縁結び出雲の馬木不動尊、土井住職ご夫妻に聞いた「お寺の未来」

最終更新: 2018年10月06日 公開: 2018年01月14日

求められていることに対して、
「うちのお寺ならこういうことができますよ」
というかたちで始めるので、

無理なく自然にご縁が広がっていくなと感じます。


そう話してくださったのは、馬木のお不動さんとして親しまれる島根県出雲市にある馬木不動尊 光明寺の土井裕翔住職です。


馬木不動尊

こんにちは。神社お寺の投稿サイト「ホトカミ」の運営 代表であり、
出雲観光大使もつとめる、吉田 亮です。

ホトカミに集まっているのは、神社お寺にお参りされる20代~50代を中心とした一般のユーザーさんと、
日本全国の神主さん、お坊さんたち。

ユーザーさんから、「お坊さんが、どんな想いでお寺を受け継いでいるのか知りたい」
また、お坊さんの卵の方からは「先輩たちが家を継ぐまでに迷いがあったのか?気になる」などの声を聞きました。

そこで始めたインタビュー企画、
今回は「出雲って、出雲大社など神社以外にお寺もあるの?」というユーザーさんからの質問に答えるために、出雲在住の方に出雲大社以外のオススメの神社お寺を聞きました。

そこで、複数の方に紹介して頂いたのが、
馬木のお不動さんとして親しまれる島根県出雲市にある馬木不動尊 光明寺の土井裕翔住職です。

神在月として日本中から神様が集まる2017年11月30日にお話うかがいました。



馬木不動尊

この記事の書き手
ホトカミ運営代表 / 出雲観光大使

吉田 亮


1990年岐阜生まれ。東京大学文学部卒。
在学中から「日本の文化や歴史を現代に生かし、未来に繋げたい」と神社ツアーや塾の運営など行う。

    目次

  1. 馬木不動尊 光明寺を継ぐ決心をするまで
  2. 「うちのお寺ならこういうことができますよ」
  3. 「24時間いつでもお参りしてください」
  4. インタビューを終えて

馬木不動尊 光明寺を継ぐ決心をするまで

自分が願うところに生まれてきた

土井住職は、2017年10月22日に前住職から継承され、住職になられました。
 お寺の家に生まれても、お寺を継ごうか迷う方も多いようです。
 幼い頃から、お寺を継ごうと思ってらっしゃったのですか?

思ってないですね。

もちろん子供の頃から、お経をよみ、お檀家さんをまわるということは、前住職の父とやっていました。

前住職も継いで欲しかったでしょうけど、
継いで欲しいと言われたことはありませんでした。

だけど、迷っていました。

そこで、やはりある程度、仏教について勉強してから決めようということで、
高校卒業と同時に上京し、立正大学(日蓮宗の大学)の仏教学部で学びました。

学んでいくうちに、「仏教って面白いなぁ」と思い、
さらに大学院で学びました。

学ぶなかで、法華経(ほけきょう)の「願生(がんしょう)」という言葉と出会いました。

願生とは、「私たち人間は生まれた環境や地域がそれぞれ違うけど、自分が願うところに生まれてきた」という意味です。

自分が願うところに生まれてきたと思うと、
やはり「お寺を継ぐために生まれてきたんだなぁ」と感じ、
大学院のときに、お寺を継ごう。これは使命だ。と思いました。


馬木不動尊

恵比寿での奥さんとの出会い、運命の再会から結婚へ

奥さんは岐阜県出身とのことですが、いつ頃、お寺に嫁がれたんですか?

馬木不動尊

真紀夫人:住職がまだ大学院で勉強していた頃、同じバイト先で働いていた時期がありました。
そこで出会いました。

そんな私は、高校を中退して突然アメリカに行ってしまうような学生でした。
帰国後も、海外と関係のある仕事や外資系の会社で働くなど、バリバリ海外志向でした。

当時は、日本文化なんて全く興味がなく、むしろアメリカの考え方が自分に合っていると信じて夜遅くまで働く日々を送っていました。

大学院時代のほんの一時期バイト仲間でしたが、そのあとはほとんど連絡も取っていなかったのですが、
32才の頃、私が難病になり、手術のために広島の病院で入院していました。
そのとき、彼女にメールを送りました。

