御朱印・神社お寺の検索サイト楽しみ方

鎌倉・円覚寺横田南嶺管長に聞く「心が落ち着く御朱印めぐりの秘訣」

最終更新:2024年08月15日(木)
公開:2022年12月24日(土)

今回貴重なお話をお伺いしたのは、鎌倉・円覚寺(えんがくじ)の横田南嶺 管長猊下(よこたなんれい かんちょうげいか※以下、横田老師)です。

横田老師は、10年以上にわたりほとんど毎日ブログ更新を続け、コロナ禍をきっかけにはじめたYouTubeは登録者数が2万人を超えました。

現代を生きる私たちに、誰よりも仏教を伝え続けてくださっています。

横田老師が管長を務める円覚寺では、坐禅会、写経会、日曜説法、特別な御朱印の頒布など、お寺や仏教に触れる多くの機会を設けています。

鎌倉時代後期の弘安5年(1282)、北条時宗が中国・宋より招いた無学祖元禅師により、開山された円覚寺は、臨済宗円覚寺派の大本山であり、鎌倉五山第二位のお寺としても有名です。

北鎌倉駅から徒歩1分に位置し、境内に入ると目の前に現れる山門はとても立派で、多くの参拝者で賑わいます。

横田老師に、心が落ち着く御朱印めぐりの秘訣をたくさん教えていただきました。

お話を聞いた方
臨済宗円覚寺派管長 花園大学総長

横田 南嶺


1964年、和歌山県新宮市生まれ。1987年筑波大学卒、在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。1991年から円覚寺僧堂で修行し、1999年円覚寺僧堂師家(しけ)、2010年円覚寺派管長に就任。2017年花園大学総長に就任。NHKラジオや円覚寺日曜説教、講演会など出演多数。著書多数。
聞き手・編集
神社お寺・御朱印の検索サイト「ホトカミ」運営代表

吉田 亮


月間120万人の神社お寺ファンが使う神社お寺の検索サイト「ホトカミ」を運営する株式会社DO THE SAMURAI代表取締役。
東京大学理科II類入学後、文学部言語文化学科日本語日本文学(国語学)専修課程卒業。
2013年より日本文化や歴史を後世に繋ぐ事業を開始、2016年法人化。これまで2000人以上の参拝者との対話や、累計1000万アクセスを超えるお参りに関する記事の執筆編集、100年後に神社を残すために社会と神社の接点を創出する。

    目次

  1. 御朱印をご縁にお参りすれば、仏さまに近づく道となる
  2. 神社お寺へのお参りで大切にすべきこと
  3. 管長就任直後から10年以上毎日インターネットで発信
  4. 円覚寺にお参りの皆様へ
  5. 編集後記

御朱印をご縁にお参りすれば、仏さまに近づく道となる

仏教2500年の歴史から紐解く御朱印めぐりのルーツ


ここ数年で御朱印めぐりがブームとなり、御朱印をきっかけに神社お寺にお参りする方も増えました。SNSが普及して写真を手軽にアップロードできるようになったことも、御朱印ブームの大きな要因だと思います。
御朱印を文化として、良い方向へ育んでいくために大切なことを教えていただきたいです。

私は仏教について考えるとき、まず「お釈迦様が何を説いていたのか?」を大事にしています。

御朱印の起源は巡礼や巡拝にあるのでしょうから、
巡礼・巡拝について仏教の歴史から考えると、お釈迦様の時代までさかのぼることができます。

お釈迦様はお亡くなりになる前に「四つの聖地を巡拝しなさい」と説かれました。

四つの聖地とは、自分の生まれたルンビニ、悟りを開いたブッダガヤ菩提樹(ぼだいじゅ)下、はじめて説法した鹿野苑(ろくやおん)、涅槃に入ったクシナガラのことで、 四つの聖地を巡拝すれば、その功徳は計り知れないと説かれています。

このお釈迦様の言葉がきっかけで、聖地をお参りする習慣ができたのだと思われます。

日本からインドの聖地へお参りに行くことは困難ですので、
やがて日本の由緒あるお寺を巡拝するようになったのだと想像します。

お釈迦様をお慕いし、その教えを大切にする気持ちが、巡礼になったのでしょう。

何百年何千年と多くの人たちが拝んできたお寺や神社の「場の力」

巡礼を通じ、お寺や神社という場に入ることによって身体と心に大きな影響があるのです。

仏教を学ぶとき、「書物から言葉で学ぶ方法」と、「身体で触れて教えを染み込ませていく方法」があります。

お寺は、素晴らしい仏師たちが仏像をつくり、何百年何千年と多くの人が拝んできた場所です。
お寺や神社の境内に入ることで、「場の力」を感じて、教えが身体に染み込んでいきます。

