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耕田院の日常(261回目)山形県羽前大山駅

「始末」

投稿日:2023年04月29日(土)
◆生まれた家には、もう住むものがいないからきれいさっぱり更地にする。「いらないものを処分する」ような時に「始末」ということばを使う。あるいは、必殺シリーズの中村主水の「仕掛け」である。

◆本来の始末という言葉はもう少し深い意味を持つ言葉である。

◆半兵衛麩11代目当主 玉置辰二さんの話に「始末」がある。

幼い頃父と一緒に行った近所の風呂屋で、こんな話をしてもらったことがありました。

「新しい手縫いで顔を洗ったら気持ちえぇやろ。
でも汚れて薄くなったからといって、すぐに捨てたらあかん。」

「折りたたんで縫えば雑巾になる。」

「その雑巾がボロボロになったら、機械の油吹きにすればいい」。

「その油ふきは火にくべるとよく燃えるから、風呂を炊くときに使えばいい。」

「そこまで使い切ってやっとお終いや。だから新品をおろす時には、ほんまに今それをおろさんとあかんのかをよく考えなさい。」

「新品をおろす時が始まり」で、捨てる時が終わり(まつ)だから始末と言うんや。
この始末をしっかりするしないかで大きな違いが出てくる。」

◆このときは洗い場の曇った鏡に指で書き、「始末」を通して商いのこころ教えてくれたという。

◆この店に残る家訓は「荀子」の「先義後利」というのだそうだ。その意味は「義」は人としての正しい道を指し、商人としては正しい商人の道ということ。そして、「利益を上げない商人は商人にあらず」、商人は人さまのお役に立つことによって利益を得なさいと教えている。

◆昔から「先義後利」の近江商人の矜持に三方によしという言葉がある。「売り手によし」「買いに手よし 」「世間によし」である。

『商売は菩薩の業(行)、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの』とされる。

◆さて、この近江商人の「三方によし」から「六方によし」という言葉が生まれたそうだ。

◆「世の不足をうずめ」が三つに分けられている。それは、「地球によし」「未来によし」「作り手によし」。地球の資源を大切にする。未来に負担をかけない。サプライチェーン上の作り手、材料、世界中とのつながりの六方によしだ。まさに、仏の心にかなう菩薩行がそこにある。「六方によし」とは「SDGs」そのものなのだ。それが、近江商人の系譜が今につながる矜持だ。

◆瀬戸内寂聴さんも次のように説いている。

お子さんに「何のために生きるの?」
と聞かれたら、

「誰かを幸せにするために生きるのよ」
と答えてあげて下さい。

◆「誰かを幸せにするために生きるのよ」と子どもに伝えられる親でありジジイでありたい。
家族のためだけと答えるだけではなく、世のため、人のため、みんなのためと答えられるように…。
耕田院(山形県)

すてき

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