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耕田院の日常(171回目)山形県羽前大山駅

冬越しの知恵

投稿日:2023年01月22日(日)
◆雪は全てを覆い隠す。いや、覆い隠してくれる。しかし、雪のない今年はそうはいかない。だから、明日は手に余っているクズや蔦の根元を探ったり、ススキの株を小さくしたりしてみようかと思っている。

◆お寺のあちらこちら草刈りの機を使うようなエリアがある。そのままほったらかしておくと、全てに、雑草がはびこり、場合によっては人の姿さえも隠すようになる。本当に、このあたりは「いつの間にか人の姿さへ 見失ふほど」の高さになってしまう。それが嫌で、戦いを挑むように月に1.2度機械をいれてきた。

◆雑草は勢力を広げるのが仕事で、それをいつも管理していくのが私の作務と心得ていたが、今年は雑草との共生を考え、もう少しスマートにやってみようと思っている。

◆そう思わせてくれたのは、園芸家の曳地トシさんのお話だ。曳地トシさんは言う。短く刈れば狩るほど草が反発すると。(「〜するほど反発」は今まで生きてきて何度も経験したことではないか。自然も人も、所詮そういうものなのであることを思い出した。)

◆それをふまえた曳地トシさんの雑草管理の提案は、「5㎝の高さに刈り揃える」ということだ。その考え方は説得力がある。5㎝の高さとは雑草が適度に光合成を行えて、慌てて上に伸びなくてもいいくらいの高さなのだ。逆に、私のように常に短く刈り揃えれば揃えるほど、根は深く張り、刈り込みの回数は増えていく。5㎝で刈れば人間も楽できるのだ。

◆さて、冬、雑草が全て枯れてしまっているのかと言えばそうではない。

◆まず、シールのように張り付いている星形がある。冬を越して春から成長する越年草だ。例えばタンポポなどのキク科植物やキャベツなどのアブラナ科の植物。これらの植物は葉(根生葉)が平面的に放射状・円盤状に広がった様子で冬を越す。このシールのような形状はロゼットと呼ばれる。ロゼットとは本来は八重咲バラの花の形を現す言葉だそうだ。

◆こうしたロゼットをつくる植物は、一生を通じて常に茎が短いわけでない。春になれば当然個体が成熟し、茎を長く伸ばし、その先に花をつけるのだ。そして、ロゼットの下に真っ直ぐに伸びる根は実にたくましい。

◆最近天気のよい日の作務は、「30㎝ほどもある巨大なピンセット」でロゼットを探して抜いていくことだ。根は、地表深く根を張っている。その真ん中に、ピンセットを差し入れて、てこの原理で抜いていく。

◆そして、春といえば土筆(つくし)である。そして土筆が出てきた後から、どんどんスギナが伸びてくる。スギナも多年草であり、始末が悪いことに除草剤に滅法強い。耐寒性の多年生草で、根は深く張っている。枯れかけた栄養茎は地下茎とつながっていて、つけ根には春に出る栄養茎の芽がすでに見える。この根は深さ2m。横に広がると10 mなどということもあるそうだ。スギナは枯れてなどいないのだ。地下茎で冬を越している。土筆が春1番に出てくる準備はもう出来上がっているのだ。

◆葉をシールのように地面に貼り付けたり、新芽を根につけて冬をやり過ごしたり、植物の冬越しの知恵は力強いと思った。
耕田院(山形県)

すてき

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