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耕田院の日常(200回目)山形県羽前大山駅

「母と普賢菩薩」と「父と子と辻仁成さん」

投稿日:2023年02月25日(土)
今日の輪橋山徒然話は、野見山朱鳥の句に見る「母と普賢菩薩」と「父と子と辻仁成さん」だ。

母と子

亡き母と普賢と見をる冬の空
◆作者の野見山朱鳥(のみやまあすか)はいつも病気がちで、人生の三分の一は病床にあったという。この句は、その野見山朱鳥の辞世の句である。いよいよ死を前にして、静かに見上げるのは母と普賢菩薩である。この世と別れの刻に登場したのは母と普賢菩薩だ。

◆さて、普賢菩薩であるが、お釈迦さまの慈悲行を象徴する仏として、智恵を受けもつ文殊菩薩とともに、お釈迦さまの右手におられる。白い象に乗られて、衆生の救済をする。普賢菩薩のご利益は、「延命」。まだ、まだ、この世になすべきことが残っていての俳人「延命」への願いだ。このとき、野見山朱鳥は52歳の2月のことだ。

◆そして、いよいよ絶命の寸前、「彼岸」、彼の岸へ渡る時、すでにおくった大切な人たちがお迎えにくるという。人はこの世に一人で生まれ、一人で去る。「母」に見守られ、この世生まれ、迎えるのは「母」である。もしも、この世を閉じるときも、そこに母がいることもよく理解できる。子と母の関係は「生」そのものなのだ。

父と子の「冴え返る」関係

 父と子は母と子よりも冴え返る    野見山朱鳥
       
◆一方父と子の句もある。

◆この句には『新歳時記・春』(1989・河出文庫)に所載。清水哲男さんの次のような解説があった。

季語は「冴(さ)え返る(冴返る)」で春。暖かくなりかけて、また寒さがぶり返すこと。早春には寒暖の日が交互につづいて、だんだんと春らしくなってくる。(略)この自然現象に対する感覚を、人間関係に見て取ったところが面白い。

◆そして、清水哲男さんはこう続ける。

なるほど「母と子」の関係は、お互いに親しさを意識するまでもない温かい関係であり、そこへいくと「父と子」には親しさの中にも完全には溶け合えないどこか緊張した関係がある。とりわけて、昔の父と子の関係には「冴え返る」雰囲気が濃かった。(略) ふざけあう父子の姿などは、見たこともない。

◆厳しい家長制度がしかれていた頃では考えられないのは、現代の「パパ像」ではあるが、それでも、どの子も思春期に入れば、どこの家族であっても「完全には溶け合えないどこか緊張した関係」が見られるようになるのだろう。時には、「男」と「男」。「雄」と「雄」越えるべき高い壁として、あるいは人生のモデルとしての大事な役割が「父親」にはあるのだろう。

◆そのヒントになりそうなのが、辻仁成さんの「息子へ十か条」だ。

「辻仁成の息子へ十か条」に学ぶ

◆昨日、今日のリールであるは、辻仁成さんの「息子へ十か条」を取り上げている。奥さんと別れて、息子さんを男手一つで育てる中での十か条だ。

◆令和の時代になり「父親の育児休」の導入が加速度的に進めようとしている。ひょっとしたら、この時代は、父と子の新しい関係の始まりなのかもしれない。そんなことを考えていた時、「作家でありミュージシャンであり父ちゃんである辻仁成さんによるさまざまな10か条」と題された「辻仁成の十か条」というページを見つけた。

◆その中に「息子へ」というカテゴリーがあった。

息子よ。前向きに生きる10の方法教えたる。
息子よ。幸せを知る10ヶ条教えたる。
息子よ。注意すべき友だち10のパターン教えたる。
息子よ。君が苦しくなる十の理由→リール
                    等など
                https://togetter.com/li/1240108

◆「子どもに教えるべき事」「子どもとの距離感」ヒントになると思う。一つひとつときまりやルールを作るのではなく、大きなところ・人として大事にしたい事を、理屈抜きで押さえ、繰り返し教えていくことも必要なのだと思った。是非参考にして頂きたい。

輪橋山徒然話  https://bit.ly/3HTbgcy  一筆付箋写経のすすめ
耕田院(山形県)

すてき

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