「中学校国語教師の脱線話」2

◆今朝は、「恋人」と「変人」の話を教えてくれた「中学校国語教師の脱線話」の続きを作ってみた。

◆そうそう、その前に昨日のなぞなぞ「空の上には何がある」の答えの発表だ。答えは「死(シ)」である。もうお分かりですね。「ドレミファソラシド」の「ドレミファ空死ド」。正解は何人もいました。頭が柔らかい(拍手!!)　今日もなぞなぞのおまけあり。→最後

◆今日登場するのも「漢字が嫌いな男」だ。彼の恋文(変文)の書き出しの部分なのだが、いったい、いくつの間違いがあるだろう。

「始めて黄身に遭った刻」

流石に、これではポンコツのワープロだ。「始めて→初めて」「黄身→君」「刻→時」である。

◆さて「あう」はどの字がよいのだろう。取り敢えず、思い浮かぶのは「会う」「合う」「逢う」「遭う」「遇う」。この5つの漢字だ。この中で「恋人」と「変人」と同じくらいNGな漢字がある。

◆それはもちろん「漢字が嫌いな男」が採用した「遭う」である。なぜ「遭う」がNGなのだろうか。使い方を調べて見ると一目瞭然だ。

　　敵に遭う
　　災難に遭う
　　災いに遭う

怒られて当然である。「のび太君がジャイアンに遭う」のように、あいたくないものにあってしまう時の「遭う」なのだ。

◆「合う」もおかしいのがわかるだろうか。「合う」は、「いくつかの別のものがくっついて一緒になる」という意味の「あう」である。似合うとか…。この漢字を使う場合は「初めてあなたと視線が合った時」なら合格だ。

◆「逢う」は、「あう相手の範囲が狭まっている」。つまり、「恋人」にはぴったりだ。一対一で、強く「あいたい」と思う気持ちだ。「よろしく哀愁」の「逢いえない気持ちが愛育てるのさ」である。ただ「熱」が強すぎて、まだ恋人でもないのに使って欲しくないと言われるかもしれない。

◆「会う」は顔と顔を合わせ「あう」だ。部首は「人部」で「人+云」という字源からも納得できる。

◆残りの「遇う」はどうだろうか。「事故に遭う」とは違い「幸運に遇う」のように使われるので運命の人、あなたに初めて遇ったとき、何か新しい運命がスタートするような「遇う」である。

◆ただしである。もう少し調べてみるとこの「遇う」はその「取り扱い」にちょっと難しいところがある。遇(ら)うと間に「ら」を入れると「あしらう」と読むのだ。

１ 応対する。応答する。「好みの違う客を巧みに―・う」
２ 相手を軽んじた扱いをする。みくびって適当に応対する。「鼻で―・う」
３ 素材や色などをうまく取り合わせる。配合する。「帽子に花を―・う」「松に梅を―・う」
とくに2の意味は最悪である。

◆つまり、「漢字が嫌いな男 (特に相手が漢字大好き少女の場合) 」は、無理して「遇う」を使うことはやめた方がよいということになる。人とあう場合は、「会う」を使えば問題がない。それに、他の「遭う」「遇う」「逢う」は常用漢字ではないのだ。