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耕田院の日常(212回目)山形県羽前大山駅

歩く姿は百合の花

投稿日:2023年03月09日(木)
輪橋山徒然話 今日はひな祭り。「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合の花」と母国に里帰りした花「カサブランカ」について考える。

人里はなれた
谷間の白百合の花は 
誰にも見てもらえないのですが
少しのかけ引きもなく
精一杯の美しさで咲いています。

◆詩人の相田みつをさんは、健気に、誇り高く咲く百合の花をうたっている。

◆また、荒々しい日本海の絶壁にしがみ付くように咲く、背の少し低いオレンジ色の岩ゆりはご存知だろうか。もう閉じてしまった学校の校章はこの岩ゆりだった。あんな断崖絶壁にも、というくらいのところに育つ。灯台とうみねこが似合う、潮風にも雨にも負けない意志を持つ花である。

◆そして、明治期の小説家坪内逍遥は「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合の花」と女性の美しさをたとえている。

◆谷間の百合も断崖に咲く百合も、派手さはないが凛とした花である。いずれも日本原種のゆりである。

◆日本古来の百合の花の球根を、江戸の終わりにシーボルトが持ち帰り、西洋で品種改良がなされ、人気の「カサブランカ」が誕生する。大輪の百合である。そして、日本に里帰りしたこのカサブランカは、1本2000円、花束や冠婚葬祭の主役でもある。

◆実は私はこのカサブランカを学校じゅうの花壇に植え、それを保護者や地域の人に買ってもらって…のような学習をしたことがある。もう10年以上も昔のことだ。

◆田園地帯のこの辺りは、空港ができ、高速道路が走り、バラやストック、ビニルハウスの花き農家も増えた。それは高価な花を東京方面に出荷できるようになったからだ。

◆もちろん「カサブランカ」の栽培農家もある。「カサブランカ」は、オランダから輸入した球根を栽培する。そして、この「カサブランカ」は切り花用の球根の1年目だけが市場を流通する仕組みになっている。つまり、2年目以降の花は規定通りには育たないのだ。1年目の花のつき方や数が商品規格として決まっているのらしい。つまり、1年目に収穫を終えた大量の球根は、育てても次の年には商品として、不適格になってしまうのだ。

◆農協にお勤めの保護者の紹介で、栽培農家からその球根を分けてもらったことがある。それを、子どもたちと春に植える。もちろん、百合の花など育てたことがなかったので、「カサブランカ」が山あいの学校で育つたくましさには驚かされた。ハウス育ちの脆弱さなど全くない。背も高く、茎も太い。

◆その花が咲き始めたのは、「ま夏」。花は近くの施設にプレゼントしたり、7月の終わりの保護者会や地域の夏祭りに運び、1本何某で買ってもらったりした。

◆しかし、問題が2つあった。一つは例の花粉であり、もう一つは香りである。

◆花粉は除去すればよいのだが、香りは難敵だ。

◆世の中には「いいにおい」と「いやなにおい」とある。私はてっきり百合の匂いは「いい匂い」だとばかり思っていた。しかし、百本もの百合の花ともなれば、その甘く濃厚な匂いは強烈である。世間ではこの香りのために百合嫌いの人が、予想以上に多いと聞く。好きな人は大好きなのだが…。

◆花弁も倍、雄しべも大きい。当然のことだ。まして夏である。反省点としては、収穫時期を早めて、蕾のときになどと学習したように覚えている。

◆しかし、清楚で控えめが魅力の日本の花が、ヨーロッパでゴージャスな「カサブランカ」に進化し、それが今度は日本に里帰りし、主役となっている。現代の女性も「カサブランカ」に習い大変身したなどという不届きなことは言わないが、不思議なものだ。

◆さて、「香り問題」だが、現在では香り抑制剤があるという。農機構花き研究所が開発したそうだ。「カサブランカ」の切り花に香り抑制剤を処理することによって、香りは無処理のものと比べ、約8分の1となるのだそうだ。ということは、今後も益々「カサブランカ」は無敵だ。

今日も一日オンニコニコ
耕田院(山形県)

すてき

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