私はその頃も東京で働いていて、10年近く会ってないしメールが来ても、
難病なんて気の毒だなぁくらいにしか思っていませんでした。

だけど、ちょうどそのとき、友達が出雲へ行ったよという話を聞いたり、
まわりで出雲を意識させる偶然が重なりました。

そして、退院したばかりの住職に突然連絡して、
ほとんど無計画な状態で出雲へ来ました。

住職に日御碕に連れて行ってもらいました。
都会でずっと働いてきて、こんな景色は見たことがなかったんですね。
そこで、私の中で何かが変わりました。

そこからはもう早かったよね。
11月に出雲に来てくれて、12月には結婚を決めていました。

それは本当に運命の再会、出雲はやはり縁結びの土地なんですね!

馬木不動尊

「うちのお寺ならこういうことができますよ」

働き盛りの社会人こそ必要としていた座禅会

光明寺を紹介してくださった方から、金曜日の夜の座禅会に参加したことがあると聞きました。
どういった経緯で座禅会を始められたんですか?

近所のある女性に、仏教に興味があると言われました。

では、お寺でお釈迦さんや仏教の話をしましょうということで、
ちょっとした勉強会を開きました。

勉強会に参加していた女性の同僚であるYさんが、座禅がしたいと仰いました。

一般の方は、お寺というと敷居が高いイメージがあるみたいですが、
こちらとしては、いつでもウェルカムです。

そこで、金曜日の夜に不動堂でろうそくを立てて、
働き盛りの忙しい世代でも仕事帰りに参加できるような座禅会を始めました。


日蓮宗で座禅ということで、意外に思われる方もいるかもしれませんが、
馬木不動尊では毎月1日の朝6時半から30分間座禅を組み、みんなでおかゆを食べるということを前住職が欠かさず44年間続けていました。

でも、この時間帯だと、どうしても働き盛りの方たちが参加することが難しいんですよね。
そこで、週の終わり、金曜日の夜にも始めました。


馬木不動尊

定期的にブログを書いてらっしゃるのは、働き盛りの方たちにも情報を届けたいという想いから始まったのでしょうか?

そうですね。

お寺というと、お葬式や法事のイメージが強い方も多いかもしれませんが、
うちのお寺は檀家さんの数は38軒と比較的少なめです。

そのため宗派を問わず、お不動さんを信仰してお参りされる方や、
ご祈祷にいらっしゃる方が中心のお寺です。

そこで、まずは馬木不動尊のことを色んな方に知って頂きたい。
地元の方たちに加えて、他の地域の方や、それこそ働き盛りの若い方たちにも知ってもらいたいと思い、何かあるとブログに書くようにしています。


馬木不動尊

英語教室をきっかけにお寺が身近な存在に

なるほど、ホトカミを運営していても、情報を発信することの大切さは日々感じます。
奥様が先生をやってらっしゃる英語教室はどのように始まったのですか?

結婚式のときにあるお坊さんから、
「お寺っていうのは地域の役に立たなければならない」という言葉をいただきました。

どうやって役立つことができるのだろうかずっと考えていたところ、
あるお母さんに、子供の英語を見て欲しいとお声がけいただきました。

都会と違って、英語に触れたくても英語を学ぶ機会がない子供たちがこの地域にはいるんですよね。

こちらから英語教室をやりますよという発信などは特にしていなかったのですが、
2、3人からはじまり、口コミでだんだん増え
今では生徒数が50人ほどになっています。


毎日16時〜21時は子供たちがお寺を出たり入ったりしているのですが、
子供たちが英語の合間に、「お坊さん、お経教えて!座禅してみたい。」なんて言うんですね。

また、お堂へお参りされる送迎のお母さんたちもいらっしゃいます。

そういった姿を見ていると、
少しでもお寺に触れて、身近に感じてくれるのは、とても嬉しいなぁと思います。

基本的な姿勢として、自分たちから英語教室をやるぞ、何人の生徒を集めようということでは決してありません。

求められていることに対して、「うちのお寺ならこういうことができますよ」というかたちで始めるので、
無理なく自然にご縁が広がっていくなと感じます。

それ、とてもわかります。僕も起業したい!と思ってホトカミを始めたのではなく、
求められていることを感じてホトカミを始めたので、無理なく自然に輪が広がっていくのを日々、実感しています。


馬木不動尊

「24時間いつでもお参りしてください」

非日常的な空間で、癒しを与えたい

20年後、お寺はどうなっていくと思われますか?

