【大洗磯前神社×ご祈祷ふんどしインタビュー】神社とともに復興したアニメの聖地
アニメ「ガールズ&パンツァー」に登場することでも有名な大洗磯前(おおあらいいそさき)神社。
大洗磯前神社は、地域の氏子(うじこ)(注1)と神社が震災からともに復興するという道を歩んできました。
その大洗磯前神社で、ふんどしの日にあたる2月14日に、「ご祈祷ふんどし」がおこなわれました。
これは、大洗磯前神社でお願いごとを書いた白ふんどしをご祈祷してもらうものです。
今回は、大洗磯前神社の吉田卓史権禰宜(ごんねぎ)(注2)と、
ご祈祷ふんどしの企画をした(社)日本ふんどし協会の会長である中川ケイジさんにお話を聞きました。
吉田 亮
1990年岐阜生まれ。東京大学文学部卒。
在学中から「日本の文化や歴史を現代に生かし、未来に繋げたい」と神社ツアーや塾の運営など行う。
村上 太郎
神社お寺を知ってもらうため、100年後も読まれる記事を目指しています。毎朝の坐禅が日課。
- 氏子と一体となって町おこし 神社がアニメを応援した理由
- ふんどしがつなぐ、地域×人×神社のご縁
- 一つ一つのご縁を大切にして、復興する大洗
- 大洗の町と磯前神社にどうぞいらっしゃい
- インタビューを終えて
目次
氏子と一体となって町おこし 神社がアニメを応援した理由
大洗磯前神社といえばテレビアニメのガールズ&パンツァーで有名ですね。
吉田権禰宜
ガールズ&パンツァー(以下、ガルパン)が放映されたのが震災の少しあと(2012年10月~12月)でした。
ガルパンは、女の子が戦車を操縦するっていう世界観じゃないですか。
私は鉄腕アトムの世代でしたから、最初はなかなか入っていけなかったんですね。
でもガルパンの内容をよくよく聞いていくうちに、
大洗の街並みを忠実に再現してくれているアニメだとわかりました。
それに、町の人たちが震災後、沈んでいたなか、
ガルパンを通して若い世代が大洗に来てくれて、町が活気づいたというのが本当の喜びなんです。
神社っていうのは氏子さんと一体でしょ。
神社と氏子は一緒になって活気づいていくものだから、
神社の足元を支えてくれる氏子から盛り上がっていかないとダメなんです。
私はアニメによって大洗磯前神社がどうなったというよりも、
「大洗に人がたくさん来てくれて、いずれ神社へお参りする人も増えるといいな」くらいに考えていました。
<ガールズ&パンツァー>
通称、ガルパン。
戦車の模擬戦が女性向けの武道「戦車道」となった世界を舞台に、戦車道の全国大会優勝を目指す女子高生を描くアニメ。磯前大洗神社のある大洗町が舞台であり、地域がアニメに全面協力している。ファンがアニメの舞台を現実世界で訪れる「聖地巡礼」で盛り上がったアニメとしても有名。大洗町ではガルパンにより、観光客数で15万9000人、金額で7億2100万円の経済効果があった(2013年度・野村総合研究所調べ)。
アニメのおかげもあり、大洗は元気になりました。
氏子さんや地域が活気付いてくれば、神様って自然と喜んでくれるのです。
それは、子供が喜ぶだけで親が満足した気分になるのと同じこと。
神様は親ですから、氏子の活動の後押しもしなくちゃいけない。
今、ガルパンとコラボした絵馬やお守りがあります。
これは、大洗の若い子たちが町おこしのために一所懸命やっていることです。
なので、神社の名前を入れていいですよ、としました。
今回のご祈祷ふんどしの企画が生まれたのも、
神社からは、地域に盛り上がってほしいという想いがありました。
ふんどしがつなぐ、地域×人×神社のご縁
中川さんはふんどしを通じて、さまざまな新しい試みをされていますね。なにがきっかけで今回の「ご祈祷ふんどし」が生まれたのでしょうか?
中川
私は(社)日本ふんどし協会の会長として、ふんどしの良さを伝えたり、新しいふんどしのあり方を提案することで、ふんどし文化を残すことを目指しています。
また私は、2年前に新しい働き方を実践しようと、大洗からも近い水戸に移住してきました。
地元の人とのご縁もあって、茨城の住み良さを実感しています。
一方で移住してみると、なかなか茨城の良さが都心の人に伝わっていないことに気づきました。
「ふんどし同様、茨城もPRが少し弱いのではないか?」とも思うようになりました。
そんなところから、茨城でも多くの観光客を呼んでいる大洗の取り組みに興味を持つようになりました。
大洗へは、私も家族で観光によく訪れていましたし、大洗磯前神社にも毎月1日にお参りしています。
そこから、ふんどしを使って神社と全国の人を結ぶ橋渡しするアイディアが生まれたのです。
大好きな大洗磯前神社には「健康」と「縁結び」の神様がいらっしゃいます。
ふんどしを通して、「健康」や「縁結び」を必要としている全国の人に、神社のこと、大洗のことを知ってもらいたいと思いました。
さまざまなご縁が結ばれて、ご祈祷ふんどしは大洗磯前神社での開催となったのですね。「ご祈祷ふんどし」とはどんなものなのでしょうか?
