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耕田院の日常(77回目)山形県羽前大山駅

弥勒菩薩と太陽の寿命と地球の寿命

投稿日:2022年10月16日(日)
何を思惟して 頬に指おく み仏よ   荻原井泉水

◆以前Postした「仏としての 石のほほえみ」の荻原井泉水(おぎわら せいせんすい 1884〜-1976年)の句である。

◆荻原井泉水は「生命を表現すること」を主張し,自由律俳句の理論確立と実践につとめた。自由律俳句とは、季語や五七五にとらわれないことをいう。ちなみに、「仏としての 石のほほえみ」は「六・七」であり、「何を思惟して 頬に指おく み仏よ」は「八・七・五」である。季語は不明だが、10月の句に分類されていた。

◆この「頬に指おくの み仏よ」は、背筋を伸ばし、右足を左足の上に組んで坐具に坐り、右手の中指を頬に当てて思案する半跏思惟像であろう。このお姿は、人びとを救済する方法を考えているご様子を表しているという。

◆広隆寺の弥勒菩薩半跏像や中宮寺の菩薩半跏像が有名だ。特に中宮寺の菩薩半跏像は写真家土門拳さんの作品にもあるが、これは如意輪観音であるので、広隆寺の弥勒菩薩半跏像を荻原井泉水は詠んだのであろう。

◆「何を思惟して」であるから、何をお考えになっているのか弥勒菩薩さまは。「今すぐにでも救済して欲しい」との荻原井泉水の強い願いが込められている。しかし、仏さまは、今日もお動きにはならないという嘆きにも聞こえてくる。

◆しかしながら、弥勒菩薩は未来仏というお役目である。現在は兜率天にあり、お釈迦さまの滅後「五十六億年七千万年後」に下界に降られ、仏となって人々を救うという菩薩である。まだ、お釈迦さまの滅後たったの約2500年しか経過していないことを思えば、まだまだ先のことである。しかし、唐突にJアラートが鳴ったり、救済の前に地球がなくなってしまいそうで心配であるのは私だけではないだろう。

◆大丈夫である。なんと「50億年」は地球がなくなる心配はいらないそうだ。なぜなら、地球が滅びるのは、太陽が死んだ時なのだ。

◆太陽の寿命はわかっている。今から「50億年後」だ。この太陽が死ぬ前に、今よりもかなり大きく膨張する。その巨大な太陽に地球は、飲み込まれ、跡形もなく溶けてしまうシナリオだ。空想ではない。そのようなことが必ず待っているのだ。

◆さらに言えば、その時「50億年後」まで、金属と岩でできている地球は、環境破壊が続いたり、または、核戦争が起こったとしても簡単になくなったりはしない。地球に住む我ら人類と全ての生物が滅びるだけなのである。

◆だが希望はある。地球の現在の年齢は45億年だ。かりに地球上から人類が滅び、全てが消え去ったとしても45億年あれば、現在と同じ進化の頂点に人類が生まれるかもしれない。あと50億年あるのだから、もう一回りは間に合う計算だ。

◆それは、弥勒菩薩の「五十六億年七千万年後」の救済に近い数字である。ひょっとして弥勒菩薩の救済とは、本当に地球が滅びる時のことなのかもしれない。
耕田院(山形県)

すてき

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