明福寺

京都府 烏丸御池駅

　当寺の起源は、近江源氏の流れを汲む青地氏に始まる。青地左衛門尉源頼賢は、近江国栗田郡青地庄（現在の草津市青地町）に住む領主であった。晩年本願寺第八代蓮如上人に帰依し出家した。文明12年（1480）野洲郡矢島庄（現在の守山市八島町）に蓮如上人から染筆六字の名号を賜り、これを安置して一宇を建立し北道場と称した。
　その後、頼賢から四代目に当る領主の弟浄祐が、慶長四年（1599）二月、京都の三条坊門万里小路東（現在地）に寺基を移し一宇を建立した。この時を当寺の開基と定める。
　当寺は戦乱度重なる平安の都の中にあり、折ごとに類焼したが、その度に門葉の念力にあずかって再建し現本堂は明治十一年（1878）九月に落成、講堂は昭和四十六年（1971）十一月落成した。
　本尊の阿弥陀仏立像は聖徳太子の作と伝えられる。
　当寺は平成四年（1992）に堂宇創祀五百年・京都開基四百年を迎えるに際し、記念事業が企画され、総力を挙げて本尊の御修復・宮殿と須弥壇の新調の外、法物と累代法名位牌の永久保存収納庫及び付属建物を建立し完成した。
　現在地に開基した由来は、親鸞聖人敬慕の念厚く、聖人御一家が関東から移住し御往生されるまで二十七年余の御住房が、京都旧左京の押小路南万里小路東であったので、そのもっとも近い隣接地に寺基を懇請し成就した。以来四百年を迎える。
　当寺に「一中節」の一世都太夫一中（1650～1724）の碑を有する。一中は当寺三世周意上人の次男恵俊で、還俗して須賀千朴、後に都太夫一中と称した。また浄瑠璃「桂川連理柵」の「お半長右衛門」のお半の過去帳なども有する。
　以下概略したような由緒ある歴史と文化遺産を有し、祖師親鸞聖人の法灯を連綿と継承する古刹である。