広済寺のお参りの記録(1回目)
茨城県鹿島灘駅

西陽が当たって明るいお寺さんです。この辺りのお寺は、集会所や学校を兼ねていた歴史があるので、住職が居なくなった現在でも地元の方々が維持管理しています。一見古い民家のようですが、見せるお寺ではなく、使うお寺なので実用に徹した結果といえます。

植樹された杉林が多い地域ですが、ここは比較的古い樹木が残っています。

お寺の敷地の西側は崖っぷちになっており、西陽がまともにさしています。以前は、深い森の中で日差しの少ない薄暗いお寺でした。

この地域には､山の斜面を削り採って土木建設用資材に販売する業者が多く存在し､搬出が容易な北浦沿岸の斜面か無残に削り取られている現状があります。ここも同様に削り取られた結果、崖っぷちになってしまいました。

お寺を北浦側から撮影しました。残念な風景です。写真では分かりにくいですが、削り取られた崖が岬のように突きだしています。何故かというと…。

崖の上には、お墓であったことを示す石の土台と花があります。さすがに業者もここまで削るのは遠慮したのでしょう。でも、北浦沿岸の台地には縄文遺跡と古墳が無数にあり、調査もされないまま破壊された遺跡は数多くあると思われます。鹿島開発の頃、工事の中断を恐れた現場監督が「何が出て来ても見かなった事にして作業を進めろ」と指示していたという話を聞いたことがあります。

身近にある歴史的な遺構を、無関心であるが故に無価値なものと考えてしまった結果がこの痛々しい風景を生み出しています。私が誰も居ない寺社ばかりまわるのもこのへんに理由があります。草木に埋もれた遺構を掘り起こして次の世代に繋いでいければいいなと思っています。