良さんが描かれています。
堀文子さんは同じ福音館「こどものとも」絵本の第1号を描かれています。

2023年06月13日(火)
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