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耕田院の日常(225回目)山形県羽前大山駅

明日の常識は昨日までの非常識かも

投稿日:2023年03月22日(水)
◆いくら未来のこととはいえ、「走りながらの電気自動車の充電」と聞いて耳を疑った。

◆たとえば、最近CMでジェット機と競争しているEV車リーフは急速充電で80%にするのに、充電設備のあるところで40分はかかる。自宅ならば、まる1日というところか。走りながら充電できれば、待ち時間は不要になるのだ。

◆しかし、送電線の下を走る路面電車方式では、決まった道しか走れないし、いったい、どのような仕組みなのだろうと思った。

◆この話は、地元の新聞にあった。 (山形新聞 3月10日)

◆山形大工学部などの研究グループが、一定の温度以下になると電気抵抗がゼロになる「超電導」の酸化物のアンテナを使って、「無線」での送電に成功したとの記事があったのだ。

◆「無線」での送電とはどういうことだろう。

◆まず、この研究は超電導の原理を応用している。超電導とはリニアモーターカーの原理でもある。その原理を応用して、電気を「送信する」アンテナを作ったということらしい。

◆その送信アンテナは、ガドリニウム、バリウム、銅の酸化物でできている。そのアンテナをマイナス223度まで下げて超電導の状態にし、マイクロ波の送電をしたというのだ。ちなみに、マイクロ波とは電子レンジで使われているものである。

◆実験の結果は、6.9ワット分のマイクロ波を入力し、17.6センチ離れた受信アンテナに送ったところ、発光ダイオード(LED)を3秒点灯させることができた。ただし発光ダイオード3秒点灯とはごく微量の電力である。しかし、わずかであるが、電力を無線で送り、受信することに成功したのだ。

◆この実験から言えることは、電力をマイクロ波にして電気を飛ばして送れるということだ。

◆その意味は大きい。電気コードや電池がなければ電気がつかないという常識がひとつ崩れたということなのだから。

※ 「置くだけ充電もコードはないではないか」といわれそうだが仕組みが違う。置くだけ充電は、ワイヤレス充電器に送電用コイルが内蔵されていて、電流を流すことで磁界を発生させる。その「磁界の中にスマートフォンを置くこと」でスマートフォン内部の受電用コイルが反応し、磁力を電力に変換する(電磁誘導)というものである。だから、山形大学の電波を飛ばしての充電とは異なる方法なのだ。

※ 10ワットとはスマホの充電器。1時間0.31円の電力量。

◆さて、超伝導による送電を主導したのは、山形大大学院理工学研究科の斉藤敦教授(51)(情報・エレクトロニクス研究室)だ。富士電機(東京)と共同で2018年から研究に取り組んでいるそうだ。超伝導は、電気抵抗によるロスがないため、従来の技術より多くの電力を遠くまで送ることができる可能性があるという。

◆この夢の「超伝導の送電」が私たちに教えてくれるのは、「常識は崩れる」ということだ。常識はあくまでも、今、常識なのだ。だから、電気が電線を流れるのだという常識でさえ、常識のままということはないのだ。

◆織田信長が長篠の戦いで、それまでの常識で最強だった武田の騎馬隊を鉄砲で壊滅させたように、Appleの創始者スティーブ・ジョブスのスマホのように、あるいは、二刀流の大谷翔平のように一つひとつ常識が崩されて、新しい世の中になっていくということなのだ。

◆明日の常識は昨日までの非常識かもしれないのだ。

「深呼吸と一筆付箋写経」心を清々しく保つための術として。今日も一日オンニコニコで。
耕田院(山形県)

すてき

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