最近ではパワースポットという言葉を聞きますが、そういった感覚に近いんじゃないでしょうかね。

仏さまに手を合わせれば、仏さまの心に目覚めるきっかけとなる

また、お寺や神社に行くと、皆さん手を合わせられますよね。
手を合わせるというのは、素晴らしいことです。

「仏を一拝すれば妙心を生ず(仏さまを拝めば仏さまの心が生まれるのだ)」という言葉があります。
ご本尊様に一度手を合わせて拝むだけでも、自分の心のなかにある仏さまの心があらわになってくるものです。

人間というのは、胸の前で手を合わせると不思議と心が落ち着くのだと思います。

御朱印がスタンプラリーになっているという批判も耳にしますが、最初はそうだったとしても、一歩お寺や神社に足を踏み入れ、ご本尊さまの前でひとたび手を合わせれば、その人が仏さまの心に目覚めるきっかけになるのです。

お話をお伺いして、足を運んで手を合わせることの大切さをホトカミでも強調していくべきだとあらためて感じました。

その通りです。

ですが、現地にお参りするのが良いと言うのと同時に、
足が不自由な方など、直接行けない方のために、行かなくてもお参りできることの有り難さも伝えていかないといけません。

郵送の御朱印というのも、パッと聞くと横着してはいけないと思うのですが、行けない人にとって一つのご縁になるのは良いことだと思います。

昔から直接お参りできない方の代わりにお参りをする「代参」というのがありました。
それが変化したものだとも考えられますでしょう。

神社お寺へのお参りで大切にすべきこと

土地の神さま仏さまに謙虚な気持ちでご挨拶


毎朝配信されているYouTube法話をお聞きしていると、横田老師は宗派を問わず色んな神社お寺にお参りされていることを知りました。
神社やお寺に参拝されているとき、どんなことを大切にされていますか?

日本には、どんなところにもお寺や神社がありますよね。

私は、講演や法話などで全国各地を訪れた際、まずその土地の神さま仏さまに「失礼いたします」という気持ちでご挨拶をします。
法話をするときであれば「お膝元で法話をさせていただきます」という気持ちでお参りをするのです。

最初に謙虚な気持ちでご挨拶をする、これがとても大切なことだと思うのです。

お参りするのにオススメの時間帯や順番などはありますか。

オススメはやはり朝や夕暮れどきなど、人がいない時間帯にお参りすることです。
気持ちが澄んで感じがよいです。

また車で参拝に行ったとき、足腰が元気な方はできるだけ遠くの駐車場に駐めるのがよいでしょう。

神社でもお寺でもその境内地は尊い土地なのであります。
お寺の場合ですと、その境内地は仏さまのお体だと教わったものでした。

ですから、巡礼する道のりが有難いご縁になります。
特に山のお寺などでは、一番遠い不便なところから歩いていくのがおすすめです。
私もなるべくそうしています。

管長就任直後から10年以上毎日インターネットで発信

私は2022年の春頃から横田老師のYouTube法話を聞かせていただくのが、毎朝の楽しみになりました。きっとコロナ禍がきっかけでインターネットでの情報発信に力を入れてらっしゃるんだろう、と思っていたところ、聞けば2010年の管長に就任された直後、10年以上も前から毎日のように、こんなにも心に響く内容を発信されていることに驚嘆しています。
なぜ、積極的にインターネットで情報発信され続けているのでしょうか?

私からすると「やらない理由を教えて欲しい」です。

インターネットでの情報発信は、やるべきでしょう。
教えを伝えていくことが我々僧侶の務めですから。

私がはじめた10年前でも遅すぎるくらいです。

今日が最初で今日が最後だという気持ちで続けたYouTubeは700回目を更新


コロナ禍をきっかけに本格的にはじめられたYouTubeは先日(2022年12月7日)の配信で第700回目を迎えましたね。

数を数えることは、あまり好きではありません。
700回と数えると、その1回が700回分の1になってしまいますから。

毎日「今日が最初で、今日で終わり」という気持ちでやっています。
第1回、また第1回、、、その第1回の連続が700回になっただけなのです。

真剣に生きていたら、何か書きたいことが出てくるはず


仏教を伝えることに向き合う姿勢と、10年以上も続けてらっしゃるからこその説得力に感動しました。毎日2000文字もの内容をどのように生み出してらっしゃるのでしょうか?
SNSの投稿を頑張りたいけれど、毎日となると書く内容が見つからないという声もよく耳にします。



松原泰道先生*から、教わったお話です。

警察署長の方が職員を集めて、
「今日、自宅から警察署へ歩いてくるなかで、何に感動したのかを話しなさい」と言いました。
すると職員は皆、「ない」と言うのです。

毎日通勤しているわけですから、よっぽどのことがなければ感動するようなことはないのでしょう。

しかし、その署長は非常に厳しく言いました。
「我々は警察であって、街の人の住まい、表情、佇まい、わずかな違いを見つけなければ、犯罪には気付けない。たとえ毎日同じ道を歩いていたとしても、必ず何か気が付くものがあるはずだ。」

