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耕田院の日常(316回目)山形県羽前大山駅

「ソイレント・グリーン」

投稿日:2023年07月10日(月)
今朝の輪橋山徒然話は「食」の未来とゲノム編集について考える。2023/6/24

◆「ソイレント・グリーンSoylent Green」(1975年のアメリカ映画)。主演は「ベン・ハー」や「猿の惑星」のチャールトン・ヘストン。人口爆発により資源が枯渇し、格差が拡大した未来社会を題材にしている。

◆「ソイレント・グリーン」のキーワードが怖い。「人口爆発」「特権階級と貧民」「本物と偽物」「合成食品」「配給」「資源の枯渇」「格差の拡大」。そして、増えすぎた人間を安楽死させてくれる公営の安楽死施設「ホーム」。

◆ニューヨークの人口は四千万人。ほんの一部の特権階級と「その他」という世界だ。「その他」の食糧は週1回配給ソイレント社が海のプランクトンから作るという合成食品の配給だ。肉や野菜は宝石以上の価値を持つ。そのため、本物の肉や野菜や果物は「その他」には一生口に入らない。

◆映画にはこんな場面が準備されている。

◆主人公のチャールトン・ヘストンが野菜やたぶんビーフシチュー、果物を食べる。生まれた時代には既に環境汚染がひどく、果物・肉などの味を知らずに生きてきた彼が本当の食事とはどのようなものかたっぷり堪能する。セリフなしの食事のシーンだ。しかし、本当においしそうに食べている。

◆さて、プランクトンも激減し、「ソイレント」は「ソイレント・グリーン」を新たに開発する。しかし、ラストに「人間が人間を飼う」ということばが示すように、そこには恐ろしい秘密が隠されていた。

◆「ソイレント・グリーン」が設定した未来は2022年。去年だ。「ソイレント・グリーン」の未来に生きる我々なのだ。

◆現在は映画ような恐ろしい企みはない。公営の安楽死施設「ホーム」もない。しかし、世界を襲う「食糧危機」は疑いようのない現実である。

◆人類は「人間が人間を飼う」というアプローチではなく、例えばゲノム編集という遺伝子へのアプローチを選択した。ゲノム編集とは、酵素の「はさみ」を使ってゲノムを構成するDNAを切断し、遺伝子を書き換える技術だ。人的に突然変異を引き起こすレベル、自然界でも起こりうることなのだという。
◆ゲノム編集は、違う種の遺伝子を植え付ける遺伝子組換えと比較して、安全だといわれている。たとえば、すでに流通している成長速度が1.9倍の高級魚。餌は4割減。体が大きく、ずいぶんと美味しいそうだ。(※銘柄は記さない)

◆しかし、突然変異で成長速度が1.9倍で、食事が4割減の「人間」が生まれたとしたらそれは果たして人間なのだろうかなどと思ってしまう。

◆「自然の不思議は、人間に不可知なものがあることを教えてくれます。花の色を変える技術が生まれても、梅の木に桜の花を咲かせることはできません。」と自然への畏怖・戒めを寂聴さんは説かれている。しかし、それに対して理論上は「全然可能だ」などと的外れな返事が返ってきそうなあやうさかあるのが現代だ。

◆いつもニコニコ。一筆啓上付箋写経。
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耕田院(山形県)

すてき

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