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耕田院の日常(16回目)山形県羽前大山駅

「自給自足」 2022/8/1「朝4時半の住職の話」

投稿日:2022年08月17日(水)
◆ご覧になったことはあるたろうか。お米の花を。

◆私は、教員時代に、山あいの棚田の稲の花をみたことがある。子どもたちと地区の長老に連れて行って頂いた。海側に開いた棚田だった。

◆その方は「いつも同じ日の同じ時間に稲は開花する。」と自信満々で言われた。その時刻8月1日午前9時。観察に行っていた子どもたちから報告がくる。「先生、咲きました」。長老のおっしゃったように開花が始まったのだ。そして、時間がくると閉じていった。

◆5月に田植えをした稲は、夏になると葉を増やすのをやめて、穂を作り始める。葉のさやの間から穂が顔を出すと1日で穂全体が現れる。穂は小さな花(えい花)がたくさん集まっている。一つの穂にだいたい100個くらいのえい花。白く咲いて見えるのはおしべ。そして、めしべもえい花の中にあり、おしべの花粉が風に運ばれ受粉する。

◆酷暑の夏。田んぼには人影もない。しかし、そこで稲の開花と受粉という大イベントが始まっているのだ。仏教と同じく我が国に伝わり、人々を支えている米の儀式である。

◆そんな折、こんなニュースが流れ愕然とした。

◆「コメ生産 最小673万トン ピークの半分以下」22年の見通しだ。1967年がピークだった。現状では在庫量も丁度いいのだという記事だった。なんとも言えなかったのは、足りないぐらいに調整すれば、米の値段も上がるという記事だった。

◆それにしても、自給自足の定義をどう捉えればよいのだろう。有事の際、このお米の量で、かつて宮沢賢治が「一日二玄米四合」と「味噌ト少シノ野菜ヲ食ベ」といった「質素な営み」を日本国中で維持できるのであろうか。

◆ちょっと計算してみた。たぶん673万トンとは1.2億人に一人当たり約50kgの量だと思う。すると1日136g。米一合の重さは150gであるので宮沢賢治の1/4も米がないということだ。質素どころではない。
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耕田院(山形県)
羅漢さんの写仏①

すてき

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