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耕田院の日常(175回目)山形県羽前大山駅

「木を植えた男 ジャン・ジオノ」

投稿日:2023年01月26日(木)
◆瀬戸内寂聴さんに次のようなことばがある。

「 一年先を見る者は花を植え、十年先を見る者は木を植え、百年先を見る者だけが人をつくる」
次の話に通じるところがある。

◆未来を見て、荒地に「木」を植える。やがて「森」が生まれ、「人」が戻る。荒廃した土地に羊飼いの男が一人で「木」を植える話だ。彼は人生の意味を教えてくれる。

◆この話は「木を植えた男」という。「それでもなお人を愛しなさい-人生に意味を見つけるための逆説の10ヵ条-」ケント・M・キースは、著書の中でこのお話を例に挙げて人生の意味を説いていたので紹介する。

◆ご存知だろうか。作者は「ジャン・ジオノ」だ。

男は、毎日木を植える。
男は、100粒のどんぐりを3年前から毎日植えているという。男はすでに、10万本の木を植え終えた。そのうちで育ったのは2万本。その2万本の半分は動物に。残った「1万本の柏の木」が何もなかったこの土地に成長して行くのだと彼は考えている。

◆男は荒れ果てた荒野に森をつくろうとしていたのだ。

◆植えた木は、成長して森となる。森ができれば、森の土に、水が保持されるようになる。すると、ほかの植物も育ち始める。鳥も巣を作るようになる。小川ができる。やがて、人も戻ってきて家を建て住み始める。

◆男が晩年を迎える頃には、かつての荒地はがらりと変貌を遂げ、自然は完全に復活するだろう。今は世界は戦争の真っ只中。しかし、男は、毎日、希望を植え、幸せを育てる人生なのだ。その希望と行動が森という変化をもたらす。それが、男にとっての人生の意味となる。男の名前はエルゼアール・ブフィエ。

◆ケント・M・キースは次のようにまとめる。
人々のことを広く深く思いやる優れた人格者の行いは、長い年月をかけて見定めてはじめてそれと知られるもの。名誉も報酬も求めない誠に奥ゆかしいその行いは、いつか必ず見るも確かな証を地上にしるし、のちの世の人々にあまねく恵を施すというのだと。

◆我が国にも偉大な「木を植えた男」エルゼアール・ブフィエがいた。

◆4000万本を超えるふるさとの木を植える活動を展開したのは、宮脇昭さん(故)だ。横浜国立大学名誉教授。公益財団法人地球環境戦略研究機構国際生態学センター終身名誉センター長。宮脇さんがこれまでに植樹指導をした地域は、国内約1,400カ所以上。ボルネオ、アマゾン、ケニア、中国などの海外を含めると1,700カ所以上のふるさとの森づくりに貢献してきた。

◆「なぜ木を植えるのか」、問いに対する宮脇さんの答えはシンプルだ。「森はいのちそのものです。人間は森に支えられて今日まで生き延びてきました。明日を生きるそのいのちの証は、今日、木を植え、本物の「いのちの森」をつくることから始まるのです」と。東日本の大震災での失われた防砂林の再生と土地の本来の樹木による森づくりにも尽力なさった。この森ものちの世の人々にあまねく恵を施すだろう。

◆火曜日の朝。何を始めようか。
耕田院(山形県)

すてき

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