ひらかわてんまんぐう
平河天満宮のお参りの記録一覧(5ページ目)
『鳥居クグルの神社日記』【天才少年登場】の巻
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都内、某所。
いやぁ、【神社探訪】プロデューサーの吉田さんから呼び出されるなんて緊張するなぁ..
僕、あの業界ノリが苦手なんだよなぁ..
あ、来た!
「おはようございます、吉田さん」
「おはよう、鳥居ちゃん。どう最近は?」
「あ、はい。ジャギーさんと勉強させて戴いてます」
「あぁ..そう。ジャギーねぇ..
ねえ?鳥居ちゃん。そのジャギーの『神社探訪』シリーズの数字が下がってるの知ってる?」
「え?数字というのは『すてき』の数の事ですか?」
「そうそう。
ハッキリ言って、もうジャギーじゃ、数字が取れないんだよね..」
「....そうですか」
「それでね、鳥居ちゃん。
今日来てもらったのはさ、そのジャギーをビークーにしようかって話なのよ」
「え?ビークーって、クビって事ですか?」
「そう。ジャギーと山下のオヤジをまとめてお払い箱にして、経費を削減しようかって話になってんのよ、今」
「...そんな...じゃあ、これから僕だけで神社探訪するんですか?」
「いや、ジャギーに変わって、もっと広い層にアピール出来そうな新人の子を用意してるからさ」
「新人の子...ですか」
「そう。次の神社探訪はジャギーの代わりにその子と行って欲しいんだわ」
「....そうなんですか」
「そう!鳥居ちゃん、天才神社少年だよ!」
「天才神社少年..」
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いやぁ、参ったなぁ..
天才神社少年なんて..
うまくやれるかなぁ...
あ、あの子かな?おかっぱ頭の男の子って..
「おはようございます!
鳥居クグルお兄さんですか?」
「あ、はい」
「ボク、新人の神社田ココロです。
どうぞよろしくお願いします!」
「あ、よろしくお願いします..
鳥居クグルです...え?神社田ココロ君?」
「はい!神社田ココロです」
「あの..寺田じゃないの?」
「え?どういう意味ですか?クグルお兄さん」
「あ、いや、別に..
じゃあ、今日はよろしくね」
「はい!お勉強させていただきます、クグルお兄さん!」
「あ、はい..
じゃあ、早速お参りしようか」
「はい!楽しみです!
たくさんお勉強させていただきます!
クグルお兄さんは、もちろん知ってると思いますけど、江戸平河城主、太田道灌公が、菅原道真公の霊夢を見て、文明十年城内に天満宮を建立したんですよね?」
「...あ、は、は、はい...たぶん」
「そしてその後、徳川家康公が築城のため本社を平河門外に奉遷し、慶長十二年二代将軍秀忠公により、現在の地に奉遷され、こちらの地名が本社に因み平河町と名付けられたんですよね?」
「あ、は、はい.....ですかね」
「じゃあ、クグルお兄さん、早速お邪魔しましょう!」
「あ、はい」
「では、失礼いたします!神社田ココロです」
「あ、名前まで..
失礼します。鳥居クグルです」
「クグルお兄さん!
とっても素敵な雰囲気ですね!」
「そ、そうね」
「クグルお兄さん!こちら、1923(大正12)年の関東大震災、1945(昭和20)年の戦災ではほとんどの施設を焼失しているんですよね?」
「...あ、は、はい、ですかね」
「そして、戦後仮社殿にて祭祀を執り行っていたんですが、1969(昭和44)年に本殿が再建されたんですよね?」
「あ、はい、たぶん」
「クグルお兄さん!こちらの石牛は、浄瑠璃常盤津節の岸沢右和佐の麹町の門弟らによって奉納されたもので、奉納された嘉永五年(一八五二)は、祭神である菅原道真公の九百五十年忌にあたっているんですよね?」
「あ、は、はい」
「じゃあ、クグルお兄さん!
手水舎で浄めましょう」
「あ、はい」
「あれぇ、水がでませんねぇ」
「あ、ココロ君。
この時期だから多いよね、水が出てない手水舎」
「へえ!そうなんですね!知りませんでした!
クグルお兄さんは何でも知ってますね!さすがです!」
「あ、はい..
じゃあ、ご挨拶しようか」
「はい!」
「クグルお兄さん!この狛犬さん、凄い迫力ですね!」
「ホントだね!」
「クグルお兄さん!こちらは獅子ですね!」
「へえ!そうなんだ!それは珍しいな」
「クグルお兄さん!
心を込めてご挨拶しましょう!」
「あ、はい..そうしよう」
「初めまして、神社田ココロです!
本日はお招きいただき、ありがとうございます!」
「..鳥居クグルです。本日は有り難うございます」
「クグルお兄さん!
とっても気持ちのいい神社ですね!」
「あ、それは間違いないね!」
「クグルお兄さん!こちらにもご挨拶しましょう」
「そうだね」
「神社田ココロです!
本日はお招きいただき、ありがとうございます!」
「鳥居クグルです。本日は有り難うございます」
「クグルお兄さん、筆塚ですね!」
「ホントだね。筆の為の塚なのかな?」
「おそらく、筆を供養するための塚じゃないでしょうかね」
「あ、そうなんだ..」
「クグルお兄さん!
こっちは力石です!」
「昔の人が力比べしたんだね」
「さすがクグルお兄さん!
何でも知ってますね!」
「..はい」
「クグルお兄さん!ボク、菅原道真公のお力で頭が良くなった気がします!」
「あ、良かったね。お参りした甲斐があったね」
「はい!クグルお兄さん、ありがとうございます!」
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翌日。
『もしもし、鳥居ちゃん?』
「あ、吉田さん、おはようございます」
『ココロ君、どうだった?天才でしょ?あの子』
「あ....はい」
『じゃあ、ジャギーと山下のオヤジにビークー宣告していいかな?もういいでしょ、あの二人には引導渡してさ。みんな飽き飽きしてるもんね』
「え?
いやぁ..スゴくいい子でしたけど..
ジャギーさん達の方が気楽でいいですかねぇ..」
『え?....ウソ。あ、そうなの?』
「..はい」
『そうなの?』
「はい...」
【おしまい】
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