中川
「ふんどしの日」にあたる2月14日に、健康、縁結びなどのお願いごとであったり、今年の目標などを書いた白ふんどしを、
大洗磯前神社にてご祈祷してもらうものです。
少し間違えるとふざけた企画になりそうですが、神社で行われる神聖なご祈祷になります。
ふんどしは、以前は日常的な下着として使われていました。
また、昔から神事に着用する下着でもあり、禊(みそぎ)(注3)の際にも使われます。
ふんどしの魅力を少しでも伝えたいという願いも込めつつ、ふんどしをご祈祷をしていただきました。
ご祈祷したふんどしは、大切な日に着用して力を発揮したり、神棚におまつりしたりするのもいいでしょう。
大洗磯前神社には、この企画を理解していただきました。
その懐の深さやご協力には感謝しきれません。
一つ一つのご縁を大切にして、復興する大洗
吉田さん、アニメやご祈祷ふんどしによって神社や町はどのように変わりましたか?
吉田権禰宜
震災後の大洗では、お店がどんどんと閉じていきました。
大洗は観光地なので、来る人がいなくなったら、お店はシャッターを降ろすしかありません。
若者の間でも、家を継がないで、サラリーマンになろうという雰囲気がありました。
そんなとき、アニメの効果で観光客のみなさんが来てくれるようになりました。
みんなリピーターで何回も来てくれるんですよ。
大洗へ観光に来る人が、お土産を持って来てくれることもあります。
うれしいじゃないですか。
観光客の気持ちがうれしくて、大洗のみんなはお店を閉めるわけにいかなくなりました。
「大洗に来る人をもてなそう」と体が活気づけば、心はもっとうれしくなるものです。
だから、大洗のみんなはうれしくてしょうがないんじゃないの?疲れてるかもしれないけれど(笑)
中川さんとのご縁で、大洗磯前神社の新しい試みが始まりましたね。
吉田権禰宜
こうやって、新しくご祈祷ふんどしをやってみようと、中川さんが動いてくれるということは、人の力じゃないんです。
知らない人とのつながりやインスピレーションってありますよすね。
そういうつながりを作るのが縁結びの神様です。
大洗磯前神社には縁結びの神様をおまつりしています。
縁結びの神様というのは、いろんな人の縁を少しずつ結んでくれています。
あとはご縁をいただいた人間が、そのご縁に気づくかどうか、大事にするかどうかでしょ。
人は人と争ってもしょうがないので、ご縁を大切にして仲良くした方がいいじゃないですか。
そうやってご縁をいただいて、一生懸命に動いてくれている中川さんのような人がいる。
一生懸命に動いてくれている人を、神社は断ることができません。
だって縁結びの神様だから、断ったら私が神様に怒られちゃう。
そういうふうなご縁がずーっとつながって何万人という数になってくれて、今ではおかげさまで土曜・日曜には人があふれるようになりました。
大洗の町と磯前神社にどうぞいらっしゃい
インタビューありがとうございました。最後に読者の方へ一言をお願いします。
中川
人が人を呼び、ご縁がつながってご祈祷ふんどしは成功に終わりました。
初めて出会った方もいましたし、ご祈祷ふんどしを広めようとしてくれる取材の方も集まりました。町や神社の人たちも笑顔で迎えてくださり、安心して開催できました。
2回目もやりたいという声があがり、すごくうれしいです。
ご祈祷ふんどしを全国に広めたいという想いもありますが、まずは大洗磯前神社で定期的に積み重ねていきます。
実際に大洗まで足を運び、お参りをしてくださる人が増えることを目指します。
神社は僕にとって、気軽にふらっと立ち寄ってしまう場所です。
ふんどしも一緒で日常的に気軽に使うものとして使ってもらえればと思います。
吉田権禰宜
月並みですけれども、感謝しかない。
来ていただいて、お話ができる。
目に見えない何かが親心として働いていらっしゃるから、多くの人と会わせていただいていると思うんですよ。
私は、お参りに来た方とお話をするのが好きなんです。
歴史が好きな人が来るとなかなか話が終わらなかったり。
どのお守りを受けるか悩んでる方にアドバイスをすることもあります。
お話をすると、勉強にもなるしね。
その人の歩んで来た道の上にあるのが一番の学びだと思っていたりするんです。
その学びを与えてくれている見えないものに感謝するしかないんじゃないかな。
インタビューを終えて
大洗磯前神社は、ホトカミでも投稿が多く、気になっていた神社でした。
ホトカミ運営メンバーの願いも、
「ご祈祷ふんどし」にて、祈祷していただきました。
ふんどし協会 会長の中川さんには、
「真田幸村 辞世の句ふんどし」でコラボレーションさせていただいたことがありました。
こうしてまた神社でお会いできたことに不思議なご縁を感じました。
また、インタビューでは、記事中に紹介した大洗の町と神社の話だけでなく、
吉田権禰宜と歴史の話でおおいに盛り上がりました。
私は東京から日帰りでお参りしました。
大洗の町がすっかり気に入ってしまい、
海で自然を感じ、めんたいパークで明太子を食べ、商店街を歩き、古墳を探索し、
朝から夕方まで一日中大洗を満喫しました。
みなさんも大洗の町と大洗磯前神社に遊びに行ってみませんか?
大洗磯前神社 | ホトカミ
大洗磯前神社の情報
住所:茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890
アクセス:「大洗駅」から2.5km 「水戸大洗IC」より5.5km
駐車場:あり
電話番号:029-267-2637
FAX:029-267-7557
ホームページ:http://oarai-isosakijinja.or.jp/index.html
御祭神:大己貴命・少彦名命
創建時期:856年
御朱印:有り
拝観料:無し
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