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耕田院の日常(254回目)山形県羽前大山駅

「姥桜」

投稿日:2023年04月22日(土)
小泉八雲の怪談から

◆「姥桜」(乳母桜)という話である。

◆300年前(現在からでは400年前になろうか)伊予国温泉郡朝美村に徳兵衛という富裕な村長(むらおさ)がおった。

◆四十になっても子供に恵まれなかったが、村の寺の不動明王に願かけて、娘を授かった。
露(つゆ)と名付けられた娘は、お袖という乳母の助けを借りて美しい娘に成長した。

◆お露は15の歳に、医者が見放すほどの大病を患う。乳母お袖の、21日間に渡る不動明王への祈願で、お露は快復する。そして、その翌日お袖は息を引きとる。

◆実は、お袖は自身の命と引き換えにお露を助けてほしいと、不動明王に祈願したのだった。

◆願いが叶えられれば、感謝の印として、寺の庭に桜の木1本を植えると約束をしていた。

◆徳兵衛夫妻は探しつくせる限り最高の桜の若木を植樹した。その桜は250年間毎年、2月26日に美事な花を咲かせ続けた。2月26日はお袖の祥月命日である。

◆それで、この桜は【姥桜】【乳母桜」と呼ばれている。

◆うしろから支へ柱や姥桜 子規

◆この桜、子規も拝んだのだろうか。

◆城跡には桜並木が似合う。そのような桜の名所はその土地その土地にある。私の住むあたりの桜並木は、どんな理由かはよくわからないのだが、どんどん整理されている。だから、太い桜の木に赤いテープが巻いてあったりするとドキリとする。

◆桜切る馬鹿というが、枝だけでなくスッバリと切ろうというのか。

◆「どうしても切るというのなら、満開の時に切ったらええ。満開の時に切る度胸があるのかと聞いてみたい。」京都の桜守 佐野藤右衛門さんのことばだ。

◆佐野藤右衛門さんは、仁和寺の桜をはじめ、全国の名桜を守る「桜守」として知られる。寺院の庭や公園、個人住宅の庭なども手がける植藤造園の16代当主だ。ユネスコ本部日本庭園など名高い庭園を手がけている。現在95歳だ。

◆瀬戸内寂聴さんのことばがある。
花の色を変える技術が生まれても、梅の木に桜の花を咲かせることはできません。自然の不思議は、人間に不可知なものがあることを教えてくれます。

◆「ソメイヨシノの不思議」とは、種がないことだ。花は咲くが蜜はでないという。だから花が咲くが実はできないという。なぜなら、人の手で作られた桜だからだ。佐野藤右衛門さんは、ソメイヨシノは接ぎ木で増えるクーロンだという。染井吉野はただの一本。日本国中のソメイヨシノはその枝なのだと。

◆だから、切ってもいいのか。そんなことはない。「それでも人の都合で植えたのなら、人が最後まで面倒見てやらんといかんのです。ええとこ取りで、綺麗な時だけチヤホヤするのでは、可愛そうや。」佐野藤右衛門さんは強く言う。

◆その通りや。

清々しく生きる術として、今日も一日オンニコニコで。
耕田院(山形県)

すてき

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