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耕田院の日常(277回目)山形県羽前大山駅

「植民地ネズミと楽園ネズミ」のモルヒネ実験

投稿日:2023年05月27日(土)
◆「植民地ネズミと楽園ネズミ」のラットパーク実験をご存知か。

◆約40年前、サイモン・フレーザー大学のブルース・アレクサンダー博士が行った「薬物の依存症の実験」のことである。

◆雌雄32匹のネズミを用意し、それらを居住環境の異なる2つのグループにふり分けることから始める。

◆Aは、1匹ずつ狭い檻の中に閉じこめる。(「植民地ネズミ」)他のネズミといっさい交流できない。

◆Bは、16匹雌雄一緒に広々とした場所に入れる(「楽園ネズミ」)。仲間と自由に遊んだり、じゃれあったりすることができる。広場の所々に遊具などが置かれ、清潔な環境だ。

◆初めの実験は、これら2つのグループのネズミに対し、ふつうの水と甘くしたモルヒネ入りの水を与えた。その方法は、ネズミがレバーを押すと、つり下げられたボトルから、それぞれの液体がポタポタとネズミの口の中に滴るしかけとなっている。

◆実験期間は57日間。どちらのネズミのほうがよりたくさんのモルヒネ水を消費するのかを調べる、という実験をしたのだ。

◆結果は恐ろしいものだった。

◆「植民地ネズミA」の多くが、檻の中で頻繁かつ大量のモルヒネ水を摂取しては、日がな一日酩酊していたという。更に、苦いまずいモルヒネ水に替えてみても、それでも、「植民地ネズミ」はそれを求め続けたのだ。まさに薬物中毒だ。

◆楽園ネズミは、最初だけ少しモルヒネ水を試したものの、すぐに見向きもしなくなった
「楽園ネズミB」の多くが、仲間との交流を優先したのだ。飲んだとしても、「植民地ネズミ」の20分の1程度の少量だったという。

◆植民地ネズミと楽園ネズミ。言えることは孤立やストレスの影響が薬物依存の原因だということだ。

◆追加の実験も行われた。

◆長期間、モルヒネ漬けにされて薬物依存症になった植民地ネズミを、さらに2つのグループに分けた。

◆Cグループは、ある時点からネズミがレバーを押しても、まったくモルヒネ水が滴らないようにする。
◆Dグループは、楽園ネズミ達のいる広場へと移す(こちらではまだモルヒネ水を飲むことができる)

◆驚くべき結果になった。

◆Cグループのネズミは、離脱症状に全身を震わせ、半狂乱になって何千回もレバーをくりかえし押し続けた。そしてとうとう最後は、疲れ切り、絶望とあきらめの中で、ぐったりと身を横たえ、動くのをやめた。

◆Dグループは、仲間達とじゃれあい、交流を始めたばかりか、楽園ネズミのまねをしてふつうの水だけを飲み始めた。最初の2日間ほど、足を軽く痙攣させるなどの離脱症状を起こしたが、それでもモルヒネ水に手を出すことはなく、3日目以降には、完全に元気な姿で仲間との交流を楽しむようになったというのだ。

◆瀬戸内寂聴さんは若者から「孤独だ」と相談されると「あなたはひとりじゃない」と諭され、励まされる。いじめがひどかったら転校しなさいという。まさに、人とのつながりを信じることのできる環境を優先しなさいということなのだろう。

◆依存症は薬物依存だけではない。たとえば、ゲームをやめられないゲーム依存、SNS依存もあるし人への依存と様々ある。原因は「植民地化」。

参考文献
特集2 大切なのはConnection(つながり)地域精神保健福祉機構・コンボ 
読売新聞 2022年2月15日
「楽園ネズミと植民地ネズミ」の実験でわかった 依存症が生まれる環境

◆いつもニコニコ、一筆啓上付箋写経。
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耕田院(山形県)

すてき

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