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耕田院の日常(155回目)山形県羽前大山駅

寒卵

投稿日:2023年01月05日(木)
◆わたしが子どもの頃にはよく「市」がたった。あるとき、子どもを相手に黄色のひよこが売られていた。露天商がいう。「メス」のひよこだから、大事に育てると毎日「たまご」を産むと。友だちが何人も買った。そして、家に帰り叱られた。卵の値段が、まだまだ高級品の頃である。

◆今にして思えば、「メス」のひよこが、子どもが買えるほど安いはずもない。友だちに買われたひよこは、期待を裏切り、立派な「雄」の鶏に成長した。成長したその勇姿を見にいったことがある。「雄」の鶏は興奮して突きにきた。逃げる私を追いかけてきた。

◆「雄」の鶏は気性が激しく、しかも、朝一番でコケコッコーと鳴くのだ。飼い主になつくわけもなく、少し高い止まり木にいた。彼はいつも孤高だった。

◆その友だちがいうには、いつの間にか鶏は姿を消したそうだ。

◆あれだと思った。

◆「にんじん」(ジュール・ルナール)。猟の獲物を始末し、腸を抜く手伝いをする話があった。そのときの獲物は、二羽の鷓鴣(しゃこ)だった。鳥を締めるのだが、なかなかうまくいかず悪戦苦闘する。はじめて「にんじん」を手にした時、衝撃だった。

◆ひなから育てた、気性の激しい雄の鶏も、きっと大切な日に友だちの家族のご馳走となったのだろう。まだ、自宅で「鳥を締めて、ごちそうする」習慣があったころの話だ。

◆さて、12月に入ってからのことである。

◆市内の養鶏場において高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)の感染が確認されたというニュースが流れた。発生農場の鶏については、県が殺処分と埋却処分を行うということだった。

◆あわててニュースをみると、防護服を着た県職員ら約140人が24時間態勢で殺処分の作業などを始めたとのこと。対象は発生現場の養鶏場と、同じ会社が営む養鶏場で飼われている計約6万7千羽。全ての殺処分と埋却をするという。

◆県の鶏は全て合わせて54万羽。その1/8に当たるのだ。たいへんな命の数である。丹精した鶏である。いつもながらやるせない。なんとかならないのかと思う。

◆明後日1月6日は二十四節気の「小寒」即ち寒の入りである。この時期の鶏卵は「寒卵」と昔から重宝されてきた。寒さを乗り切る滋養の塊である。大事にいただきたい。

◆大量に生産し、安価で販売する無精卵とはいえ、その命の価値が安いとはいえないことを覚えておきたい。
耕田院(山形県)

すてき

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