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耕田院の日常(108回目)山形県羽前大山駅

「3Dプリンタダム」

投稿日:2022年11月16日(水)
◆大掛かりな公共工事の代表にダム建設がある。

◆かつて10年ダム工事で働き、10年好きなように生きた作家がいた。先日紹介した「月山・注蓮寺」にゆかりの芥川賞作家の森敦さんである。70年前に森敦さんの予言した通り、その辺りは、国道⇒ダム⇒高速道路とどんどん開発が進んだ。

◆そのダムは「月山ダム」という。1976年に着工し2001年に完成した高さ123メートルの重力式コンクリートダムで、洪水調節・不特定利水・上水道・発電を目的としている。25年の歳月が費やされている。

◆着工以来25年で完成したこのダムは壮観である。しかし、世界のダム作りは想像を超えていた。なんといっても工期がたったの「2年」だ。

◆その秘密は3Dプリンタにある。そして、規模も半端ない。

◆まず、そもそも3Dプリンターとは3次元のプリンタだ。普通のプリンタは紙に写真や文字を印刷するが、3Dプリンタは簡単に言うと板の上に立体を「出力」する。その仕組みは「熱溶解積層法」という。

◆平たくいうと「ソフトクリーム方式」だ。材料を溶かして(熱溶解)、それを下からどんどん上に積み上げると「層」ができる。紙に印刷した三角形を100枚印刷して、貼り付ければ、100枚分の厚みが加わり、三角柱(高さ紙100枚分)の高さになる。そんな理屈かと思う。

◆中国で、3Dプリンターによる水力発電ダムを建設するプロジェクトを展開している。中心になるのは、人工知能(AI)と巨大な建設用3Dプリントシステムだ。

◆AIが制御する無人の掘削機、トラック、ブルドーザー、舗装機、ローラーを使って一層ずつ積層していく。つまり、「ソフトクリーム方式」だ。人の手は極力省かれ、AIそのもの自体だけで調整を行ったり、問題を解決したりなどを行うのである。まさにAIによって「自律的」に構築されるのだ。

◆このプロジェクトに関わった科学者等は「これは世界最大の3Dプリンタであり、大規模なインフラ用途に十分対応できるほど成熟している」と評価しているという。

◆黄河上流に建設される3Dプリントダム(楊谷水力発電所2024年の完成)は、高さ180メートルだ。完成後の発電所は約50億kWhの発電能力を持ち、河南省とその周辺地域5000万人分の電力を供給すると規模である。
(参考 デザインと3Dのプロが伝える3Dプリンタや最新テクノロジー 3DP id.arts)

◆我が街の月山ダムは高さ123mで電力出力は最大8800kwwで常時300kwとあるので、楊谷水力発電所の約50億kWhで5000万人分の電力の「3Dプリンタダム」は脅威的だ。桁違いだ。   

◆森敦さんが聞いたらどう思うだろう。
耕田院(山形県)

すてき

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