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耕田院の日常(227回目)山形県羽前大山駅

「365×14回分のありがとう」

投稿日:2023年03月24日(金)
◆「365×14回分のありがとう」を読んでみようと思う。中学生の道徳教材だ。

◆この教材は、14歳の柳橋佐江子さんからお母さんへの手紙だ。柳橋佐江子さんはこの手紙の3日後に十何時間もの大手術を控えていた。

◆手紙の主、柳橋佐江子さんは、“単心室”という心臓病に苦しめられてきた。“単心室” とは、全身や肺から戻った血液がひとつしかない心室に入る。そこで、静脈血と動脈血が混ざり、血液中の酸素濃度が低下。そのため息切れ、心拍数の増加、呼吸困難、皮膚の色が紫色になる症状や咳や胸痛に襲われる。

◆この病気は生まれつきの難病で、手術を受けなければ1年生存率が57%、10年生存率が42%という、非常に厳しい病気なのだ。

◆「お母さん、いよいよ3日後には手術だね。手術を目の前にして、お母さんに言いたいことは、ただ一つ。」「14年間、私を育ててくれてありがとう」で手紙は始まる。

◉お母さんのあったかい手

つらくて、なみだが止まらない時、黙ってわたしの手を握ってくれるお母さんの手は、とってもあったかい。つらいことが、雪のように、どんどんとけてゆくみたい。14歳になって、甘ったれだと思われるかもしれないけど、わたしはお母さんのあったかい手が大好きです。

◉「いい夢見なさい。」

「おやすみ。」と言い合って、ふとんに入るときのお母さんの口ぐせ。「いい夢見なさい。」「別に、好きで悪い夢を見てるわけじゃないのに。いい夢なんて、見ようと思って見られるものじゃない。変なの。」ってずっと思っていたの。「いい夢見なさい。」は「悪いことばっかり考えて、メソメソしていないで、いいほうへ、いいほうへと考えなさい。」「明日もいいことがあるといいね。」っていうことだったんだね。今、それに気づいて、わたしも将来、子供が生まれたら、夜、「いい夢見なさい。」と言ってあげたいとなと思います。
                                   
◉こんなに幸せ
だから、今のわたしはとっても幸せです。登校すると、いくらお母さんがわきにいたって「佐江ちゃん、おはよう。」と声をかけてくれる友達がいます。休み時間に、一緒にワイワイさわいでくれる友達がいます。わたしのために、なみだを流してくれる友達がいます。堂々と、しっかり胸を張って、明るく生きることで、わたしはこんなに幸せになりました。みんな、みんな、お母さんのおかげです。ありがとう。
                                   
◉親子で一心同体

わたしがつらくて、くやしくて、泣きたくなるとき、お母さんもやっぱり、なみだを流すまいとがんばっている。わたしが手術を目前にして、ちょっぴりドキドキしているとき、お母さんは、わたし以上にきんちょうしているだんよね。小学校入学以来、初めて、親の付きそいなしで行けた中学1年の遠足では、お母さんもすごく喜んで、うれし涙をボロボロ流していたっけね。「夫婦は一心同体」とよく言うけど、わたしたちは親子で一心同体だよ。

◉そして、「14年間、笑顔と根性でわたしを育ててくれて、本当にありがとう。」      抜粋  
                                   
◆このお話を学習し、中学生はどの子も、この世の中の理不尽さに出会い、涙し、それを受け入れ、自分の今を見つめ直すという。自分の命、まわりの命に目が開かれ、命そのものの尊厳さに心を奪われるのだ。

◆そして、この手紙が「全ての子どもたち」から「全てのおかあさん」宛に書かれた手紙にも思えてくるのは私だけではないはずだ。手術から3日後、精一杯生きた14歳の柳橋佐江子さんはその生涯を閉じたそうだ。

※「三六五×十四回分のありがとう」(出典:「中学生の道徳1 自分を見つめる」あかつき)

◆「深呼吸と一筆付箋写経」心を清々しく保つための術として。今日も一日オンニコニコで。
耕田院(山形県)

すてき

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