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耕田院の日常(279回目)山形県羽前大山駅

路線バスは道徳教材の宝庫だ

投稿日:2023年05月30日(火)
◆路線バスは道徳教材の宝庫だ。泣ける話が多い。

◆その日は今にも雪が降り出しそうな空でとても寒い日だった。車内は暖房が効いて外の寒さを忘れるほどだった。まもなくバスは病院前に着いた。バスはあっという間に満員になった。

◆バスが走り出したとき後ろの方から赤ちゃんの火のつくような鳴き声が聞こえた。満員のバスは赤ちゃんにとっては苦しかったのだろう。

◆次のバス停に着いたとき後ろの方から、「待ってください。おります。」と若い女の人の声が聞こえた。立っている人をかきわけるように前の方に進んできたのは、赤ちゃんを抱いたお母さんだった。

◆お母さんは運転手の横まで行き、お金を払おうした。すると運転手は「目的地はどこまでですか」と聞いた。お母さんは気まずそうに小さな声で「新宿まで行きたいのですが、子どもが泣くのでここでおります」と答えた。

◆すると運転手さんは、「新宿まで歩くのは大変です。乗って行ってください」と言って、マイクのスイッチを入れた。

◆「皆さんこのお母さんは新宿まで行くのですが、皆さんにご迷惑がかかるのでここで降りるといっています。子供が小さいときはきます。赤ちゃんは泣くのが仕事です。どうぞ皆さん少しの時間赤ちゃんとお母さんも一緒に乗せてください。」


◆ひとりの拍手に続いて、乗客全員の拍手。
若いお母さんは何度も、何度も頭を下げている。

◆有名な道徳の教材である。但しこの話は30年前。我々の世代だ。

◆瀬戸内寂聴さんはいう。
子どもを連れて家を出て、育てていくことができない世の中でした。でも、それを一番後悔していると。

◆みんなで見守り、子育てができる国であって欲しいと思う。そして、バスの運転手さんの運転手としての矜持も。

◆いつもニコニコ。一筆啓上付箋写経。
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耕田院(山形県)

すてき

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