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耕田院の日常(109回目)山形県羽前大山駅

「雪迎え」は降雪の前ぶれ

投稿日:2022年11月17日(木)
◆11月第2週の土曜日は、農村部に出かけての年に一度の托鉢だ。例年は、時雨混じりの天候に悩まされるのだが、見事に晴れた小春日和の1日だった。

◆ありがたい天気の庄内平野の情景を表現しているようなエッセーを見つけた。

晩秋の快晴無風の日、澄んだ青空を、白い細い糸、または白い小さい固まりがひっきりなしに流れてゆく。土地の人々は、それを仰いで「ああ、雪迎えが飛ぶ。雪が近いぞ」とつぶやいては、冬への仕度を急ぐ。「雪迎え」は降雪の前ぶれなのである。   略

◆エッセイストである錦三郎さんの文である。

◆「雪迎え」と呼ばれる「白い細い糸」とはなんであろうか。答えは「蜘蛛の糸」なのである。

◆我々の托鉢の黒衣に知らないうちに何本も白い糸が付いている。「雪迎え」だ。よほど蜘蛛が飛ぶには丁度よい日和らしい。青空にキラキラ流れる蜘蛛の集団移動なのだ。

◆「檸檬」の梶井基次郎は、この「雪迎え」の様子を、糸を伸ばして空を飛ぶ「天女」に例えている。

白く輝いた蜘蛛の糸が弓形に膨らんで幾条も幾条も流れてゆく。(その糸の上には、なんという小さな天女!蜘蛛が乗っているのである。彼らはそうして自分らの身体を溪のこちら岸からあちら岸へ運ぶものらしい。)   「冬の蝿」(1928)

◆さて、蜘蛛はどのような方法で飛ぶのだろうか。

◆蜘蛛は糸を天空に向かって吐くのだ。体長数ミリの小さなくも(コモリグモ科)が、「かや」「枯れ稲」の先で「尻を天に向けて」糸を出すと、やがて糸が切れ、蜘蛛は上昇気流にのって舞い上がる。動画で見るとスカイダイビングの飛行機から飛び出す寸前のような迫力だ。(To Demonstrate How Spiders Fly)

◆この「雪迎え」の蜘蛛はいったいどこまで飛んでいくのだろう。本当に天まで昇るのだろうか。

◆驚くことに、蜘蛛は上昇気流に乗って大空を飛行しかなり遠くまでいくことができるそうだ。中にはジェット気流に乗って太平洋を横断することもあるという。百尺竿頭(ひゃくしゃくかんとう)を、もう一歩を進む「蜘蛛」は太平洋も超えるのである。

◆そして、こんな話がある。「雪迎え」の飛ぶ小春日和の日には、北極では盛んに寒気を蓄積しているそうだ。その寒気が、やがて日本列島に南下してきて大雪を降らせるという。今年も随分と秋晴れが続いたのだから、この話が正しければ、日本列島今年も随分な大雪の年ということになる。ご用心・ご用心。
耕田院(山形県)

すてき

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