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耕田院の日常(29回目)山形県羽前大山駅

2022,8,20朝4時半の話 蟻とアブラムシ

投稿日:2022年08月30日(火)
◆トンビだと思うのだが、二組の「つがい」がこの辺りをテリトリーにしている。そのためか、嫌なカラスの被害はない。とっくに巣立ちが終わったツバメも大きくなった。雀も随分増えた。春、鶯はほとんど鳴けなかった。やたらに強いものが弱いものを襲うわけではないが、弱肉強食関係の中である種の秩序が保たれている。

◆今日は弱肉強食だけではない「種の異なる昆虫同士の共生」について。

◆家人は畑を「趣味」にしている。その畑を耕す目的のために、立派な耕運機を購入したほど没頭している。そして、真っ赤な耕運機の操縦は、一生農機具に触れることなどないと思っていた私の役目になった。

◆その畑にアブラムシが出現した。もちろんアブラムシは害虫であり、家人は、母親に電話したり、友だちに連絡したり、ネットで調べたり大騒ぎだ。農薬でと思うのだが、「無農薬」へのこだわりも強いようだ。割り箸や歯ブラシで取ると言いだした。

◆そして、もう一方の主人公の蟻。この蟻も、かわいそうなことに、なんと不快害虫に分類されるという。

◆不快害虫とは、例えば、イモムシ・クモ・ヤスデ・ダンゴムシ・ワラジムシ・ノミバエ・ユスリカなどだ。人間や作物などを害するものではないが、形の気味悪さ嫌がられる虫のことだという。イソップ童話で遊び呆けるキリギリスではなく、「働くことの尊さ」「勤勉」を教えてくれるので蟻であるのに、失礼なレッテルだ。

◆さて、この二つの害虫は、わたしたちの見えないところで見事に共生しているという。

◆アブラムシと蟻の共生関係とはどのようなものであろうか。

◆前にも書いたが、アブラムシの天敵は「テントウムシ」である。テントウムシは1日に100匹のアブラムシを食べる。アブラムシの群れにテントウムシが現れると蟻がテントウムシを追い払うのだという。

◆アブラムシはお尻から「甘露」という甘い液を排泄する。それを蟻が食べるのだ。蟻は「甘露」を欲しいので、アブラムシの天敵であるテントウムシやカゲロウが近づくと追い払う。それだけではない。蟻は、アブラムシの脱皮した皮の掃除をし、清潔に保っているという。

◆このように異なる生物種が、互いに利益を得る関係を「相利共生」と呼ぶ。異なる生物種が同じところで生活することで、互いに利益を得ることができる共生関係のことだ。

◆「相利共生」の眼で自然界を見るとおもしろい。例えばヤドカリの入っている貝殻に付着するイソギンチャクは、ヤドカリの移動によって摂食の機会が増加し、ヤドカリはイソギンチャクの刺細胞の毒によって外敵から保護されているのだ。

◆「相利共生」は異なる生物種ではないが、人間関係構築の基本でもある。互いに努力し、歩み寄り、相手のことを考え、その結果、「縁」を太くしていくからだ。

◆実はアブラムシと蟻の関係はシビアで、甘露の甘みが少なくなると、アブラムシが蟻に食べられたという報告もあるそうだ。だが、人間の場合はそう簡単に一度結んだ「縁」を切り捨てたりはしない。

⭐︎写真は、lion cub drop=獅子の子落としである。
耕田院(山形県)

すてき

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