耕田院の日常(86回目)|山形県羽前大山駅
御朱印・神社お寺の検索サイト楽しみ方
投稿日:2022年10月24日(月)
◆今日は、詩を取り上げた。草野心平さんの「秋の夜の会話」である。
秋の夜の会話 草野心平
さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ土の中だね
土の中はいやだね
痩(やせ)せたね
君もずいぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね
腹とったら死ぬだろうね
死にたくはないね
さむいね
ああ虫がないてるね
◆さて、「もうすぐ土の中だね」「土の中はいやだね」と話すこの動物たちは、誰かお分かりだろうか。
◆答えは「蛙」である。作者の草野心平さんは「ケルルンクックの蛙詩人」であり、「死んだら死んだで生きていくさ」の言葉も有名な詩人だ。
◆蛙は、変温動物なので寒さに弱い。周りの環境に合わせて体温を作り出し、寒さに耐える力の備わった我々恒温動物とは違う。彼らの寿命は3年とか5年とか。もっと長生きする蛙もいるらしい。
◆本日の気温は例年より少し低い気温17度ぐらいだ。田んぼでは白鳥が落穂を食べている。20羽くらいのグループがいくつもみられる。もうそろそろ冬なのだろうか。
◆そんな午前中、お墓で供養をした。最近流行りのお線香やお燈明を備える場所に扉がついているお墓である。その扉をあけると、お墓の色と同化した二匹の雨蛙がいた。奥の隅っこのところに体を埋めていた。
◆きっとこのお墓の二匹の蛙も夜になると、「さむいね」には「ああさむいね」と返し、「虫がないてるね」には「ああ虫がないてるね」と答え、そして、「もうすぐ土の中だね」には、「土の中はいやだね」と返しているのだろうか。この絶妙なやりとりのあと、二匹は冬眠に入る。二匹の蛙は知っている。一度冬眠に入ったら、もう一度目覚めることができるとは限らないことを。
◆さて、私は、この詩の素晴らしさは、命をかけた大手術を控えた男たちの会話にも聞こえるところであると思っている。
痩(やせ)せたね
君もずいぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね
腹とったら死ぬだろうね
死にたくはないね
◆手術室に入り、麻酔が効いたら、あとはどうなるかはわからない怖さ。逃げ出すことのできない現実。全てを受け入れて、淡々としている。草野心平さんは、その切なさを虚しさもたったの14行で切り取っているかのようだ。
◆この詩のテーマは、自然の厳しさ、そこに生きるしかない命の儚さだ。そして、それを受け入れ、身を処していく命の尊さ、強さである。
◆だからこそ、全てリセットされた「生まれ変わりの春」の喜びが格別なのである。
春のうた 草野心平
かえるは冬にあいだは土の中にいて 春になると地上に出てきます。
そのはじめての日のうた。
ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。
みずは つるつる。
かぜは そよそよ。
ケルルン クック。
ああいいにおいだ。
ケルルン クック。
ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。
ケルルン クック。
ケルルン クック。
◉今朝も最後まで読んでいただいてありがとうございます。あなたの朝のこころにアプローチ。心は大山の如しの「ああなあさここ」でした。
秋の夜の会話 草野心平
さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ土の中だね
土の中はいやだね
痩(やせ)せたね
君もずいぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね
腹とったら死ぬだろうね
死にたくはないね
さむいね
ああ虫がないてるね
◆さて、「もうすぐ土の中だね」「土の中はいやだね」と話すこの動物たちは、誰かお分かりだろうか。
◆答えは「蛙」である。作者の草野心平さんは「ケルルンクックの蛙詩人」であり、「死んだら死んだで生きていくさ」の言葉も有名な詩人だ。
◆蛙は、変温動物なので寒さに弱い。周りの環境に合わせて体温を作り出し、寒さに耐える力の備わった我々恒温動物とは違う。彼らの寿命は3年とか5年とか。もっと長生きする蛙もいるらしい。
◆本日の気温は例年より少し低い気温17度ぐらいだ。田んぼでは白鳥が落穂を食べている。20羽くらいのグループがいくつもみられる。もうそろそろ冬なのだろうか。
◆そんな午前中、お墓で供養をした。最近流行りのお線香やお燈明を備える場所に扉がついているお墓である。その扉をあけると、お墓の色と同化した二匹の雨蛙がいた。奥の隅っこのところに体を埋めていた。
◆きっとこのお墓の二匹の蛙も夜になると、「さむいね」には「ああさむいね」と返し、「虫がないてるね」には「ああ虫がないてるね」と答え、そして、「もうすぐ土の中だね」には、「土の中はいやだね」と返しているのだろうか。この絶妙なやりとりのあと、二匹は冬眠に入る。二匹の蛙は知っている。一度冬眠に入ったら、もう一度目覚めることができるとは限らないことを。
◆さて、私は、この詩の素晴らしさは、命をかけた大手術を控えた男たちの会話にも聞こえるところであると思っている。
痩(やせ)せたね
君もずいぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね
腹とったら死ぬだろうね
死にたくはないね
◆手術室に入り、麻酔が効いたら、あとはどうなるかはわからない怖さ。逃げ出すことのできない現実。全てを受け入れて、淡々としている。草野心平さんは、その切なさを虚しさもたったの14行で切り取っているかのようだ。
◆この詩のテーマは、自然の厳しさ、そこに生きるしかない命の儚さだ。そして、それを受け入れ、身を処していく命の尊さ、強さである。
◆だからこそ、全てリセットされた「生まれ変わりの春」の喜びが格別なのである。
春のうた 草野心平
かえるは冬にあいだは土の中にいて 春になると地上に出てきます。
そのはじめての日のうた。
ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。
みずは つるつる。
かぜは そよそよ。
ケルルン クック。
ああいいにおいだ。
ケルルン クック。
ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。
ケルルン クック。
ケルルン クック。
◉今朝も最後まで読んでいただいてありがとうございます。あなたの朝のこころにアプローチ。心は大山の如しの「ああなあさここ」でした。
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