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耕田院の日常(275回目)山形県羽前大山駅

母親も惚れるいい男 手に入ります。息子のトリセツ

投稿日:2023年05月23日(火)
◆「息子のトリセツ」という本がある。

◆黒川伊保子さんという脳科学者が書いた本だ。本の帯には、母親も惚れるいい男。手に入ります。

◆母親の惚れるいい男とは、タフで 戦略力があり 数学も料理も得意で ユーモアも愛嬌もあり 届けるような言葉で 優しく エスコートしてくれる男性だ。

◆黒川伊保子さんはそもそも「男の子」「女の子」の脳は違うという。ぼーとした長男としっかりした妹などいちいち納得する。

◆「特に男の子は、自分よりも対象に夢中になる傾向が強くて、自分そっちのけでまずは母親に夢中になる。やがて、おもちゃやスポーツ、宇宙にまで範囲が広がっていくが、思春期に本格的に自我を確立するまでは母親に夢中。その脳の根底にある、つまり、人生の初期、男性脳はその自我を母親に丸投げにしている」という。そこが、全てのスタートなのだ。

◆AI脳について熟知した母親が語る教育論は、今までなんとなく感じてことやひっかかっていたことが解けたような気がした。

◆そういえば、である。

◆月曜日になると具合の悪くなる子がいた。学校を休むのだ。不登校を登校拒否と言っていた頃の事だ。

◆その頃はきつねがいたずらをしているとからとかいって、お稲荷さんに厚揚げと一升瓶をお供えしたなどという話まであった。

◆彼は、月曜日登校しても「喘息」の発作を起こした。今のような便利な携帯用の薬がないころだ。

◆そんな時は母親が迎えにきて早退する。あるとき気がついた。ああそうかと思った。
二と四週の月曜日は欠席が少ない。しかし、それ以外の週の月曜日に欠席が集中していた。実は母親の仕事は床屋さん。床屋が休みの日曜日の次の日の欠席は少ないのだ。

この子どもにとっては、母親が休みの月曜日は学校どころではないのだ。

◆全て「無意識」の中でのことなのだろう。体は不思議である。心と体は連動するのだとその時は思った。

◆しかし、「脳」はもう少し先のことも見ていたのかもしれない。

◆七、八年経ったたぶん三月。この母子は、転任先の職員室に訪ねてきたことがある。

◆突然のことで、ちょっと驚いたのだが、なんのことはない。月曜休みの彼が母親と同じ道を歩むという報告だった。「理髪店」へ修行に出るとのことだ。母と子がすごくうれしそうだったのをよく覚えている。

◆さて、日曜日は母の日である。

◆瀬戸内寂聴さんは言う。

親は子どもを愛しているつもり、導いているつもりなんだけど、実はそれは自分にとっての喜びで自分が構いたいだけ。
「構わせてもらっている」のを、「構ってやっている」と勘違いしている。

◆「構わせてもらっている」という気持ちがないと、黒川伊保子さんのように「子育てが幸せだ」と思える境地にはならないのだ。「娘のトリセツ」という本もあるそうだ。読まねばと思う。

◆いつもニコニコ。一筆啓上付箋写経。
耕田院(山形県)

すてき

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