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耕田院の日常(142回目)山形県羽前大山駅

全員が認知症の村

投稿日:2022年12月23日(金)
◆山形新聞12月14日の朝刊に「安らぎ覚え 最後の旅路・フランス 全員が認知症の村」という記事があった。

◆その村は、フランスの南西部の町ダクスにある。ここは温泉療養地。その郊外に2020年に開設されたのが「アルツファイマー患者の村」だ。患者の数は1200人、介護士・医師・研究者・ボランティアなどのスタップ200人で運営されている。5haの敷地に、5棟の施設。施設の中には、患者の居室・食料品店・理髪店・カフェ・音楽ホール・図書室・農園や公園もある。

◆この村は、認知症患者の最適な生活環境を探求し、今後の介護や医療に役立てる目的ももっている。そのため、経費の半分以上は公費で賄われている。それでも、入居者の負担はフランスの平均値・月2000ユーロ、日本円で20万円だ。

◆記事では、この病を得た人々に共通する「マイナスの感情」があるとレポートしている。その感情は、「不安」や「恐怖」だ。ひっくりかえせば、「不安」や「恐怖」を取り除けば患者の「安心」につながる。患者は、いったい「何を恐れ」「何に安らぎ」を覚えるのだろうか。

◆たとえば、一部の村民の居室の鏡は紙の装飾で覆われている。それはなぜであろうか。その理由は、鏡に映った自分を見て、「知らない人がいる」とおそれるからなのだ。そのために鏡を隠すのだ。また、「自らに課せられた義務」にも「不安」を持つのだそうだ。だから、起床・就寝・入浴などの様々なきまりを定めない。原則として金銭のやり取りもない。

◆また「安心」させるために、もう一つ大事なのは「孤立させない」ということ。だから「寄り添い、親身になり、好意を示す」のが秘訣だという。村人の多くはここで一生を終える。「この村が余命の延長に寄与しているかはわからない。しかし、重要なのは余命ではなく、生活の質だ」と広報担当のマルチド・シャロン・ビュルネルさんは語る。

◆この記事では、認知症の不思議さも語っている。直近のことは忘れても身体に残る記憶があるという。それは、「感傷的記憶」。「意識された記憶」とは区別している。「感傷的記憶」とは、子どもの頃に覚えた歌やことわざ。きっかけがあれば、自然に出てくる。ピアノ演奏も同様だ。

◆言葉もそうだ。英国生まれの男性は、20代でフランスの女性と結婚し、以後フランス語を話していたが、認知症が進むと彼はフランス語を徐々に忘れ、幼少期に覚えた英語に回帰したそうだ。(最近、ますます方言ばかりお使いになるあの方は…?)

◆この村の手本となったオランダの “Hogewey”(ホグウェイ)は、閉鎖的だと言われるが、「ダクス・アルツファイマー患者の村」はボランティアの活動が盛んだ。図書館が一般住民にも開放されて、交流の場となっているそうだ。ボランティアが付き添い、村人が希望すれば、町の映画館やラグビー観戦にも出かけることができるという。

◆記者が訪れた日、「ダクス・アルツファイマー患者の村」の合唱集いで選ばれた曲は、シャンソンの名曲「ばら色の人生」だという。

あの人が私を腕に抱くとき
私にそっとささやくとき
人生はバラ色に見える
あの人は私に愛の言葉を告げる
日々繰り返される言葉を
それが私の心を動かす
私の心の中に入り込む

越路吹雪さんの動画があった。「ダクス・アルツファイマー患者の村」の合唱が目に浮かぶ。

◆金沢大学附属病院では、2016年に身体抑制をとりやめ、丁寧なケアの充実を宣言した。

◆「ばら色の人生」を合唱する村の認知症患者はとにかく穏やかで、暴言・暴力とは程遠い療養生活を送っているように感じる。介護側の押し付けたケアではなく、患者側の意思を理解し、尊重した自然なケアができあがっているのだ。人間は、もともと「制限・押しつけ」に対して「反発」し、「逆らう」行動をとる生き物である。介護の現場にも「心理的リアクタンス」というバイアスがあるのかもしれない。「リアクタンス」という性を持つ生き物なのである。ここを押さえておかないと、うまくいくものもうまくいかない。

◆今朝もさいごは「心理的リアクタンス」というバイアスだ。オンニコニコハラタテマイゾヤソワカの輪橋山徒然話でした。

◆ブログ開設しました。覗いてください。https://kodein-blog.com
耕田院(山形県)

すてき

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