大きな変化でいうと、家単位での檀家制度は変わっていくと思います。

このあたりでも、20年前まではお葬式を自宅で行うところが多かったです。
しかし、大家族じゃなくなるにつれ、ほとんどのお葬式が会館で行われるようになりました。

その結果、家族のなかで継承されてきたお盆やお墓参りの意味などが、
若いひとたち伝わりづらくなってきています。

私たちは、お葬式や法要、お盆など、基本的なことも含めて丁寧に伝えていかなければ
と思っています。
また、馬木不動尊では、お堂を24時間、開けっ放しにしてあるんですよ。


馬木不動尊

誰でも自由にお参りして良いんですか?

はい。夜にお堂に入って電気をつけて、お参りされる方もいらっしゃいます。

お寺って、やはり非日常的な空間かもしれないので、
お参りされた方に癒しを与えたい、誰でも自由にお参りして頂きたいです。

病気になったら、かかりつけ医の病院にいくように、
ちょっと苦しいな、と感じたときに、気軽にお参りしてもらいたいなと思い、
24時間自由にお参りしていただけます。


馬木不動尊

自発的なお寺との関わり

最後に、「今後、どんなお寺を目指していきたい」ですか?

馬木不動尊は毎月28日が縁日で、1月28日には水行式が行われ、たくさんの方がお参りされます。

今回、お茶の先生が「水行式にお参りされた方へお茶を振る舞いたい」、
お花の先生が「本堂で生け花展をやりたい」と申し出てくださいました。

こういったかたちで自発的にお寺に関わりたい、盛り上げたいという方が増えていったら嬉しいです。

お寺だから、こうしなきゃいけないというイメージはあるかもしれませんが、
もちろん守るべきところは守りながら、自由に使っていただいて良いんですよ。

ホトカミでもサポートできるように頑張ります。
貴重なお話、ありがとうございました。

馬木不動尊

インタビューを終えて

「うちのお寺は特に何もないから、何もできない」と、
住職さんから相談を受けることがあります。

馬木不動尊での社会人向けの座禅、英語教室なども、たまたま求めている人がいて、
その人のために始めたところ、少しずつ広がり、続いているというお話でした。

土井住職ご夫妻のお話を聞きながら、
「自然な会話を通じて、お参りされる方が求めているものに気付き、小さく始めてみることの大切さ」を感じました。

何もないから、何もできないのではなく、
何もなくても、求められているものに気付き、
うちのお寺や神社、こういうことならできるから少しやってみよう
、と小さく始める。

少なくとも、求めている人にとっては、それが癒しになる。

また、お参りされる方は、ぜひ住職さんや神主さんに(忙しくなさそうなときに)話かけてみてください。
会話のなかから、住職さんや神主さんにも何か気づきがあるかもしれませんし、
私たちもお参りの時間が、より素敵なものになるかもしれません。

素敵な時間をありがとうございました!

最後に、
住職と奥様が出会った場所が、ホトカミが生まれたオフィスと同じ場所であるなど、
不思議なご縁も感じながら、お話をうかがいました。

インタビューあとは、ご厚意で一緒に昼食も取らせて頂き、
近くの朝山神社、万九千(まんくせん)神社にも連れていって頂きました。
本当に感謝です。ありがとうございました。

皆さん、馬木不動尊 光明寺へぜひお参りしてみてください。




馬木不動尊の情報

住所:島根県出雲市馬木町1123
最寄り駅:JR出雲市駅
アクセス:
鉄道ーJR出雲市駅からタクシーで約10分
飛行機ー出雲空港からタクシーで約30分
自動車ー山陰自動車道斐川 IC より約5分
駐車場:約100台駐車可
電話番号:0853-48-0600
FAX:0853-48-0148
公式HP:http://www.icv.ne.jp/dktiin/index.html
住職ブログ:公式HP:http://komyoji.blog119.fc2.com/
本尊:不動明王
宗派:日蓮宗
創建時期:733年
座禅:毎月1日朝6:30から
御朱印:有り
拝観料:無し


馬木不動尊 | ホトカミ

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