私もまさしくその通りだと思うのです。

私たち僧侶には、多くの人たちの悩みや苦しみと向き合う役割があります。
本当の苦しみは言えないことの方が多いものです。
ですから、その人の雰囲気や佇まいから、わずかな心の変化に気が付かなければいけません。

もし書くことがないとしたら、のんびりしすぎていると思います。
もっと真剣に生きないと。
そういう方は、ずっと生きていられると思っているのではないでしょうか。

今日が最後だと思っていたら、何か書くことが出てくるはずだと言いたいですね。

テクノロジーが発達するにつれ、人類は劣化する。しかし、先人が成し得なかったことも可能になる。


人類史をみると、テクノロジーの発達にともない、社会生活も変化してきました。
仏教の歴史をみたとき、インターネットはどんな変化をもたらしたと考えられるでしょうか。

まず私の実感として、人間は劣化しているという自覚を持って、インターネットを活用していくべきでしょう。

最初は、仏教の膨大な経典を暗唱していました。
そこから、文字が書き残せるようになって、膨大な情報を記憶する力が失われました。

印刷技術が発達すると、今度は膨大なものを書き写すための根気と労力が失われました。
そして印刷が書物になり、現代はインターネットで、ほとんどのことが調べられるようになりました。

今さら、本を使わずに暗記しようと言われても難しいものです。
便利にはなったけれど、人間としては劣化したと自覚して活用していくしかありません。

私が総長をしている花園大学でも、以前までは大学の図書館の秘蔵となっていて、一般の閲覧は極めて困難だった貴重な禅の語録の写本が、手書きのものまでデータベースで検索できるようになりました。

便利な面は大いに活用させていただいて、
先人たちが成し得なかったことを成し遂げるのが我々の務めだと思いますね。

せめて、便利なものを活用して皆様に還元していかなければ、生きている意味がないという気持ちです。

円覚寺にお参りの皆様へ

横田老師が円覚寺で、好きな場所はどこですか?

やっぱり御本尊様の前です。
仏さまにお参りするのが一番ですから。

円覚寺の御本尊様は、いつの間にか宝冠釈迦如来(ほうかんしゃかにょらい)といわれるようになりましたが、創建当時の語録では毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)だったと言われています。

お顔は創建当時のままだと、近年の研究でわかりました。

創建当時から730年の歴史を見守ってくださる御本尊様の前にいくと、
自分が落ち着く、そして反省させてもらえるというのが一番です。


最後にホトカミをご覧の皆様にひとことお願い致します。

仏さまに手を合わせれば、
それだけで心が穏やかになり、悟りに一歩近づいていく道となります。

どうぞ皆様も御朱印をご縁にお参りをして、仏さまに近づいていかれることを願います。

ありがとうございました。


横田老師、円覚寺の皆様に、改めて深く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。


今回のインタビューの動画もぜひご覧ください。
記事では伝えきれなかったお話や、
横田老師の雰囲気が感じられる動画となっています。 動画を再生する→

編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ここまでお読みくださった皆さんには、私も毎朝聞いている円覚寺・横田老師のYoutubeチャンネル「【公式】臨済宗大本山 円覚寺」をオススメします。

文章で読むのは大変だという方も、音声でのお話だと、横田老師のお声に癒されながら、すっと心に入ってきます。

また、概要欄に書き起こしもあるので、気になる漢字や言葉もすぐに確認できます。
私もまだまだ勉強途中なので、はじめて知る言葉や昔の著名な僧侶の方もたくさん登場しますが、毎朝聞いているうちに、どんどん仏教の奥深さに気付いていけるのではないかと思っています。

大変ありがたいことに、今回のインタビューの様子についても、横田老師のYouTubeチャンネルで取り上げていただきました。

ぜひチャンネル登録をオススメします。
あらためて、ありがとうございました。

(編集=吉田 亮)
(執筆=西脇 唯真)
円覚寺・横田老師のYoutubeチャンネルへ>>


【円覚寺の情報】
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内409
円覚寺公式ホームページ:https://www.engakuji.or.jp/
円覚寺ホトカミページ:https://hotokami.jp/area/kanagawa/Hkyty/Hkytytk/Drktr/54469/

最新記事

おすすめの記事

最新の限定御朱印情報が届く!
御朱印メルマガを受け取ろう

利用開始をもって利用規約プライバシーポリシー
同意したものとみなします。

※購読はいつでも解除できます。

This site is protected by reCAPTCHA and the Google
Privacy Policy andTerms of Service apply.

御朱印背景