原山稲荷神社のお参りの記録(1回目)
埼玉県浦和駅

埼玉県さいたま市緑区原山に鎮座する原山稲荷神社。最寄りはJR浦和駅で、そこから徒歩にしておよそ25分ほど。県道35号線、いわゆる産業道路沿いに位置しています。一般的な稲荷神社では道路の正面に鳥居が構える光景をよく見ますが、こちらは道路と鳥居が正対せず、やや並行に近い形で立地しているのが印象的でした。そのため、ふとした瞬間に視界へ飛び込んでくる朱色の鳥居が、思いがけない出会いを演出しているかのようでした。

この日は駒場運動公園で高校サッカーの試合を観戦する予定があり、その道中で思いがけず出会ったのがこの神社でした。参道を進むと、一の鳥居、二の鳥居と連なり、その奥に拝殿が見えてきます。鳥居の朱色は鮮やかで、通りの景色から切り取られたように境内へと誘います。拝殿は木造で小ぶりながら、時を経た落ち着いた風合いを備えており、静かな品格を漂わせていました。

境内には公民館のような建物も併設されていて、神社が地域の日常生活に溶け込んでいることを感じさせます。祭礼や集まりなどで氏子や近隣の方々が自然に集まる場となっているのでしょう。こうした背景ゆえか、境内はきちんと手入れが行き届いており、訪れる者に清々しい印象を与えます。小規模ながらも、土地の人々の信仰と生活を支える確かな存在感が漂っていました。

創建年代については残念ながら知ることはできませんでしたが、御祭神は稲荷社に多い宇迦之御魂神であると思われます。五穀豊穣や商売繁盛、地域の安寧を願う信仰の中心として、この地に鎮座し続けてきたのでしょう。華美ではないけれど、そこに暮らす人々と密接に結びつき、長い時を重ねてきた神社ならではの温かさを感じました。

普段は目的地へ急いでしまいがちですが、道中でこうした小さな神社に足を止めることで、その土地の歴史や人々の営みを垣間見ることができます。原山稲荷神社もまた、その一例であり、心に穏やかな余韻を残す参拝となりました。