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耕田院の日常(214回目)山形県羽前大山駅

コーヒーの可否

投稿日:2023年03月11日(土)
◆今朝の輪橋山徒然話は「コーヒーは珈琲と書くが、可否という当て字もあるそうだ」について考える。

◆一番初めに覚えた流行歌は「ブルコメ?」。それとも「キンピラ?」。どっちだったろう。
「ブルーシャトー」は替え歌だった。

森 とんかつ 
泉 ニンニク 
か こんにゃく 
まれ てんぷら
静かに眠 ルンぺん
ブルーブルーシャトゥ

◆ピンキーとキラーズの「恋の季節」。

 夜明けのコーヒー
二人で飲もうと
 あの人がいった
 恋の季節よ
 
◆私も毎朝、夜明けのコーヒーが欠かせない。ドリップコーヒーは朝食後にして、インスタントのカフェオレにしているが…。

◆昨日のリール「運命」のベートーベンには、エピソードは多い。たとえば、音が聞こえないので、鍵盤を押すと連動したハンマーが弦を叩いて音を出すというピアノの仕組みを利用し、口にくわえたタクトをピアノに接触させて歯で振動を感じ取り、以前の記憶と知識を総動員して音符に変換させ、作曲していたとか。つまり、ベートーベンにとって振動そのものが音なのだ。

◆そんな「神」のような作曲家の別の一面を伝えるエピソードがある。私は、このエピソードが人間味たっぷりで好きだ。それは、「夜明けのコーヒー」ではなく、「朝」の一杯のコーヒーのいれ方だ。

◆コーヒー好きのベートーベンのこだわりはすごかったようだ。毎朝コーヒーをいれる時にきっちりと60粒になるようにコーヒー豆粒を選別し、数える。何度も確認し、60粒きっかりにしていれていたそうだ。60粒は10g前後であり、ちょうどコーヒーを抽出するにはちょうどよい量だ。そのコーヒーを儀式のように毎朝いれて、1杯だけ飲んだそうだ。たぶん、音楽室の肖像画のような真面目な顔をしてやるのが日課だったのだ。そう思うと微笑ましい。

◆ほぼ同時代に生き、「暗殺とは、ロシアでもっともよく用られる免職方法である」というドキッとする名言も残しているフランスの政治家タレーランも無類のコーヒー好きだった。「会議は踊る」のタレーランである。彼は、「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして愛のように甘い 汝の名は珈琲(可否)」という言葉を残している。

◆珈琲という漢字の意味は、「珈」「琲」もかんざしの玉飾りのような形を示しているのだが、(写真で見ると明らかなのだが)コーヒーの実のつき方が語源のようだ。しかし、タレーランの言うように、悪魔と地獄、天使と愛、その相反する性質を表す「可否」という当て字が、よりコーヒーの本質をついているようにも思う。

◆つまり、「可否」(かひ)とはコーヒーの健康への評価を暗示している。「可否」の意味は、よいか悪いか、よしあしという意味だから、飲んでもいいのか控えた方がいいのかということだ。

◆実際ネットには「1日4杯以上飲む55歳未満は飲まない人に比べて死亡率が高い」とあったり、「コーヒーを毎日飲む人は肝臓がんにかかりにくく、飲まない人に比べて発病率は約半分だ」という情報までさまざまである。

◆昔から、その効用と副作用はずっと熱く語られてきたようだ。次のような話もある。北欧のある国の王様は 二人の囚人にコーヒーと紅茶を飲ませて、どっちが早く死ぬか試したというのだ。さて、結果は二人ともピンピンしていて、どうやらこの実験を企てた王様が一番早く亡くなったということなのだが。

◆天使のようで悪魔。この二面性が「可否」の一つの魅力なのかもしれない。
耕田院(山形県)

すてき

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