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耕田院の日常(141回目)山形県羽前大山駅

頭でっかちな故に孤独な山椒魚

投稿日:2022年12月22日(木) 03時53分05秒
◆「動物の寿命カテゴリー」(いろは出版の寿命図鑑)は、「ハツカネズミ」の約1年の寿命を最短とし、ガラバゴスゾウガメの100年を最長とした。

◆ガラバゴスゾウガメは、草やサボテンを食べて、お日様を浴びてとにかく寝るのだそうだ。脊椎動物最高の寿命であるガラバゴスゾウガメは、なんと1日16時間も眠るそうだ。ノンストレスなのだろう。世界最高齢は、152歳だ。日本の上野動物園のガラバゴスゾウガメも78歳(太郎)と89歳(カメ吉)。飼育年数はそれぞれ、49年と58年だ。たいしたものだ。

◆そして、脊椎動物第2番目にランクインしているのは、本日話題にするオオサンショウウオだ。寿命は75年。中には100年以上生きるものもいるという。なんと体調150㎝体重25kgまで育ったという記録が残っている。一般には70㎝程度だとか。それでもずいぶんと大きい。オオサンショウウオは、なんでも食べる雑食性、しかし、代謝が非常に遅く、数週間何も食べずに過ごすしても平気なのだとか。

◆さて、国語の教科書で読んだ「山椒魚」。井伏鱒二の名作だ。山椒魚が象徴しているのは「頭でっかち」な人間。頭でっかちが災いして、自分の体が、入口に栓をしてしまい、結果、岩屋の外に出れなくなるという人間を喩えている。つまり、「頭でっかち」な故に世間と隔離されてしまう孤独な人間をも象徴しているのだ。

◆岩屋の外に出れない山椒魚が唯一自由にできたのは目蓋だ。それを閉じ暗闇に没頭する。しかし、「寒いほど独りぽっちだ」と言ってすすり泣く。やがて、心は「悪党」になる。

◆実はこの作品は作者が何度も推敲している。一番大切な山場も、結末さえも、だ。私が好きなのは、蛙の一言があるバージョンだ。

◆こんな結末だ。

ある日、あの活発な動作と光景を感動の目で見ていた蛙が、岩屋に紛れ込んで入ってくる。しかし、悪党の山椒魚は、蛙を閉じ込めてしまう。

悪党の山椒魚は、蛙を自分と同じ境遇にして痛快に思う。一生涯、ここに閉じこめてやると呪いの言葉をかけるが、蛙は安全な凹みを探して「俺は平気だ」と山椒魚に応える。

そして、一年が過ぎ、また一年が過ぎ、夏が来た。

二年目の夏は、心身ともに衰弱して持久戦となる。そんな時、蛙は杉苔が花粉を散らす光景を見て感動のあまり溜息をもらしてしまう。

すると、山椒魚はこれを聞き逃さず、「もう降りてきても良い」と言うのだが、蛙は空腹で動けず「もう駄目なようだ」と答える。

◆山椒魚が「お前は、今どういうことを考えているのか?と尋ねると、蛙は「今でも別にお前のことを怒ってはいない」と答えるのだ。蛙は山椒魚を許すというのだ。

◆二年間の中で蛙は「悟り」の境地にあったのだ。悪党の山椒魚は完璧に「参る」。

◆さて皆様。100年も生きるという山椒魚。彼には、後どれほどの長い寿命が残されているのだろうか。私は、以前Postした「50億年スイッチ」を思い出した…。
耕田院(山形県)

すてき

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